【インタビュー】ゴホウビ、挑戦を続け見えたもの「このEPに未来をすごく感じています」

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1年前、自身最大規模のワンマンライブを東京・渋谷クラブクアトロで開催することを発表。そこからゴホウビは、メジャー1stEP『GOHOBI QUATTRO -sweet-』をはじめ、タイアップ曲含む多数の楽曲をリリースし、精力的にライブ活動を行ってきた。そして10月末にはEP『GOHOBI QUATTRO -spicy-』をリリース。

◆撮り下ろし写真

そんなゴホウビは、この1年で“見つけたもの”があるという。クアトロワンマン<ゴホウビクアトロ全部のせ!>も目の前に迫ってきたいま、『GOHOBI QUATTRO -spicy-』をきっかけにゴホウビの現在地点を探ってみたい。

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▪️自分たちの欲望に忠実になりながら、どんどん挑戦していくべき

──『GOHOBI QUATTRO -sweet-』リリース時以来のインタビューです。その時に「盤があると、いろいろなところに歌いに行けるからいいよね」という話も出ましたが、この半年のゴホウビはまさにそういう活動をしていましたね。CDショップでのリリースイベント、ショッピングモールでのフリーライブ、サーキットイベントへの出演、そして下北沢ReGでの<1000円ポッキリワンマンライブ〜 友達連れてきたら1人無料で観れちゃうよ!〜>。

cody(Vo, G):本当にいろいろなところに歌いに行かせてもらいましたね。大阪、名古屋……。

405(B):あとは越谷、立川、土浦とか。

──「届きさえすれば、もっと多くの人に好きになってもらえるだろう」という確信に基づいたアクションだったかと思いますが。

405:まさにそうですね。あとは、顔が見える状態でのパフォーマンスを見てもらったり、生で音楽を感じてもらったりすることで、ただ流れてくる曲を聴くよりも、よりゴホウビの音楽を感じてもらえるんじゃないかという狙いもありました。

スージー(Vo, Key):1000円ライブも含めて、本当に「1回見てみ? 好きになるから」という感じでした。私たち、ライブがマジでいいんですよ。そこは自信があるけど、ライブハウスシーンにイマイチ飛び込めていないというジレンマもあって。だったら、いっそ自分たちの居場所は自分たちで作ろうと。


──各地でライブをやってみて、どんなことを感じましたか?

cody:特に大阪、名古屋に関しては、正直「全然人おらんかったらどうしよう」という気持ちもちょっとあったんですよ。僕ら、東海・関西の方にあんまりライブをしに行ったことがなかったので。だけど行ってみると、ちゃんと待ってくれている人がいたので、すごく嬉しかったです。

スージー:ぶっちゃけ1000円ワンマンをやる時も「5人くらいしか来ないんじゃない?」と言ってたくらいで。

──5人ってことはないでしょう。

スージー:ゴホウビって、SNSでエゴサしてもそんなに出てこないから、そう思っちゃってたんです。だけど蓋を開けてみたら、「アニメがきっかけで知ったんですよね」という人も含めてたくさん人が集まってくれて。さっきcodyも言っていたように「いてくれたんだ」と。

むんちゃ(Dr, Cho):安心したし、嬉しかったよね。

スージー:うん。SNSに書かずに、サイレントに楽しんでくれている人もいる。みんなの声がダイレクトに聞こえてくる時代だし、SNSで話題に上げてもらえるとやっぱり嬉しいから見ちゃうけど、自分はそれにちょっと左右されすぎていたかもと思いました。来てくれた人はみんな、帰っていく時には「きっとゴホウビのことを好きになってくれたんだろうな」っていう表情をしていたし、ゴホウビを聴いてくれている人の数は確実に増えている。そう実感できたので、いろいろな場所をまわれてよかったです。

cody:イオンモールでは、家族連れや夫婦の方もけっこういらっしゃって。初めて聴いてその場でCDを買ってくださった方の中には「よかったよ。俺も昔バンドやってたんだよね」と声を掛けてくれた人もいました。そういう新しい出会いも嬉しかったし、引き続き、盤を持って歌いに行く活動はコツコツやっていきたいですね。

405:歌いに行く活動も必要だし、よりたくさんの人に響くパフォーマンスができるように、修業もまだまだ必要だと痛感しているところです。


──この半年の間には配信シングルのリリースもありました。「SAITAMA NISSAN presents Active On 2024」キャンペーンソングの「呼吸」。TVアニメ『疑似ハーレム』オープニング主題歌の「ブラウス」。TVアニメ『異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~』エンディングテーマの「MAKUAKE」。TVアニメ『結婚するって、本当ですか』エンディングテーマの「つまりは」。

むんちゃ:特に「ブラウス」と「疑似ハーレム」は親和性があったというか、ガチッとハマったような気がしていて。主題歌がきっかけでゴホウビを知ってくれたアニメ勢の方が、「ゴホウビの他の曲も聴いてみたけど、全部いい」と言ってくれているのを見るたびに、「よっしゃ!」って嬉しくなってます。さっきスーが話していたように、1000円ワンマンは「1回ちゃんと聴いてみて! そしたら良さが分かるから!」みたいな感じでやることに決めたんですけど、「ここからどんどん入っておいでよ!」と今も思っていて。「つまりは」はちょうど今アニメで使ってもらっている最中ですからね。



──「呼吸」「ブラウス」「MAKUAKE」「つまりは」いずれもスージーさんがメインで作詞作曲を手掛けています(「ブラウス」「つまりは」の作詞は405と共作)。タイアップ仕事が連続していたわけですが、どんな気持ちで、どんな意識を持って曲を書いていましたか?

