【インタビュー】ゴホウビ、挑戦を続け見えたもの「このEPに未来をすごく感じています」

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▪️ここ1年で見つけてきた私たちのテーマ

──では前回のインタビューと同様に、お一人ずつ推し曲を挙げていただけますか?

405:僕は「呼吸」です。この曲はスルメソングだなと思っていて。聴けば聴くほど、良さが出てくる。大人のエモさがありつつもサウンドはバンド感があって、今自分たちが求めているニュアンスにかなり近い曲だと思います。

cody:僕も「呼吸」が推し曲なんです。ゴホウビの曲の中で一番好きってくらい。切羽詰まった時に聴いてもグッとくるし、なんてことのない時に聴いてもグッとくる。歌詞がめちゃくちゃいいんですよね。例えば2Aの《いつもより素直になって/君の手をつかむ》。「手をとる」とか「繋ぐ」じゃなくて「つかむ」なのがいいですよね。

むんちゃ:ふふふ。

cody:全体的に言葉がシンプルで分かりやすいんですけど、いつ聴いても沁みる言葉ばかりだなと。普遍的な言葉をしっかり歌えるバンドってあんまりいない気がするから、これは俺らの強みですよね。サウンドもオルタナ感があってめちゃめちゃ好き。最初のギターのリフの音は、俺の好みドンピシャだし……。

スージー:めっちゃ好きやん。

405:因みに、俺のお兄ちゃんからも「『呼吸』一番いい曲だね」って連絡が来ました。

むんちゃ:うちのお母さんもそう言ってたよ。codyの弟もだよね?

cody:そうそう。

スージー:えっ、ありがとうございます! 「呼吸」は「SAITAMA NISSANのキャンペーンソングを作ってほしい」というお話をいただいてから作った曲なんですよ。他にも7曲くらい描いたんですけど、メンバーに送っても「うーん…………いいんじゃない?」という感じの反応だったから、すっごくムカついて(笑)。

cody、405、むんちゃ:(笑)

スージー:このバンドはみんな反応が正直だから助かる(笑)。だけどそのあと、煮詰まってしまったんですよ。締め切りも迫っていて「ヤバい、どうしよう!」ってなって。


──気持ちは分かります。私もそういう経験があるので。煮詰まった時は何をしますか?

スージー:なんかブリッジとかしちゃうんですよね。頭を逆にしたら何か出てくるんじゃないかと思って。

むんちゃ:あはは! そんなことしてるの?

スージー:でも、ブリッジしてもなかなか浮かばない(笑)。そんな時に友達から「散歩しよう」とLINEが来たんです。「そんな暇ないんですけど」と思いつつも、部屋にいたところで何も浮かばないから、1時間くらい、話しながら近所を歩いて。その時に、この曲の歌詞とメロが降りてきたんですよね。

──なるほど。

スージー:要はその時間が楽しかったんですよ。全てを忘れて、すごく自然に笑っている自分がいて、「あっ、こういう時間があれば私は生きていけるな」と自然に思えた。思い返してみると、日々制作に煮詰まったり、何かに追われてばかりだったから、深く息を吸った記憶がほとんどないんですよ。

むんちゃ:スージー、よく息止まってるもんね? 呼吸を忘れてる時がたまにある。

スージー:そうそう(笑)。だけど、日常の中にあるちょっとしたことを大事にできる人間って強いなと、友達と散歩したことで気づいた。特別なことが起こらなくても、そういう小さな幸せ、深呼吸できる時間を楽しめればいいんですよね。この曲をライブで歌ってる時はいつも、そういうことをみんなにも感じてほしいなという思いを込めています。


──サウンドも、誰かと一緒に歩いているようなイメージですか?

スージー:そうですね。ドライブソングということで、背中を押すのではなく、一緒に隣を歩いてくれているようなサウンドを目指しました。プラス、今までの楽曲のようなキラッとした感じに加えて、ちょっとしたザラッと感も込めたいなと。この曲を作っている時にはもう次のゴホウビのことを考えていたから、メンバーがこの曲を通して、ゴホウビの未来を自然と想像できるようなサウンドにしたいなと思いました。

──スージーさん、むんちゃさんの推し曲はどれですか?

むんちゃ:私は「ジャンクミュージック」かな。

スージー:被った!

