【コラム】ゴホウビがさらなるアップデート。ポップソングラバーにもアニメファンにも刺さるタイアップ曲2作連続リリース
11月15日、渋谷CLUB QUATTROでワンマンライブ<ゴホウビクアトロ全部のせ!>を開催するゴホウビ。同公演はゴホウビのワンマンライブ史上最大キャパであり、メンバーにとって“挑戦”であることから、2024年は「Road to QUATTRO」を掲げて精力的に活動中だ。
2月7日に配信リリースした「ラブシャッフル」がバイラルヒットし追い風が吹くなか、4月3日には名刺代わりの1st EP『GOHOBI QUATTRO -sweet-』をリリース。リリースイベントとして全国をまわり、フリーライブを行った。さらに、わずか2ヶ月後の6月1日には、「SAITAMA NISSAN presents Active On 2024」のキャンペーンソングである「呼吸」を配信リリース。「呼吸」は、さらっと吹き抜ける爽やかさ、何も言わずにそばにいてくれる温かさ、こちらが心を決めた際には送り出してくれる力強さを持った風のような歌声、サウンドによる曲で、ドライブと人生を重ねた歌詞もじんわりと沁みた。例えば《答えより小さな花/見つけにゆこうよ》というフレーズが素敵だ。
そしてまだまだ、ゴホウビは止まらない。7月には、アニメのタイアップソングを一気に2曲リリースだ。同じアーティストが同クールのアニメ主題歌を2作同時に担当するケースは多くない。ゴホウビの楽曲が周囲から評価されつつある証だろう。
1曲目は、TVアニメ『疑似ハーレム』のオープニング主題歌「ブラウス」。アニメ第1話の放送日と同日の、7月5日に配信リリースされた。
『疑似ハーレム』は、「男に生まれたからには一度はモテてみたい」と漫画のようなハーレム状態に憧れる演劇部所属の高校生男子・北浜瑛ニ(CV:岡本信彦)と、彼に想いを寄せ、複数のキャラを演じ分けながら“疑似ハーレム”を作ってあげている後輩女子・七倉凛(CV:早見沙織)が主人公。瑛ニは恋愛に疎いところがあるが、本当は自分を見てほしいのに“キャラを演じる”という健気かつ不器用なアプローチしかできずにいる凛もまた、同じくらい不器用だ。つまり、不器用な2人によるラブコメ。cody(Vo, G)とスージー(Vo, Key)の混声ボーカルを強みとし、恋愛の美しさも情けなさも描いては最終的に人を愛らしく感じさせてくれるソングライティングに長けたゴホウビに、同作の主題歌は適任だ。
物語内の“疑似ハーレム”というシチュエーションは特殊だが、「好きな人によく思われたくてつい自分を演じてしまう」「素直になりたいけど、どうしても臆病になってしまう」という経験はきっと多くの人にとって心当たりのあるものだろう。〈どうか焼きつけて/忘れないで/君が好きだよ〉という「ブラウス」の歌い出しはかなりストレートで、スージーが凛の、そして恋する人の言えない想いを代わりに歌ってくれているよう。ブラスが華やぐイントロ、「君からしたら何でもないことかもしれないけど……」と主人公が内省するAメロ、ベース&ドラムの跳ねるようなフレージングやリズムワークによってかわいらしさが増しているBメロを経て、サビではツインボーカルが魅力を解放させている。
アニメのオープニングで流れるのは1サビまでだが、楽曲の終盤には物語の加速を感じさせる展開が待っている。特にラスサビが絶妙だ。歌詞は1サビや2サビとほぼ同じだが、〈一度だけ言うよ〉という1行が追加されていたり、キーが半音上がっていたりというさりげない演出によって、物語が進んだことが分かるし、情景がありありと浮かび、ドキドキさせられる。ぜひフルサイズで聴いてこの感覚を味わってほしい。
2曲目は、TVアニメ『異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~』のエンディングテーマ「MAKUAKE」。アニメ第1話の放送日と同日の、7月8日に配信リリースされた。
