心…ひとつに

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 ファンの忠実さが何らかの形でアルバムの成功を示すとすれば、'N Syncが2作目のスランプを味わうことはあるまい。

『No Strings Attached』は、1000万枚売れたデビュー作『'N Sync』に続く、その2作目である。
世界中で悲鳴と涙と尽きぬ献身を捧げるファンの存在が、フロリダ州オーランド出身の素晴らしき5人組の、記録的なレコードセールスに結びつくものと期待されている。
ここでのLance Bass、Chris Kirkpatrick、Justin Timberlake、J.C.Chasez、そしてJoey Fatoneは、彼らなりのやり方を貫いている…糸に操られることなく。


LAUNCH:
『No Strings Attached』と、'97年のデビューアルバムとの違いは?

JUSTIN:
このアルバムはすごくクールだと思うよ。ポップの世界でも、新しいサウンドはすごく多彩になっているけど、ここではあくまでポップの範疇にありながら、R&Bにもかなり踏み込んでいるし、かと思えばうんとメインストリームなこともやっていて、更にはダンスやクラブ系の曲もある。それだけ、幅の広いアルバムということさ。トップ40の音楽が好きな人も好みは色々だろうけど、これは皆が楽しめるアルバムだと思うな。

LAUNCH:
『No Strings Attached』をアルバムタイトルにしたのは何故ですか? また、タイトルとアルバムジャケットの関係は?

CHRIS:
このジャケットは、僕らが糸に繋がれた操り人形だったということを表したくてデザインしたんだ。ずいぶん長いこと、僕らの運命は他人に操られてきた。それが、このアルバムで初めて自由になったんだ。だから、このアルバムは僕らの心であり魂そのものなんだよ。作っていて楽しかった。プロデューサーたちと一緒に、楽しく作ったアルバムだ。それでもなお‘糸=strings’を引きずっているのは、『No Strings Attached』との繋がりを感じてもらいたかったからに過ぎない。ここでいう「糸」とはそういう意味で、僕らが操り人形じゃないことをわかってもらいたかったんだ。

LAUNCH:
ここまでやれるとは思っていなかった評論家の連中に、目に物を見せてやろうという気持ちはありましたか?

JUSTIN:
ただの一発屋じゃないってことは証明して見せたかったね。Chrisが前に言ったことがあるんだけど、2作目って、まさに信憑性が問われるアルバムだから。1作だけなら誰でも作れる…いや、誰でもというわけではないにしろ、一発だけで消えていく人はいくらでもいるだろ? ありがたいことに、僕らは既にその壁は乗り越えた。もう3曲から4曲は世に送り出して、しっかり後押ししてきたからね。でも、2作目となるとキャリアがかかってくる。アーティストとして、そしてミュージシャンとしての自分を証明して、キャリアとして成り立たせていかなければならない。この2作目で僕らが成し遂げようとしているのは、それなんだよ。

LAUNCH:
今回のアルバムの曲のインスピレーションになったものは?

J.C.:
『No Strings Attached』のインスピレーションは人間さ。ひとつひとつの曲にコンセプトがあり、それぞれに意味がある。今回はすべてを自分たちで仕切って、半分は曲も書いているんだ。そうしたら、自分たちが好んで聴くような音楽ができた。で、僕らが好んで聴く音楽とは、即ち僕らのファンが好んで聴くであろう音楽なんだよ。半分は僕らと同じ年頃なんだから。

LAUNCH:
昨年は色々と法的な問題がありましたが、それによって『No Strings Attached』に集中できなかったことはありますか?

CHIRIS:
あれにはちょっと傷ついたけど、とにかくいつも通りに仕事を続けて、先のことだけ考えるようにしていたから、妨げになったとしても、ほんの少しだよ。

LAUNCH:
2作目ということで、成功させなければいけないというプレッシャーは以前よりも大きかったのでは?

CHRIS:
2作目は自分を確立する作品だから、プレッシャーは絶対あると思う。1作目は世の中に自分を紹介する作品で、2作目は明確に自分を確立する作品。2番目の作品はクリスマスアルバムという形で出たんだけど、あれは新曲から成るフルアルバムとはみなしてないんで、今回のアルバムで自分たちを確立することが、とりあえず僕らにはすごく重要になってくるんだ。

LAUNCH:
'97年の1stアルバムを買ったファンは、これでまた'N Syncを応援してくれるでしょうか?

JUSTIN:
僕らのファンも、僕らと一緒に成長しているはずだよ。最初のを楽しんでくれたんだから、2作目も気に入ってもらえれば嬉しいね。

LAUNCH:
「Music Of The Heart」でのGloria Estefanとの共演は、どういういきさつで実現したんですか?

LANCE:
「Music Of The Heart」は、Gloriaが出演する映画に使われることになっていて、一緒に歌う相手を探していた彼女から僕らに電話が入ったんだ。僕らはDiane Warrenとも知り合いでね。Diane WarrenとDavid Fosterが、あの曲を書いてプロデュースしたんだよ。だから実は、Gloriaと会うよりも先に、僕らはあの曲のレコーディングをしてしまったんだ。彼女とは、パフォーマンスとビデオ撮影の時に初めて会った。

LAUNCH:
皆さんにとっても、大変なチャンスだったんじゃないですか?

LANCE:
うん、願ってもないチャンスだったよ。Gloria Estefanみたいな伝説的な人物と共演できたら、もっと年上の聴衆にも僕らのマーケットを広げることができるのにって、ずっと思っていたんだから。これでラテンの市場にも、年上の人たちにも、僕らの力を見てもらえる。実際、あの曲をやったことでずいぶんと敬意を払ってもらえるようになったしね。

LAUNCH:
Alabamaとの仕事は?

