【インタビュー】yutori、新曲「純粋無垢」が意図したガレージロックの痛烈な強度「やりすぎなんじゃないか?ってくらい歪んでる」
■もっと大きなステージで一人一人に歌いたい
■全部しっかり届けられる1年にしたい
──そして、佐藤さんのボーカルは曲調が曲調なので、いつにも増してパンチのあるものになっていますが、「純粋無垢」の歌詞を受け取ったとき、その歌詞を歌う人としてどんなふうに感じましたか?
佐藤:これまで彼(浦山)が書いてきた歌詞と違って、「純粋無垢」は同じ言葉の繰り返しで、ワンコーラスにすべてが詰まっているんですよ。しかも、ベースもドラムもタイトなので、歌が特に映える曲だと思いましたし。だから、どれだけ芯を持たせて歌えるか、ということを考えました。ぶれちゃいけないなと。
──そこを一番意識したと。
佐藤:“私、あなたの純粋無垢な香り とても嫌いだった”とか、“私、あなたの純粋無垢な瞳 とても嫌いだった”とか、“嫌い”という言葉をけっこう前に押し出しているというか、何回も歌うので。“嫌い”という軸がぶれたら、この曲は終わりだなって。それが正解かどうかわからないですけど、レコーディングの時、自分が嫌いな物事を思い浮かべながら歌いました。
──たとえば、どんなものを思い浮かべたんですか?
佐藤:ピーマンを思い浮かべました。
──なるほど(笑)。
佐藤:子供みたいですけど、私、ピーマンが苦手なんですよ(笑)。
──お陰でぶれずに歌えたわけですね(笑)。ところで、いただいた資料に“新たなラブソング”と書いてありましたけど、聴きながら、“これってラブソングなのかな?”ってちょっと思いました。
浦山:ラブソングではある、とは自分では思っていて。ラブソングっていろいろな種類があると思うんですけど、その人のことを好きじゃないと書けないし、この曲も“嫌い”とは言ってるけど、その人のことをこんなに書くってことは別に嫌いではないというか。本当に嫌いだったら、まず思い出したくないじゃないですか。これだけ言葉にしているってことは、嫌いなんだけどその人になりたかった、ということも含めて、好きなところもあるんじゃないか。それはどの感情なんだろう?って考えると、やっぱり愛なのかな。好きとか恋とかではないけど、愛ではあるのかなと思ったので、やっぱりラブソングではあるなと思います。
佐藤:不器用だよ、すごく。
浦山:はい。
佐藤:いや、君がじゃなくて、「純粋無垢」の主人公が(笑)。
浦山:あぁ、なるほど。
内田:その返事が不器用すぎるけど(笑)。
豊田:そんなところも含め、人間臭いところが蓮さんらしい。繊細で、すごくいい歌詞だと思います。普通、こういう歌詞って、自分が見透かされるみたいで、あんまり書きたくないと思うんですよね。“そういう人間なんだって思われちゃうかもしれない”って考えて、僕だったらたぶん書けないですけど、自分のことを曝け出すみたいに書けちゃう蓮さん、すげえなって思います。
浦山:歌詞で嘘をつきたくないんですよ。たとえば、そんな気持ち、それほどないのに“救うよ”とは書けない。聴いた側は、ありがとうって思うかもしれないけど、こっちはそんな気持ち、そんなにないから、っていううしろめたさがダメで。だから実体験含め、自分が本当に思ったことしか書けないんです。漫画を読んだり、映画を見たりして、それをモチーフに歌詞を書くこともありますけど、100%そのことを書いたら、自分じゃない人が書いてるみたいで、自分に対して響かない。だから、嘘はつかないようにはしてます。そういうところが人間臭いと思われるのかもしれない。
──内田さんはいかがですか?
内田:同じ言葉が何度も出てくることによって、言葉の意味合いが変わってくる歌詞のスルメ感みたいなところが、この曲の良さなのかな。言葉としてはシンプルなんだけど、それを繰り返すことによって、意味がどんどん捻じれていくみたいな、そのシンプルさとひねくれてる感じが共存してるのが、この歌詞のおもしろさだと思うんですよ。最初のギターソロの後に、“君と似ていた部分はひとつもなかった”って1行だけ出てくるのが、個人的にすごく好きで。
──そこも含めてギターソロだと感じました。
内田:僕は“ギターソロに、その1行に繋がるような葛藤を入れてくれ”っていう意味なのかなと思って。
浦山:そうそう。
内田:その葛藤によって、出てきた結果みたいな歌詞がここにあるのがすごく気持ちいいなと思って、メンバーながら、“さすがです”と思いました。
──ボーカルレコーディングの時は、佐藤さんは歌詞を書いた浦山さんと歌い方の擦り合わせはするんですか?
