須田景凪、初の自主企画<MINGLE>開催。ネットシーン発の絆とリスペクトが世代を超えて響き合う
須田景凪主催のライブイベント<須田景凪 presents "MINGLE">が、11月30日・12月1日の2日間にわたって東京・有楽町のヒューリックホール東京にて開催された。
◆ライブ写真
自身初の自主企画となる<須田景凪 presents "MINGLE">は「MINGLE=交わる」をテーマに掲げたイベントで、「合縁」と題したDAY1・11月30日はヒトリエ、「奇縁」と題したDAY2・12月1日はなとりがゲストアクトとして出演。お互いにリスペクトを寄せ合うアーティスト同士の共演は、ネットシーンから時代を揺さぶり時代に愛され続ける精鋭たちの才気と情熱を、改めて鮮烈に印象付けるものだった。
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■11月30日 DAY1「合縁」
"MINGLE"2日間の幕開けを飾ったのは、今年メジャーデビュー10周年を迎えたヒトリエ。ボカロPとしても活動していたwowakaを中心に結成され、バンドシーンに躍り出たヒトリエは、須田景凪にとってもシーンの先導者と呼ぶべき存在でもあり、2019年のwowaka急逝後もシノダ・イガラシ・ゆーまおの3ピースでアグレッシブに活動を展開している。
ヒトリエは開演早々から「curved edge」のハードなサウンドでオーディエンスを圧倒すると、「ジャガーノート」「オン・ザ・フロントライン」と"ヒトリエ最新型"を力強くアピールしてみせる。「須田景凪くんという、とても爽やかな奴に呼ばれて、インターネットからやってまいりました!」というシノダのMCで満場のホールを沸かせつつ、「ワールズエンド・ダンスホール」から「るらるら」へ、と1曲ごとに場内から高らかな歓声とクラップを巻き起こしていった。
「Selfy charm」「3分29秒」「ハイゲイン」、さらに最新シングル曲「NOTOK」と楽曲を畳み掛ける頃には、会場は11月末とは思えないほどの熱気に満ちている。「これだけやりゃ、須田くんも満足だろうよ?」と意気揚々と語るシノダが「ヒューリックホールが吹っ飛ぶぐらいの声を聞かせてください!」と呼びかけて突入したのは「アンノウン・マザーグース」だった。もともとwowakaが初音ミク10周年記念盤のために作ったボカロ曲を、ヒトリエの楽曲としてセルフカバーした「アンノウン・マザーグース」。「行くぞ、須田景凪! wowakaより、愛を込めて!」というシノダの絶叫に応えて、客席一丸のシンガロングが鳴り渡った。最後の「ステレオジュブナイル」まで、今を生きるロックバンドのタフネスをリアルに体現してみせた。
そんなヒトリエの熱演を受けて、須田景凪はボカロP・バルーン名義の2023年の楽曲「花に風」からライブをスタート。さらに「パメラ」、「ユートピア」と冒頭から出し惜しみなしの選曲でオーディエンスに挑み、割れんばかりのクラップを巻き起こしていく。先ほどのシノダのMCに呼応する形で「オレも、インターネットから来ました。須田景凪です!」と呼びかけ、「普段の生活の中で、どうでもいいことは一旦忘れて、ここにいるみんなで最高の夜を作りたいと思います!」と情熱的に語る須田の姿に、場内一面に拍手喝采が広がる
「ノマド」「メロウ」「雨とペトラ」「パレイドリア」……とバルーン&須田景凪の歩みを編み合わせるような濃密の時間を繰り広げていく須田。「特別な夜なんで、尊敬するヒトリエの曲を……」という言葉とともに披露されたのは、先ほどヒトリエも演奏した「アンノウン・マザーグース」。激しくギターをかき鳴らしながら歌い上げる須田の姿が、熱烈なシンガロングとクラップでホールの空間を満たしていった。
会場一面のコール&レスポンスが響き渡った「ダーリン」から「ユーエンミー」の大合唱へと流れ込んだところで、「シノダさんが『これだけやれば満足だろ?』って言っていたんですけども……全然満足してないんで、またやりたいです!」と充実した表情で語る須田。「自分がネットカルチャー出身であること。そしてヒトリエの後輩であることを、誇りに思います」という言葉とともに、須田の独唱から歌い始めたバルーンの名曲「シャルル」が、観客の歌声と熱く響き合っていった。
アンコールで再び登場した須田は、12月11日にリリースされるバルーン名義の新曲「WOLF」について語る。「ここにいる全員が知っている人、俺にとっても大切な先輩。偉大なミュージシャンが突然、数年前にいなくなって……。その後、俺が彼に向けて書いた曲なんです。これを世に出すものかどうか、相応しいタイミングが無かったら別にリリースしなくてもいいんじゃないか、ぐらいに考えていたんです。でも、"MINGLE"の対バンをきっかけに、ヒトリエに声をかけて──いろんな想いを汲んでくれて、音源ではヒトリエのみなさんが演奏してくれています」。そんな須田の言葉に、ひときわ高らかな拍手が沸き起こる。この日はサポートメンバーとともに「WOLF」を披露。《世界が終わる前に/君と強がって生きていたい》というフレーズを歌い上げる須田の歌声が、ロック色の強いバンドサウンドとせめぎ合い、珠玉の一夜のラストを彩っていった。
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