【機材レポート】INABA/SALAS、スティーヴィー・サラスのGuitar Sound Systemに伝統的スタイル

2025.04.18 09:00

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【<Never Goodbye Only Hello> AMPLIFIER編】

アンプヘッドは、右から順にMagnatone / SUPER FIFTY-NINE M-80(上段)、Bogner / Ecstasy Classic(下段)、Marshall / JCM-800 (×2台。1台はバックアップ)、LAA / Custom PO100、Ashdown / SX-50H、Fender / 64 CUSTOM DELUXE REVERBをセット。

興味深いのはキャビネットの選択で、メインアンプのLAA Custom PO100を一番右側のBogner製キャビネットUbercab 412で鳴らし、Marshall JCM-800はその隣のBognerキャビネットUbercab 412、Magnatone / SUPER FIFTY-NINE M-80はAshdownのキャビネットSX-412F、そしてFender / 64 CUSTOM DELUXE REVERBをMarshallのキャビネットJCM800 LEAD-1960で鳴らすという変則的なパターンが採られている。この辺りからもサラスのギターサウンドに対する強いこだわりがうかがえる。

メインアンプのLAA / Custom PO100は、クリーン/クランチトーンが得られるNormal Chと強い歪みが得られるOverdrive Chを装備したチューブアンプ。汎用性の高さと良質なトーンを備えたモデルで、ジャンルを問わずに使用できるアンプだ。Magnatone / SUPER FIFTY-NINE M-80はビリー・ギボンズ(ZZトップ)をイメージしたハイゲインサウンドを引き出せる同ブランドのSuper Fifty Nine Mark Iと、ジェフ・ベックが愛用していたMark IIを一台に収めたモデル。Ashdown / SX-50HとBogner / Ecstasy Classicは3チャンネル仕様のハイパフォーマンスモデル。繊細なクリーントーンからモダンなハイゲインサウンドまで幅広い音色をクリエイトできるアンプヘッドを揃えたあたりはサラスらしい。また、ハイゲインアンプの代名詞といえるMarshall / JCM-800とクリーンアンプの歴史的な名機Fender / 64 CUSTOM DELUXE REVERBも使用するという新旧織り交ぜたラインナップが印象的だ。


▲Magnatone / SUPER FIFTY-NINE M-80、Bogner / Ecstasy Classic


▲Marshall / JCM-800 (×2台)


▲LAA / Custom PO100


▲Ashdown / SX-50H、Fender / 64 CUSTOM DELUXE REVERB

これら6系統の中から4台をピックアップして使用するわけだが、前述したようにスティーヴィーはそれぞれを使い分けるのではなく、全て同時に鳴らしている。とはいえ、全機種が同じ音量で鳴っているわけではなく、その日の気分や会場の音響特性などに合わせてバランスを採っているとのことだ。

   ◆   ◆   ◆

【EFFECTOR編】

ボード下段にセットされたエフェクターは、写真右からCHI CHI DRIVE(ブースター)、JIM DUNLOP / GCB-95 CRYBABY(ワウペダル)、JIM DUNLOP / GCB-95 CRYBABY(一見ワウペダルだが、ディレイに改造)、LAA CUSTOM / NISHI DRIVE(スティーヴィー・サラス・シグネチャーのオーバードライヴ)、MXR / SIX BAND EQ(6バンドグラフィックEQ)、DigiTech WHAMMY WH-1(ワーミー:ペダルタイプのピッチシフター)。

ボード上段は、右からPeterson / Stomp Classic(ストロボチューナー)、Custom Audio Japan AC/DC Station IV(パワーサプライ)、MXR / EVH PHASE 90(フェイザー)、Guyatone / SWR2 STEVIE SALAS WAH ROCKER(オートワウ)、MXR / SIX BAND EQ、J Rockett Audio Designs / ROCKAWAY ARCHER(グラフィックイコライザー/オーバードライブ)をセット。