浦山:ボーカルのディレクションは基本的に全曲、僕がやっているんですけど、今回は「まずはっちゃけてくれ」と言いました。AメロもBメロもちょっと低めだけど、ウェットすぎる感じやおさえた感じで歌っちゃうと曲に合わないから、「音は低めだけど、芯がある感じで歌ってほしい」というのは伝えました。低音で芯があるからこそ、サビの疾走感が出ると思ったので、そこは特に意識してましたね。
佐藤:どの曲もそうなんですけど、その曲を歌う間、私は曲の中のキャラクターになりきるというか、演じるので。キャラクターのビジュアルとか年齢とか性格とか、すべてレコーディングする前に蓮と擦り合わせして、自分の中で噛み砕いた上で、「じゃあ一回やってみるね」ってワンコーラス歌って。歌い終わったときに解釈の不一致が起きてないかも確認し合うんです。「純粋無垢」の主人公は、けっこうツンツンしていて。素直になれない、素直になったら負けだと思っている。言っちゃえば、扱いづらいタイプなのかなと考えたんですけど、それが蓮の中のキャラクター像と一致したので、けっこう歌いやすいレコーディングではありましたね。
──浦山さんの実体験や本当に感じたことから生まれた歌詞を、佐藤さんが歌詞の中のキャラクターを演じながら歌うという構図がおもしろい。
浦山:そうですね。ただ、嘘はつきたくないと思いながらも、歌うのは古都子なので、線引きはしっかりしてます。一人称も“僕”が使える時は使いますけど、浦山蓮が投影されすぎると、それはもう古都子じゃないというか。その曲から僕が滲み出すぎたら、届くものも届かないと思って、そこの線引きは毎回すごく考えます。古都子だから歌えるワードと、古都子にはあまり合わないワードを自分で模索しながら。たとえば、今回の“とても嫌いだった”を、“とても好きだった”にしちゃうと違うのかな。そういうことを歌ってほしくないわけじゃないけど、どちらかと言うと、そういう真っ直ぐな言葉よりもむしろ卑屈に聞こえる言葉を歌ってほしいという思いが強いので、歌詞を書く時はそういう言葉選びを意識してますね。
──今のお話を聞いてから、「純粋無垢」を聴いたら、またちょっと印象が変わるような気がします。さて、「純粋無垢」は2024年最後のシングルなのですが、2024年の締めくくりというよりは、新しいスタートを印象づける曲なのかなと思いました。2024年に準備してきたものを、2025年に爆発させるという発言もありましたが、2025年はどんなふうに活動していこうと考えているのか、最後に抱負を聞かせてください。
佐藤:もっと大きなステージというか、もっとたくさんのお客さんとしっかり顔を合わせて、目を見て、一人一人に歌っていきたいですね。もっとしっかりと。届けてるつもりでも相手には届いてないことっていろいろあると思うので、全部しっかり届けられる1年にしたいと思います。あと、2025年は2024年以上にSNSも含め、yutoriに関する情報をみなさんにお伝えしていきたいです。
浦山:ライブで言うと、曲に負けないようにはしたいですね。特に「純粋無垢」は誰か一人が気を抜いた瞬間、楽曲に食われるような気がするんですよ。
──でも、「純粋無垢」はライブで盛り上がるんじゃないですか?
浦山:この間、ライブ初披露したんですけど、盛り上がりました。お客さんの反応がわかりやすい。クラップも入れやすいし、内田さんが煽ったら、お客さんも応えてくれるし。「純粋無垢」に関しては、楽しみ方はけっこう自由だなと思いました。もちろん、どの曲もそうなんですけど、この曲は特にそうですね。歌うのも正解だと思うし、手や拳を上げるのも正解だと思うし、浸るのも正解だと思うし。
──制作面はいかがですか。やりたいと思いながら、曲に反映させていないことって、まだまだあるんじゃないでしょうか?
内田:たくさんあります。
浦山:同期をもっと使ってみたいですね。
佐藤:シンセも入れたい。
──おっ、そうなんですか。
内田:2024年はそれを我慢しながら、どこまでできるのか攻めてたところもあって。だから、電子音を入れたくても、シンセで出すんじゃなくてギターのエフェクターで出したりとか、4ピースの限界をとことん追求してたところもあったんです。けど、2025年はもう、使えるものは使っていこうと思ってます。今現在の自分たちに何ができるのか知ることができたからこそ、“それができるなら、これもできるじゃん”ってわかってきたところもあるので、2025年はどんどん取り込んでいきたいと思ってます。
──なるほど。2025年はさらにおもしろい曲、カッコいい曲を聴かせてもらえそうですね。大いに期待しています。
浦山:がんばります!
取材・文◎山口智男
■新曲「純粋無垢」
配信リンク:https://yutori.lnk.to/Jyunsuimuku
■<yutori 5th Anniversary Starting Live「大人になったら」>
open19:00 / start19:30
▼チケット
スタンディング 3,000円
※ドリンク代別途必要
【オフィシャル最速先行】
受付期間:2024/12/26(木) 20:00~2025/1/15(水) 23:59
https://t.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=2448110&rlsCd=&lotRlsCd=32462
■<yutori ONEMAN TOUR 2025>
open 17:30 / start 18:00
4月29日(火/祝) 新潟GOLDEN PIGS BLACK
open 18:00 / start 18:30
5月30日(金) 宮城・darwin
open 18:00 / start 19:00
6月01日(日) 北海道・札幌PLANT
open 17:30 / start 18:00
6月07日(土) 広島・CAVE-BE
open 17:30 / start 18:00
6月08日(日) 香川・DIME
open 17:30 / start 18:00
6月14日(土) 愛知・DIAMOND HALL
open 17:00 / start 18:00
6月29日(日) 東京・Zepp Shinjuku
open 16:00 / start 17:00
7月11日(金) 大阪・BIGCAT
open 18:00 / start 19:00
▼チケット
¥4,500 (ドリンク代別)
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