須田景凪、初の自主企画<MINGLE>開催。ネットシーン発の絆とリスペクトが世代を超えて響き合う
■12月1日 DAY2「奇縁」
2日目のゲストアクトはなとり。シングル「Overdose」でのデビューが2022年、初ワンマンライブが2024年のなとりにとって、今回が初の対バン経験となった。だが、なとり自身が初めて制作した楽曲「金木犀」から「Sleepwalk」のクールな歌世界に流れ込み、さらに「猿芝居」「DRESSING ROOM」「EAT」とダンサブルな楽曲を畳み掛ける……という展開のひとつひとつが熱いクラップを呼び起こし、あたかもホームグラウンドのような一体感を生んでいる。
「高校時代、毎朝須田さんの『teeter』っていうEPをずっと聴いてるぐらい大好きで。自分で曲を作ってると『ああ、ここ"バルーン節"効いてるなあ』みたいなことがよくあって。とてつもなく大きなリスペクトを持っている人と対バンができて、すごく幸せだと思っています」と想いの丈を語るなとり。「今日は対バンということで、須田さんをぶっ潰す勢いでやらないといけないなと思って。この後、須田さんがライブしにくくなるぐらい、盛り上がってくれますか!」という煽りとともに放ったのは、バルーン「メーベル」のカバーだった。一面にクラップとシンガロングの輪が広がり、客席の人影が思い思いのジャンプで大きく揺れた。
終盤、ギターを構えたなとりの「タオル回せますか? ここで新曲やらせていただきます!」のコールとともに流れ込んだ「IN_MY_HEAD」では、観客の頭上に勢いよくタオルが回り、「絶対零度」「エウレカ」とロック感の強い楽曲に、ホールの熱気は天井知らずに高まっていく。最後は一転、クール&アンニュイな時代のマスターピース「Overdose」でオーディエンスを心地好く揺らしてみせた。2026年には日本武道館公演も決定している新鋭・なとりの存在感が伸びやかに発揮されたステージだった。
そして、2日間のラストを飾る須田景凪のアクト。前日同様「花に風」でスタートすると、先ほどなとりがカバーしたのに応えて「メーベル」を披露。「ユートピア」の疾走感あふれる歌とサウンドが鳴り渡る頃には、会場は汗ばむほどの熱気と高揚感に包まれている。「なとり最高だったね!」と満足げな須田。「奴が『ぶっ潰す』って言っていたので、こちらもその勢いでやらせてもらいます!」という言葉そのままに、「レディーレ」「メロウ」「パレイドリア」と名曲を次々に響かせ、場内一丸の多幸感を「東京かかってこい!」とさらに煽っていく。
ライブ中盤、「俺もなとりの曲やっていいですか? 俺はこの曲でなとりに出会いました」と須田が語って歌い始めたのは、なとりの「Overdose」のカバーだった。須田の歌声となとりの楽曲が、客席のクラップと共鳴し合って、至上の音楽空間を描き出していく。その熱量を「ダーリン」「ユーエンミー」へと直結して、会場をさらに高揚させたところで、「超楽しいですね! "MINGLE"やってよかったわ、マジで!」と須田が万感の想いを語る。
「今ではインターネットミュージックっていう名前で、ポピュラーな存在になっていますけど、自分が聴き始めた当時は『ネット音楽はダサい』と言われていて、自分が好きなものを『好き』って言えないもどかしさがありました。それでも、カッコいい先輩の背中を見ながらやってきて、なとりっていうカッコいい友達ができて……"MINGLE"、最高です。どうもありがとう!」と感謝を伝える言葉に、惜しみない拍手喝采が広がる。新曲「WOLF」への想いを伝え、「めっちゃロックな曲なので。暴れてください!」と煽ったところで、「WOLF」のダイナミックな訴求力でオーディエンスの体を揺らし、「シャルル」で一面クラップとシンガロングの渦へと巻き込んでみせた。
「最後に1曲やりたいのですが……よかったら、なとり、一緒にやらない?」
アンコールで呼びかける須田に応えて、なとりが再び舞台に登場。なとりのリクエストを受けて演奏されたラストナンバーは「雨とペトラ」。終演を惜しむような観客のクラップが、2人の歌声を熱く美しく飾っていた。なとりとバンドメンバーを送り出した後、ステージにひとり残った須田は、2025年4月19日・日比谷野外大音楽堂にてワンマンライブ<須田景凪 LIVE 2025 "花霞">を開催することを発表。「絶対いい夜にするんで! 野音にて、生きて会いましょう!」と快活に告げる姿は、須田景凪の「その先」の進化への予感に満ちていた。
文◎高橋智樹
撮影(オフィシャル)◎藤井拓
撮影(なとりライブ写真)◎タマイシンゴ
セットリスト
【11月30日 DAY1「合縁」】
プレイリスト:https://open.spotify.com/playlist/5SZWnemkFi7hdnhdQyQL9C
●ヒトリエ
01.curved edge
02.ジャガーノート
03.オン・ザ・フロントライン
04.ワールズエンド・ダンスホール
05.るらるら
06.Selfy charm
07.3分29秒
08.ハイゲイン
09.NOTOK
10.アンノウン・マザーグース
11.ステレオジュブナイル
●須田景凪
01.花に風
02.パメラ
03.ユートピア
04.ノマド
05.メロウ
06.雨とペトラ
07.パレイドリア
08.アンノウン・マザーグース(ヒトリエ Cover)
09.ダーリン
10.ユーエンミー
11.シャルル
En.WOLF(新曲)
【12月1日 DAY2「奇縁」】
プレイリスト:https://open.spotify.com/playlist/3MuU1SCdSyoJvOqqDNnRDH
●なとり
01.金木犀
02.Sleepwalk
03.猿芝居
04.DRESSING ROOM
05.EAT
06.フライデー・ナイト
07.メーベル(バルーン Cover)
08.糸電話
09.IN_MY_HEAD
10.絶対零度
11.エウレカ
12.Overdose
●須田景凪
01.花に風
02.メーベル
03.ユートピア
04.レディーレ
05.メロウ
06.パレイドリア
07.Overdose(なとりCover)
08.ダーリン
09.ユーエンミー
10.WOLF(新曲)
11.シャルル
En.雨とペトラ(feat. なとり)
リリース情報
アーティスト:バルーン × ヒトリエ
配信日:2024年12月11日(水)
Apple Music Pre-add、Spotify Pre-save(配信予約):https://balloon0120.lnk.to/WOLF
<須田景凪 LIVE 2025 "花霞">
会場:日比谷公園大音楽堂
OPEN17:00 / START:18:00
チケット:¥7,300 (指定席) ※入場特典付き
問い合わせ:SOGO TOKYO 03-3405-9999
(月~土12:00~13:00 / 16:00~19:00 ※日曜・祝日を除く)
須田景凪 公式アプリ「yawn」プレミアム会員先行
期間:2024年12月1日(日) 20:00 - 2024年12月15日(日) 23:59
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