むんちゃ:そうなんだ! 今の時代のミュージックシーンに一石を投じるような曲じゃないですか。

スージー:投じてないよ(笑)。

むんちゃ:言いたいことを言っている感じがすごく好きだし、レコーディングがめちゃくちゃ楽しかったんですよね。ボーカル2人のさらなるポテンシャルを感じたというか。4人で1つのマイクを囲んで、いろいろな声を出しながらガヤを録ったんですけど、「ゴリラになろう」って言いながら録った時があって。その時の2人のなりきりがすごかったんですよ。声はもちろん、姿勢も完全にゴリラだから、私、笑いが止まらなくなっちゃって。あれは面白過ぎて地獄でした(笑)。

405:確か動画撮ってなかった?

むんちゃ:うん、いつか出そうと思ってる。codyが間奏で「俺を見ろ!」って叫んでるのも、意味が分からないけどめちゃくちゃよくて。これ、ワンテイクなんですよ。すごいですよね。 この人、将来俳優ができるんじゃないかと思う。

スージー:でも、ギターソロなのにcodyが「俺を見ろ」って言ってるのは訳が分からない(笑)。

405:おそらく音楽シーン史上初の、ギターを聴かせないギターソロ(笑)。

スージー:一つだけ言わせてもらうと、一石を投じてはいないんですよ。《ゆきずりのミュージック》とか《ワンナイトミュージック》という言葉は語感が好きというだけで、意味はあんまりないし。


──本当に?

スージー:うーん……サウンドで誤魔化してますよね(笑)。この曲を作った時、いろいろなものを見て心が腐りかけていたんでしょうね(笑)。ワンコーラス3分くらいでできた曲なんですよ。ホイホイホイって作って、デモも全然覇気のない感じだったんですけど、選曲会議に出したら満場一致で「この曲いいね」ってなって。それもまたショックだったんですよ。「あんなに頑張って書いた曲が全然評価されなかったのに、なんで3分で書いた曲が評価されんだよ!」って。

──確かにそれは悔しいですね。

スージー:音楽家とか何かを創作している人たちはみんな、“結果が出なければ駄作”みたいな扱いを受けることに対して、ジレンマを感じていると思うんですよ。自虐のような感じで自分からそう言っちゃったり、評価されないことを理由にその作品を後ろに追いやってしまったり。「あれだけ心を込めて作ったけどダメだった」という経験は、自信をなくす1つの要因になるんですよね。しかも、どんどん新作が出てくる激流のような時代だから、1つの作品に執着し続けるのもなんとなく遠慮しちゃう。だけど作っている本人くらいは「いや、私はこの曲好きだけどね!」と言えるくらいの気持ちを持って音楽やれよ! って、自分に対して思うんですよね。まあ、こうは言っても、受け取り方は自由ですから。いろいろな意味を感じてもらえたら嬉しいし、別に何も感じなくても結構ですし。好きに消費してもらえたらいいなと思ってます。

──相変わらずシニカルですね。

スージー:(笑)

──先ほどむんちゃさんが「codyさんは俳優をやれるじゃないか」と言ってましたけど、それは私も思っていました。

cody:本当ですか?


──曲に入り込みながら歌うcodyさんのボーカル力と、「この声でこう歌ったらどうだろう?」と自分のこともcodyさんのことも俯瞰して曲を書く、スージーさんのプロデュース力。2つの力がますます極まっているなと、今作を聴いて感じましたよ。

スージー:codyは憑依型だから、書いた曲を歌ってもらうと面白いし楽しいんですよ。「ぶっとばすからね」のレコーディングの時に、「クソ野郎を演じてほしい」と言ったら、そういう感じで歌ってくれましたから。まあ演じているわけじゃなくて、本当によろしくない男性だという可能性もありますけど(笑)。

cody:ふふふふ。

──codyさんが書いた曲「ヒトリヨガリ」についても聞かせてください。

cody:何年か前からあった曲なんですけど、当時、恋愛面で「昔はよかったのに、なんで今はこんな感じになってしまったんだろう」という悩みがあって、友達に相談したんです。そしたら「今をもっとしっかり見つめなきゃ」「人はどんどん変わっていくけど、変化の先に新しい形が見つかるはずだから」「そしたら全部が幸せだと思えるようになるよ」というアドバイスをもらって。その話を受けて、「そうだよな」と思った感情のまま、一気に書き上げた曲なんですよね。