スージー:気持ちとしては「ありがたいな」っていう、本当にそれだけですね。アニメを観られている方はもちろん、観ていない人にも同じだけの共感や感動を覚えてほしかったから、「アニメの内容に寄りすぎないように」と心がけていました。それが逆によかったんじゃないかな。

むんちゃ:うんうん。

スージー:多分、アニメを制作されている方も、音楽を作る私たちと同じように、「視聴者にこんなメッセージを伝えたい」と考えながら作っていると思うから、そこを汲み取ろうと、一生懸命原作などを読ませていただいて。特に『異世界ゆるり紀行』がそうでしたけど、自分では書かないテーマと向き合う機会をたくさんいただきました。私は子育てをしたことがないから、『異世界ゆるり紀行』の主題歌を書くというきっかけがなければ、家族について深く考えて曲にすることもなかったんだろうなと。いい経験をさせていただきました。



──そんな4曲+新曲3曲が収録されたEP『GOHOBI QUATTRO -spicy-』が完成しました。どのような作品になったと感じていますか?

スージー:いろいろな角度からスパイシーな世界を描けたなと思っています。『GOHOBI QUATTRO -sweet-』は既存の曲が多かったですけど、今回は新曲を3曲入れさせていただいて。今まで大切にしてきたゴホウビらしさに加えて、新境地も開拓できた手応えがあります。

──1曲目の「ぶっとばすからね」は、スパイシーという言葉が似合うギターロックですね。ボーカルが《だいっきらい》から始まるのもドキッとする。

スージー:ライブでギターを弾いてくれているサポートの(山崎)裕也くんに、今回レコーディングに参加してもらったんですよ。

405:今までは4人で作った音にギターを乗せてもらうという形だったんですけど、 今回は、プリプロの段階から裕也くんに入ってもらって。だから本当にメンバーと同列という感じ。もう2年くらいサポートをやってもらっていますからね。

スージー:今まではメンバーにギタリストがいないということで、「ギターの音をどこまでサウンドの中に入れていいものだろうか?」という躊躇いがあったんですよ。だけど今回、メンバーさながらに関わってもらえたことで、ギターサウンドも躊躇なく入れられた。そうすると出来上がる曲やアレンジの中に、自然と、ゴホウビの中のロックスピリットが出てくるんですよね。作詞も音に引っ張られて、使う言葉がちょっと変わったりして。


──ロックスピリットですか。

405:今まではポップスド真ん中という感じだったけど、「もっとバンドやりたいよね」というタームがちょうど来ていたんですよ。

スージー:本当は全員、暴れるのが大好きだからね。今結成6年目なんですけど、メンバーそれぞれの本質的なところが見え始めてきている時期なのかな? 例えば「むんちゃは、もっとバシバシ叩いている方が映えるんじゃないか」と感じたり。「codyは汗を撒き散らして、俺についてこい!って言ってるのが自然だな」と思ったり。405は……別に変わらないですけど(笑)。

405:(笑)

──確かに、ライブでのゴホウビってだいぶ肉体的ですよね。演奏もMCも泥臭い。

スージー:自分たちのロックな性質がライブなどで見え隠れするようになったなら、それに合わせて曲も変化してくべきなんじゃないかと。ゴホウビとして大事にしたいことはもちろん変わっていないけど、音楽性や鳴らしたい音が変化していくのがバンドなのかなと、最近みんなと一緒にいて思うんですよ。その中で生まれたEPという感じですかね。「暴れたい」という自分たちの欲望に忠実になりながら、どんどん挑戦していくべきだと思ったから、そうしたというか。


──タイアップの仕事がたくさん来ていて、期待を背負っている中で、プレッシャーを感じて萎縮することなく、「自分たちのやりたいことができた」と言えている状況、頼もしいですね。

スージー:開き直ってしまっているんですよね。昔は「数字が」みたいな話をされるたびに、いちいちビビッて病んでましたけど、最近は「人生一度きりだし、音楽って遊びの延長線上にあるものだし」「だったら好きなことをやればいいんじゃない?」という気持ちがどんどん強くなってきていて。……えっ? 大丈夫かな?

むんちゃ:いいと思うよ。

cody:うんうん。

スージー:とにかく「やりたいことをやった」と胸を張って言える1枚で。私はこのEPにゴホウビの未来をすごく感じています。

◆インタビュー(2)
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