LANCE:
Alabamaの曲は、僕らが「God Must Have Spent A Little More Time On You」をやったのがきっかけで実現したんだ。彼らがあの曲を聴いて気に入って、カントリーミュージックにしてカヴァーしたいと言ってきた。実は僕らも、あれをカントリーソングで出すことを考えていたんだけれど、そこへ彼らから電話があって“やってみたい”と。しかも、僕らも参加してバックで歌ってくれないかという話だった。ツアー中の1日を割いて、彼らと一緒に歌ってきたんだけど、ジャムセッションみたいな感じで、すごく楽しかったよ。最高だった。出来も素晴らしく良くて、カントリーのラジオでは大ヒットしたんだ。

LAUNCH:
この1年で皆さんが学んだ一番重要なことは何でしょうか?

CHIRIS:
この業界全般について、ずいぶん勉強させてもらったよ。訴訟とか、色々あったから、音楽業界の中でも特にビジネス面で勉強になったことは確かだ。音楽面に関しては、以前から変わらずにやってきたつもりだけど…スタジオでの経験を積んで、楽しく作業できるようになったというのはあるね。

LAUNCH:
J.C.、このアルバムであなたが一番好きな曲は?

J.C.:
今のところ一番好きなのは「Space Cowboy」かな。理由は…とにかく最高の曲だから。自信作なんだ。あの曲の展開は全部好き。ありきたりのラヴソングじゃないところもいい。実は全く別物の、コンセプトソングなんだよ。なかなかだろ?

LAUNCH:
このアルバムの制作中にRCAからJiveへレーベルを移籍しましたが、大変でしたか?

J.C.:
それがさぁ、あんまり話題に出なかったんだよ。皆に心配させたくなかったんでね。汚い部分は見せたくないじゃないか。僕らはアーティストでありミュージシャンなんであって、皆もビジネスマンのレコードを買ってるわけじゃないんだし…ね。ビジネスの話なんか、別に聞きたくないだろうと思ってさ。皆が望んでるのは、僕らの音楽を聴くことなんだから。状況的には確かに際どくて、身動き取れないに等しい状態だったよ。レーベルを離れることになったのも、他にどうしようもなかったからだ。契約の再交渉を試みもしたけど、僕らが折れてもらいたかったところでは、先方は折れてくれなくて、納得のいかない条件であのまま留まるか、それとも思い切って違うところへ行くか、結局はふたつにひとつしかなかった。僕らは出ていくことに決めて、幸いにもこうして良い方に転んでくれたわけ。今は全員がハッピーだよ。

LAUNCH:
『No Strings Attached』では、音の方向性も変わったようですが、何を変えたんですか?

J.C.:
要するに…よりへヴィになったんだよ。あんまりオシャレにしないで…ほら、ポップっていうとどうしても、安っぽくて、バブルガムで、お菓子みたいに砂糖やスパイスがきれいにかかってて…みたいな印象があるから、本当はすごくサウンドの幅が広いんだってことが忘れられがちだけど、甘いだけがポップじゃないんだ。Janet Jacksonだってポップだし、Madonnaだってポップだろ。Madonnaなんか特に、ものすごく多彩なアーティストだよね。僕らも、甘ったるくてオシャレ過ぎるのばかりじゃなくて、違うものも見せたかった。しかも、あんまり形にはとらわれずに、もっとへヴィで、少しだけ余計に臨場感のあるもの…ぐらいの気持ちだったんだ。うんと生々しくて、クラブで大音量で流れたら、その場がビリビリ振るえるくらいのサウンド。要するに、へヴィになったってこと。ちょっとだけ、ダーティな音になったっていうことかな。キレイで優しいばっかりじゃないってことさ。

LAUNCH:
『No Strings Attached』に伴なうツアーについて、少し教えてもらえますか?

CHRIS:
4月一杯リハーサルをして、5月、6月、7月とツアーに出る。ほとんどがアリーナで、スタジアムもいくつか入るはずだよ。

JUSTIN:
僕らの音楽に、ツアーは欠かせないと思う。昔からツアーは楽しくてしょうがないんだ。ファンの皆に生で音楽を届けられるんだから、大切なことだよ。聴くだけじゃなくて、目でも楽しんでもらえるし

LAUNCH:
新しいアルバムと、皆さんの新たな姿勢に触れて、ファンは何を感じるでしょうか?

CHRIS:
楽しさ…に尽きると思うよ。1stアルバムにはいくつか楽しい曲がある一方で、ミッドテンポの曲やバラードも入っていたけれど、今回はもう、“とにかく楽しいアルバムを作ろう”ってことで、ほとんどアップテンポの曲ばかり。まぁ、ミッドテンポの曲もひとつはあるし、バラードも2~3曲入るかもしれないけどね。とにかく、どの曲も、聴けば何かしら感じるものがあるはずだ。全体の雰囲気は、楽しくやろう…って、それだけ。そのために一貫してアップテンポにしたんだ。これは僕らの2作目であって、これでおしまいじゃないってことを皆にわかってもらいたいから。これは僕らのベスト作じゃない。これからもしばらくはがんばるよっていうところを、これで世の中に知らしめたいんだ。楽しく音楽をやってくぞ…って。

LAUNCH:
皆さんは短期間にたくさんの実績を上げてきました。これからの'N Syncは、音楽的にどんな方向に進んでいくんでしょうか?

JUSTIN:
どういうスタイルへ進んでいくかはわからないし、その時が来たら決めればいいことだと思う。僕らの音楽は、こうして話をしている間にも進歩を続けているんだよ。この新作も、間違いなく一歩前進さ

by Jason Gelman

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