『異世界ゆるり紀行』の物語は、異世界に転生した青年・タクミが、森を彷徨っていた幼い双子の子ども=アレンとエレナを保護するところから始まる。タクミは神様の手違いで死んだことから転生時に規格外のスキルを与えられていて、アレンとエレナは魔物を自力で倒せるほど強い。身の危険を感じながら暮らさなくて済むという意味でイージーモードの3人は、タイトルの通り、ゆるりと異世界を探訪しつつ、“親子”として絆を深めていく。
同作のエンディングを彩る「MAKUAKE」はファンファーレから始まり、ボーカルの歌い出しとともに、ピアノやストリングスを含むリッチなバンドサウンドが立ち上がる。リズムがスウィング&シンコペーションするジャズ調のナンバーで、3連符によるBメロのメロディも印象的だ。2019年にリリースされたゴホウビの人気曲「ゴキゲンなLOVER」の系譜を継いだ、「オトメン(※ゴホウビファンの呼称)に限らず、ポップソングが好きな人はみんな好きになっちゃうでしょう」と言いたくなる曲。同時に、今のバンドのアンサンブル&ソングライティングによって確かにアップデートされていることも特筆しておきたい。
全体的にハッピーな曲だが、ボーカルは明るくも切なく、サウンドが盛り上がるポイントでは〈当たり前に繋ぐ手も/いつか離れる日がくるのだから〉と歌われている。『異世界ゆるり紀行』のタクミはアレン&エレナの本当の父親ではないし、たとえ家族であっても親と子は別の人物だから、やがて違う道を選ぶ日が来るだろう。自分たちの意思とは関係なく、別れなければいけなくなることもあるかもしれない。
曲中の〈いつまでも いつまでも〉というリフレインも、〈アイスキャンディ食べながら/遠回りして帰ろう〉という何気ないシーンの描写も、“今ある日常は永遠に続くものではない”という前提ありきだ。その上でこの曲は、“だからこそ今を楽しもう”というメッセージに帰着し、〈きっとしあわせだ〉と締め括っている。きらめくバンドサウンドが、あなたの日常にもきっとある、見逃してしまいがちな幸せに気づかせてくれるだろう。
新たにこの2曲を携えながら、クアトロワンマンへ向けてさらに勢いづくゴホウビ。ライブでどう演奏されるのかを想像しながら、4ヶ月先の予定を楽しみにしていたい。
文◎蜂須賀ちなみ
「ブラウス」
配信リリース日 : 2024年7月5日(金)
タイアップアニメ : TVアニメ『疑似ハーレム』オープニング主題歌
※TOKYO MXほかにて7月4日(木)24時30分[=7月5日(金)0時30分]からアニメ放送開始
アニメ公式サイト : https://gijiharem.com/
アニメ公式X(@GijiHarem) : https://twitter.com/GijiHarem
音楽配信サービス一覧 : http://lnk.to/blouse
「MAKUAKE」
配信リリース日 : 2024年7月8日(月)
タイアップアニメ : TVアニメ『異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~』エンディングテーマ
※テレ東・BSテレ東ほかにて7月7日(日)25時50分[=7月8日(月)1時50分]からアニメ放送開始
アニメ公式サイト : https://isekai-yururi-anime.jp/
アニメ公式X(@iseyuruanime) : https://x.com/iseyuruanime
音楽配信サービス一覧 : https://lnk.to/makuake
<GOHOBI ONEMAN LIVE「ゴホウビクアトロ全部のせ!」>
開場:18:15 / 開演:19:00
会場:渋谷CLUB QUATTRO
[チケット情報]
全自由:4,500円(ドリンク代別)
一般発売受付中
受付期間:2024年11月14日(木)18:00まで
受付URL:https://eplus.jp/gohobi/
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