Panteraはうるさいのがお好き
Panteraのドラマーにとって、ロサンゼルスはぞっとするようなところだという。 「全く驚きだよ」とVinnie Paulは頭を振りながら言う。 「こんなに大きな街にプロのフットボールチームもロックラジオ局もないなんて、どういうことなんだ? どうかしてるとしか思えないね。アイダホ州のボイシみたいな町でさえ、ラジオからPanteraの曲が流れているというのに、ロサンゼルスじゃかける局もないなんて。それでいて、コンサートは売り切れになるんだから」 さらに、ラジオ局にしても、Paulに言わせれば、Panteraの最新アルバム『Reinventing The Steel』は、「これまでの俺たちのどのアルバムより頻繁にエアプレイされている」のだし。 しかし、自ら「ヘヴィ級チャンピオン」と名乗るバンドにとって、ラジオでのエアプレイがどれほど重要なものなのだろう? 彼らのようにやかましいバンドは、ラジオでかかろうがかかるまいが、人々の耳に届くのだから。 ヘヴィメタルの世界では奇妙なことが起こっている。Metallicaはシンフォニーの世界へ行ってしまったし、KornやLimp Bizkitにしても、どこまでが“オルタナティヴ”で、どこまでが“メタル”なのかわからない。ハードな音楽をかけるラジオ局が廃れてしまったのも、おそらくはこのように自らのルーツに忠実なバンドが激減したからだろう。 実際、今日、マルチプラチナムを獲得しているバンドの中で、ヒップホップやレゲエ、テクノといった外部からの影響を遮断し、無垢で純粋なヘヴィさをとどろかせているのは、Panteraだけだ。本来のヘヴィメタルは、ブルーズに基盤を置くロックと、はらわたを引きちぎるようなパワーコードが激突したものであり、それを生み出したバンドがBlack Sabbathだった。そして、このBlack Sabbathこそが、Panteraのニューアルバムのリリースを4年間も遅らせた張本人なのである。 「こんな話を断れる訳がないだろ! で、そのツアーが終わってから、スタジオに入る準備を始めたんだけど、今度はBlack Sabbathの再結成ヨーロッパツアーにも参加しないか、と言われてね。それにも参加して、戻ってきて、('98年の)12月にレコーディングを始めたんだけど、そしたらまた、“Black Sabbathが今度は世界ツアーをやるから、ぜひ参加してくれ”って言われてさ。俺達は…(やや間を置いて)“わかったよ、やったろうじゃないの!”って感じだった」 プロデューサーのTerry Dateの参加がないまま、アルバムの制作を行なうのは、彼らにとってこれが初めてのことだったが、これまでもPanteraのアルバムを共同プロデュースしてきたPaulとDarrellが、プロデューサーを務めることとなった。 しかし、彼らはDateと連絡を取って、アドヴァイスを求めたのだという。 「作業中ずっと俺はTerryと連絡をとり続けていたんだ」とPaulは言う。 「テープも何度か送ったし、彼はいつも“おい、やったな! 最高の音じゃないか”と言ってくれた」 Panteraは今、10年前、ちょうど自らが頭角を現し始めた頃に、Metallicaが就いていた地位にいる。 波瀾万丈の10年ではあった。スタジオアルバムを5枚出し(中でも'94年にリリースされた『Far Beyond Driven』は全米チャートで初登場1位を獲得)、ライヴアルバムも1枚発表し、何千マイルという距離のツアーを行ない、何百という数のコンサートでプレイしてきた。 そして、そのロックンロールな性質にふさわしく、メンバーのうち3人はその必死で稼いだ金で、なかなか有意義な投資をしている。 今や飛ぶ鳥落とす勢いのインターネット会社かって? はずれ。フットボールのチーム? それはまだ。 Panteraはテキサス州の奥深くに、高級ストリップクラブを買ったのだ。 これ以上ないというくらい論理的にPaulが説明してくれた。 「そりゃ、車を売る会社だって買えただろうけど、自分の好きなことをやった方がいいに決まってるだろ?」 by Janiss Garza |
この記事の関連情報
パンテラのクラブ公演にメタリカのK・ハメットとR・トゥルヒーヨがゲスト出演
パンテラ、レックス・ブラウンの誕生日会&リハーサル/ライヴ映像を公開
パンテラの再結成ツアーに参加中のザック・ワイルド「これはパンテラではない」
パンテラ、ブラック・サバス・ベンチで記念撮影
パンテラ、2025年もツアーを続行
パンテラ、2024年初の公演で「Floods」を約23年ぶりにパフォーマンス
エピフォン、パンテラ レックス・ブラウンの最新シグネチャー・サンダーバード・ベースを発売
フィル・アンセルモ、パンテラの再結成「ヴィニーとダイムが俺らに望んでいたのは間違いない」
パンテラのフィル・アンセルモ、お化け屋敷の舞台裏を紹介