【インタビュー】Sorry Youthが語る、最新作『Noise Apartment』と台湾インディーズシーンの賑わい「ずっと探し続けないといけないもの」
■なぜ台湾語で歌うのかというと
■独特のリズムがあるから
──今回のアルバムの推し曲を1曲ずつ教えてください。
ジャンジャン:イーノン・チェン(鄭宜農)さんとコラボした「共に身を捨てる ft. 鄭宜農(共身軀完全放予去)」です。Sorry Youthが初めてエレクトロサウンドを試した曲なんですね。この曲で歌っているのは、愛という感情に決まった形はないということ。この曲のMVには日本語訳詞を付けたので、YouTubeでぜひ見てほしいです。
チュンハン:私は「白昼夢(踅神夢)」です。
──淡々とした演奏と熱い歌声のコントラストに加え、ダンサブルなドラムプレイが聴きどころだと思います。
チュンハン:「踅神夢」という台湾語のタイトルは、私たち3人が作った造語で、実は存在しない言葉なんです。この曲を作ったきっかけは、とある台湾のドキュメンタリーに感銘を受けたことでした。ギャンブルにはまっている父親に代わって、苦労しながら家を支えている母親の姿を描いているのですが、海を見たことがない彼女を、息子である監督が最後、海に連れていってあげる。“朝7時の区間車に乗って、海岸へ連れて行く”という歌詞は、そのドキュメンタリーからのインスピレーションです。
──最後にウェニさん、お願いします。
ウェニ:「不安の中にバイクを駆ける(我佇驚惶中騎車)」です。若者が未知の世界に一歩踏み出す時の不安と期待が入り混じる心境を書きました。誰にとっても、そういう時期は必ずあるはずですから、バイクに乗らない人でも共感してもらえると思います。この曲のサウンドもすごく気に入っています。いま、アイドルズをはじめ、海外ではポストパンクが盛り上がっていますよね。ポストパンクが好きな人は、言葉がわからなくてもまずはこのサウンドを楽しんでみてください。どんなことを歌っているのか、きっと伝わると思います。
──ジャンジャンさんがさっき言っていた「共に身を捨てる ft. 鄭宜農(共身軀完全放予去)」のMVは、センセーショナルな映像にちょっとびっくりしました。
ジャンジャン:あれはMVを監督したシュー・イェンジー(許智彥)のアイデアだったんです。彼は台湾で何本も映画を撮っているんですけど、Sorry Youthの4人目のメンバーと言える存在です。彼が出してきたアイデアを、全員が気に入ったので、MVを撮りました。曲の内容を映像で見事に表現していると思います。
──最後にSorry Youthの目標や夢を聞かせてください。
ジャンジャン:2024年は本当にいろいろなことに挑戦してきました。クラウドファンディングでアルバムを作りましたし、8月には台北流行音楽センター(キャパシティ約6000人)で、Sorry Youthとしてこれまでで一番動員数の多いワンマンライブもやりました。そのワンマンライブでは照明や映像にもかなり力を入れたんです。今回のジャパンツアーも実は1年前から準備を進めてきました。だから、今一番楽しみにしているのは、12月に1ヵ月、休暇を取ることなんです(笑)。もちろん、2025年もいろいろな計画を立てていますが、その前にしっかりと英気を養いたいと思っています。
──Sorry Youthが考えるバンドの成功とは、どんなことでしょうか?
ウェニ:メンバー全員がやりたいと思うことをやることです。
ジャンジャン:そうだと思います。一緒にやりたいことがあって、継続的に音楽を作り続けることが成功だと思っています。
チュンハン:そのためには自分たちが本当に好きだと思える曲を、まずは作らないといけない。なぜなら、その曲はその後ずっと演奏し続けるからです。1枚目のアルバムの曲を、私たちはもう10年以上演奏し続けています。それは自分たちが本当に好きだと思える曲を作ったからです。それはこれからも変わらないと思います。
──たとえば、アメリカやヨーロッパをツアーしたいとは思いませんか?
ウェニ:以前、カナダにいる友人に誘われて、一度カナダの音楽イベントに参加したことがあります。3人ともアメリカの音楽を聴きながら育ったので、もちろん行きたい気持ちもあるんです。実現するに時間は掛りそうですが、いつか絶対に行きたいと思っています。
──日本では海外進出を考えて、英語で歌うバンドが少なからずいますが、アメリカを含め、英語圏の国で活動できるようになったとき、みなさんが英語で歌う可能性はありますか?
ウェニ:英訳した歌詞を読んでもらうとか、MVに載せるとか、そういうことはすると思いますが、英語で歌うことはないでしょうね。
──それは台湾語で歌うことがSorry Youthの大事なアイデンティティだからということですね?
ウェニ:それももちろんありますが、なぜ台湾語で歌うのかというと、独特のリズムがあるからという理由もあります。台湾語は話すだけでもメロディーのようになるんです。それを他の言葉に代えてしまったら、Sorry Youthの音楽は成り立たないと思っています。
取材・文◎山口智男
撮影◎TOYO
■4thアルバム『Noise Apartment』
2024年6月12日(水)配信開始
配信リンク:https://bfan.link/noise-apartment
01. Intro
02. 噪音公寓 / 騒音アパート
03. 我佇驚惶中騎車 / 不安の中にバイクを駆ける
04. 共身軀完全放予去 / 共に身を捨てる feat.鄭宜農
05. 踅神夢 / 白昼夢
06. 袂赴啊 / 遅かった feat.曹雅雯
07. 我閣有偌濟時間 / まだ時間はどれくらいある
08. 愛是啥貨 / 愛とは何か
09. 世界第一戇 / 世界一バカ feat.謝銘祐
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