どんな人でも楽しめるアルバム!
どんな人でも楽しめるアルバム! |
| FIREHOUSEは、'91年にデビューしたアメリカの4人組。「Don't Tread Me Bad」「Love Of A Lifetime」「When I Look Into Your Eyes」といった、全米トップ10入りを果たしたヒット曲でも知られるバンドだ。 キャッチーなメロディと澄んだ歌声、そしてハーモニーを基本とした楽曲は、本国のみならず、アジア地区でも大いに受け入れられている。日本公演も幾度となく経験している彼らだが、待望の新作『O2』を完成させ、C.J.スネア(vo)とビル・レヴァティ(g)の二人がプロモーションのために再び日本にやってきた。 「昨年4月の日本公演を終えて、アメリカに戻ってからもかなりツアーをこなしたんだ。その後、'99年11月から今年の春まではひたすら曲作りをして、『O2』のレコーディングに入ったという流れだね。ただ、「Call Of The Night」は'88年に作ったもので、いい感じのヘヴィメタル・フィールがあるし、このアルバムの雰囲気にも合う。そんなことで、アレンジし直して持ってきたんだ。それと主となる8曲が決まった段階で、このサウンドならと決めたのがバラードの「Loving You Is Paradise」。これは'90年頃に書いた曲。こっちはかなり手直しをして、21世紀ヴァージョンに作り替えているよ」(ビル) 音楽的な方向性は従来どおりで、持ち味の一つである親しみやすい楽曲は、すんなりと耳に入ってくる。その一方で、ロック・バンドとしての力強さも、さらに増した印象だ。特にアルバム前半からは、グルーヴィなアンサンブルも堪能できる。 「それが伝わってくれたのは嬉しいね。俺たちも勢いを出したいと思っているけど、新しいベーシストのブルース(・ウェイベル)の存在も大きい。ハンパじゃなく上手いんだ。バンド全体のミュージシャンシップも、一気に上がったような気がするよ」(ビル) 結成当初からメンバー・チェンジなしで活動してきたFIREHOUSEだったが、今年4月、オリジナル・ベーシストのペリー・リチャードソンがバンドを去った。大きな事件でもある。 ただ、ブルースの加入で新たに得たものも多いと二人は話す。そんなニュアンスはシンプルなアルバム・タイトル“O2”にも込められているのかもしれない。 「酸素の化学記号ことだよね。酸素というのは、そういった新鮮な息吹を感じさせるもの、それがなければ生きていけないものでもある。コアなファンはもちろん、これからファンになってくれる人にも欠かせないアルバムにしたいなという意味合いもある」(C.J.) '90年代はとかくネガティヴな歌詞の多かった時代。そこでも彼らは一貫して愛、友情、勇気といった純粋な事柄を題材にした歌を歌い続けてきた。今回もそれは同様だ。 「音楽自体もパワーを持っているものだと思うんだ。そこでは、ポジティヴで、普遍的にアピールするものを歌詞として伝えたいんだ」(C.J.) そういったC.J.をビルは情感豊かなシンガーとして最大限の評価をしており、『O2』の中では特にバラード「Don't Fade On Me」でその才能が発揮されていると語る。 では、C.J.本人はレコーディングでのハイライトを、どのように捉えているのだろうか。 「「The Dark」でのラップの部分は初めての試みだね。上手く仕上がったと思うよ。最も自分らしい声で歌えたのが、「Loving You Is Paradise」かな。アルバムはライヴと違って、表情や体の動きが見えるわけではないから、曲の持つエモーション、メッセージすべてを伝えられるのは声の響きだけだよね。そこは大事にしているよ。それから「I'm In Love This Time」も大切だよ。これはビルが初めてリード・ヴォーカルをとった曲だからね(笑)。すごくいい声をしている。ライヴでもぜひやりたいよ(笑)」(C.J.) ところで、昨今の音楽業界を賑わしている“MP3”。あまりに速い進化を見せるコンピュータの世界を俯瞰したような「The Dark」にも、当然、“MP3”という単語が登場する。 違法コピーのみならず、昨今ではナプスター社の話題もある。彼らの見解を聞いてみた。 「アメリカでは一番ホットな話題だね。ミュージシャンが音楽で稼げなくなったら、お金を稼げる仕事に戻らなければならない。インターネットで音楽を扱うことに関しては、ある程度の制約も必要だと思う。特にメロディック・ハードロック・バンドへの注目が再び集まっている時期でもあるし、俺たちにとっても笑い話では済まないよ。どんな商品でも同じだけど、一生懸命作ったものをタダでもっていかれてしまうのと同じ理屈だからね。しかし、日本のインタビューでMP3の質問を受けたのはロンチが初めてだ。良い質問だね(笑)」(ビル) さて気になるのは次のジャパン・ツアー。 ライヴ・アルバム『bring'em out "LIVE"』としても発表された昨年の大阪公演における、素晴らしいオーディエンスの思い出も強く印象に残っている二人は、できるだけ早く実現させたい考えだ。来るべき日に備えて、ひとまずは『O2』を深く味わっておこう。 「『O2』は耳で聴き、体で感じてもらうアルバムで、今のFIREHOUSEの在り方がよく伝わると思う。どんな人にも楽しんでもらえる要素が必ず一つはあるはずだよ!」(ビル) |