成功の秘訣は2分で分かること

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■成功の秘訣は2分で分かること

“Lit has a hit”と5回早口で言ってみよう。もしこの曲がちょっと面白いと思ったら、9年間活動した後で一夜にして成功したカリフォルニア州アナハイムのこのロック集団のメンバー4人に、この曲がどう聞こえるか訊ねたところを想像してみよう。Litは他の曲と同じような方法で、つまり曲をとても大事にすることによって、ラジオの特大ヒット“My Own Worst Enemy”を生み出した。シンガーのA.Jay Popoffはこう説明する。

「僕らはジャム・セッションで“Lit machine”をやって、みんなが知恵を出し合うんだ。2分もしないうちに、曲に仕上げられるかどうかがわかる。みんながその場で気に入らなければ捨ててしまう。僕らは、12曲収録のアルバムを作るのに30曲用意するようなバンドじゃないんだ」

Litが新作『A Place In The Sun』(RCA)を作るのに、この方法論に本当に固執していたのだとしら、実に素晴らしい嗅覚を持っていると言える。アルバムに収録された12曲には駄作が1曲もない。このバンドは初めから終わりまで、大胆で明るい部分を持ち、思わず一緒に歌ってしまいそうな楽しい曲に、真剣なアプローチをしている。

A.Jay、その兄弟のJeremy Popoff(ギター)、Kevin Baldes(ベース)、Allen Shellenberger(ドラム)が'90年代の初めにバンドを結成し、充実したオレンジ郡の音楽シーンで活躍し始めた。オレンジ郡の音楽シーンは何年もシアトルの後塵を拝していたが、Litには、カリフォルニアの地元である程度知名度が上がるのは時間の問題だとわかっていた。

A.Jayは言う。

「クールなのは、オレンジ郡にはとてもたくさんのタイプのバンドがいることだ。Social Distortion、Offspring、Korn、No Doubtなどだ。9~10年くらい僕らの回りにいたバンドの多くが今では世に出ている。なんだかオレンジ郡には巨大なシーンがあったみたいだけど、演奏するクラブの数はそんなに多くないんだ。ナイトライフが盛んなところではないんだ」

演奏場所が少ないことをカバーするために、Litはいつか大きなショウをやろうという気持ちで、フラートンのClub 369のような場所で行なうショーを、チケットが売り切れるような大当たりにしようとした。A.Jayが微妙な引っかけのある詞を力強く響き渡る声で歌い上げ、Jeremyのギターが大音量の強烈なうなりを上げ、リズム・セクションがしっかりと支えるというLitの曲は、地元カリフォルニアの人々の頭にこびりついて離れなくなった。

しかしこの演奏スタイルは全米規模でも有効で、このバンドは、'98年12月後半にはすごいスピードで人々の心をつかんだ。このときはアルバムが発表される1か月も前から、有力ラジオ局のKROQは“My Own Worst Enemy”を何度も流した。当然のことながらレコード会社は大喜びし、『A Place In The Sun』を大急ぎでリリースして、辛抱強いLitのメンバーを一気にロックのスターダムにのし上げた。

 A.Jayはレコードの成功についてこう語る。

「僕らは思っていたよりずっと早く成功した。一生懸命仕事をして、ほとんど毎晩演奏し、睡眠時間も少ない。それでも文句なんか言わない」


David_Weiss (1999.5.25)
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