ギターからインプットされたシグナルはPeterson / Stomp Classic→JIM DUNLOP / GCB-95 CRYBABY→改造ワウペダル→MXR / EVH PHASE 90→LAA CUSTOM / NISHI DRIVE→MXR / SIX BAND EQ(下段) →DigiTech WHAMMY WH-1→Guyatone / SWR2 STEVIE SALAS WAH ROCKER→MXR / SIX BAND EQ(上段)→J Rockett Audio Designs / ROCKAWAY ARCHER→CHI CHI DRIVEという順番でエフェクターを通過して、アンプへとアウトプットされる。つまり、エフェクターを一括制御するフットコントローラーの類いはなく、すべてが直列で結線されている。

注目は内部にMXR / Carbon Copy(アナログディレイ)の基盤が組み込まれたJIM DUNLOP製ワウペダルだ。同機はペダル操作によりディレイタイムを直感的に変えられることがポイントで、サラスは発振させたディレイ音のタイムを変化させてピッチを上下するという技を「Demolition Girl」のギターソロなどで披露した。サラスは基本的に一般的なディレイを使わないタイプで、同機は飛び道具として導入されているようだ。

上段下段合わせて2台のMXR製グラフィックイコライザーは、下段のものがミッドレンジを持ち上げたセッティングにしてあり、ブースターとして使用。上段のものは逆に中域をカットしたセッティングになっていて、クリーントーンなどで使用する。サラスはギターソロなど歪みをプラスしたい時は下段に置かれたMXRのグラフィックイコライザーかLAA CUSTOM / NISHI DRIVEをオンにするとのこと。NISHI DRIVEはサラスのシグネチャーモデルで、かなり深い歪みが得られると同時に、ギターのボリューム調整でドライヴサウンドからクリーントーンまでカバーできることが特色だ。

なお、ROCKAWAY ARCHERはクリーンブースター的な役割で、CHI CHI DRIVEは楽曲のエンディングのかき混ぜなどでONに。CHI CHI DRIVEはミッドフィルターも搭載しているが、スティーヴィーはブースト機能のみを使用している。数台のブースターはそれぞれを楽曲やプレイなどに合わせて使い分けていて、複数のブースターを同時に踏むことはないそうだ。

ワイヤレスラックの上部にセットされていたのはN.Y.G. / TRIPLE SHOT(ラインセレクター)。エレキギターの持ち替えや、エレキギターとアコースティックギターの切替を行う。

アコースティックギターのシグナルは、アンプ裏に置かれたKORG / XVP-20(エクスプレッション/ボリュームペダル)を経てRadial / J48(アクティヴDI)へ入力される。

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【PICK】

ピックはJIM DUNLOP製オリジナルピックを使用。厚さが1mm弱のタイプと0.73mmのタイプ、さらに薄いタイプの種類があり、最も柔らかい紫色のピックはアコースティックギターを弾く際に使用している。

(C)VERMILLION
機材撮影◎達川範一(B ZONE)
文◎村上孝之
構成◎梶原靖夫(BARKS編集長)

■<INABA/SALAS TOUR 2025 -Never Goodbye Only Hello->セットリスト

01. Burning Love
02. U
03. Violent Jungle
04. OVERDRIVE
05. Boku No Yume Wa
06. DRIFT
07. ERROR MESSAGE
08. 正面衝突
09. IRODORI
10. ONLY HELLO part 1
11. マイミライ
12. Demolition Girl
13. YOUNG STAR
14. Mujo Parade ~無情のパレード~
15. KYONETSU ~狂熱の子~
16. EVERYWHERE
17. SAYONARA RIVER
encore
18. AISHI-AISARE
19. TROPHY
20. ONLY HELLO part 2

▼TOUR SCHEDULE
3月10日(月) Zepp Nagoya
3月12日(水) Zepp Namba (OSAKA)
3月15日(土) ワールド記念ホール (神戸ポートアイランドホール)
3月16日(日) ワールド記念ホール (神戸ポートアイランドホール)
3月22日(土) LaLa arena TOKYO-BAY
3月23日(日) LaLa arena TOKYO-BAY
3月26日(水) SENDAI GIGS ※延期
 →3月27日(木) SENDAI GIGS ※振替公演
3月29日(土) 横浜BUNTAI
3月30日(日) 横浜BUNTAI
▼サポートメンバー
Drums:Matt Sherrod
Bass:Armand Sabal-Lecco 
Keyboards:Sam Pomanti

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