──《ひとりよがり/受け入れあって/もっと深くで繋がりあって》という結論を出しているのがユニークだなと思いました。相手のことを頼れなかったり、言えずに抱え込んでしまったりしてもいいんだと、一人であることを肯定していく方向性というか。

cody:ああ、そうですね。全部ぶちまけれたらいいですけど、なかなかそうもいかないじゃないですか。僕自身「誰にも分かってもらえないだろうな」という気持ちもありますけど、そういうのも含めて、全部愛していけたらいいんじゃないかということを歌いたかったんです。



──全7曲、いいラインナップですし、ライブで聴けるのが楽しみです。もうすぐ11月15日、<ゴホウビクアトロ全部のせ!>がありますね。今どんな気持ちでいますか?

cody:ドキドキしてます。405がセットリストを組んでくれたんですけど、それを見ながら「おお、攻めてるな」と思いつつ、しっかりパフォーマンスできたら、絶対にいいものになるだろうとも思っていて。100%、いや、120%のパフォーマンスをしなければということで、本当にドキドキで。

むんちゃ:まだ言えないけど、今までにやったことのないことをやる予定だからね。

cody:そうなんです。

むんちゃ:だから当日までにめっちゃ練習します。最高の状態で見てもらえるんじゃないかと思うとすっごく楽しみだし、来る予定のみんなも楽しみにしていてほしいです。

スージー:ここ1年で見つけてきた私たちのテーマって「進化」だったのかもと、今日インタビュー受けながら思いまして。当日はクアトロで、新たなゴホウビの形を見せられるかもしれない。みなさんこうご期待、と申し上げておきます。

405:ゴホウビはこの1年で、バンドとしてのまとまりがより強くなったと思っていて。あとはそれをいつも通り出すだけ。体調管理に気をつけて、気持ちよく本番を迎えたいです。

取材・文◎蜂須賀ちなみ
写真◎淵上裕太

『GOHOBI QUATTRO -spicy-』

発売日:2024年10月23日(水)

・TRACK LIST
01.ぶっとばすからね
02.つまりは
03.ジャンクミュージック
04.ブラウス
05.ヒトリヨガリ
06.MAKUAKE
07.呼吸
※Bonus Track
TVアニメ『疑似ハーレム』オープニング主題歌「ブラウス」瑛二&凛が歌ってみた(TV size ver.)
※初回限定盤のみ

■通常盤 CD only

PCCA-06339
2,500円(税込) 税抜:2,273円

■初回限定盤 CD+Blu-ray+グッズ

PCCA-06338
8,800円(税込) 税抜:8,000円

【初回限定盤特典】
メンバーによるセルフライナーノーツ付ブックレット
Blu-ray映像コンテンツ
スパイシーなカレンダー
スパイシーなアクリルスタンド
いつでもゴホウビ レコードキーホルダー

【Blu-ray収録内容】
「ブラウス」ミュージックビデオ
「MAKUAKE」ミュージックビデオ
「呼吸」ミュージックビデオ特別編
ゴホウビの休日〜ヒット祈願!パワースポット編〜

【販売法人別特典】
Amazon.co.jp:メガジャケ
タワーレコード・TOWER mini全店・タワーレコードオンライン:缶バッジ3種類ランダム
楽天ブックス:クリアファイル
HMV,HMV&BOOKS:アクリルキーホルダー
全国アニメイト(通販含む):「結婚するって、本当ですか」オリジナルL判ブロマイド
セブンネットショッピング:オリジナルピック
きゃにめ:「疑似ハーレム」「異世界ゆるり紀行 〜子育てしながら冒険者します〜」の選べるアナザージャケットカード

<GOHOBI ONEMAN LIVE「ゴホウビクアトロ全部のせ!」>

日程:2024年11月15日(金)
開場:18:15 / 開演:19:00
会場:渋谷CLUB QUATTRO
チケット情報 : 全自由:4,500円(ドリンク代別)

一般発売受付中
受付期間:2024年11月14日(木)18:00まで
受付URL:https://eplus.jp/gohobi/

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