それはまるで略奪しに来たエイリアンのための…
それはまるで略奪しに来たエイリアンのための… |
Launch PV SPECIAL! 「Fake Plastic Trees 「Creep」 「Anyone Can Play Guitar」 「No Surprises」 「Fake Plastic Trees」 「High & Dry」 「Street Spirit」 「My Iron Lung」 「Palo Alto」
| ロサンゼルスはグリーク・シアターで行なわれたRadioheadのソールドアウト・コンサート。 その最中に私は自分のからだをツネリながら、今ここで体験しているものは果たして現実なのか?、と自問せざるを得なかった。 様々な不協和音と神経質なエネルギーと宇宙的な異様さを8,000人以上の人々が憧れの目をもって迎える。それは一種の崇拝とも呼べた。 Britney SpearsやLimp Bizkitsの時代に、こんなことが起きてていいのか! 彼らが音楽史上最も斬新なバンドとはとても言えないし、現代版Pink Floydぐらいにしか思ってない者も多い。が、一つ言えることは、現ミュージックシーンの中で彼らほどチャレンジングな音楽を作っているバンドはない。いわゆるポップ・ミュージックの定義を完全に逸脱している。 なのにニュー・アルバム『Kid A』はアルバムチャート初登場一位に輝いた。これは一つの偉業と呼んでもいいだろう。 彼らはステージに登場すると、いきなり「The National Anthem」に突入。ヴァース~コーラスといった“決まり事”を完璧に無視した、呪文のような低音ヘヴィなナンバーだ。そのとたん人々は堰を切ったように狂いだした。なんだか怖い気もする。 それから約2時間、23曲構成のショウの中で、マジカルな瞬間は多々訪れた。 今夜は、『Kid A』に伴うたった3回という短いアメリカンツアーの最終日。このアルバムからはほとんど全曲が披露され、それ以外にも、アルバムの収録から漏れた新曲の数々も演奏された。 それにしてもニュー・アルバムに対する人々の献身ぶりは凄まじい。もちろんそれがなければ、『Kid A』がここまでチャートを賑わすことはなかっただろうが、例えば「Idioteque」のようにギターのないドラム・ループ主体の奇妙なナンバーに対しても、「Karma Police」や「Fake Plastic Trees」、「No Surprises」といった人気曲と同じぐらい、みな熱狂的なのだ。 '97年の『OK Computer』、'95年の『The Bends』からも数曲ずつ演奏され、新旧のブレンドもなかなかウマくいっていたように思う。おかげで、コンサート中のいたる瞬間になんかしらの興味の対象が生まれた上、「Karma Police」の一風変わった雰囲気でさえ、ポップ・ミュージックとしての完璧さを際だたせていた。 しかし総体的に見ると、複数の曲の集まりと言うよりも、一つの大きなうねりのように感じられた。 それはまるで略奪しに来たエイリアンのためのサウンドトラック。 先導者トム・ヨークは、常に神経質な空気を保ちながら、見事なまでアグリーな優雅さを醸し出すのだ。 仮に、彼の歌っている内容が99.9%無意味であったとしても、誰も気にしちゃいない。彼らのパフォーマンスが伝えるものは、特権の剥奪や既存ルールの破り方、社会システムの再認識、などなのだが、果たして、客席のいったい何人がその部分で繋がっていただろう。みんな単純に彼らの音楽を楽しみに来ていただけなのかもしれない。 けれど、いずれにせよ、みなが充実した時を送ったのだから、そんなことどうでもいいのだ。 by Neal Weiss |
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