【インタビュー】Shou(ALICE NINE.)ソロプロジェクトVerde/ 、1stアルバムリリース「辛い思いをさせてしまったファンに寄り添いたい」
現在、活動凍結中であるAlice Nine.のボーカルShouが始めたソロプロジェクト・Verde/が11月6日、1stアルバム『V/』をリリースする。
本作は始動から現在まで配信してきた楽曲に新曲も加えた全10曲を収録。Shou自ら全曲作詞作曲を行ない、「Overture/」に至ってはプログラミングからミックスまで、すべてを一人で手がけた。アー写、アルバムにまつわるアートワークすべてのデザインのディレクションもShouが担当。Verde/の世界観を余すことなく1枚の作品に仕上げた今作で浮き彫りになったのは、これまであまり知られていなかったShouの姿。今作で彼がなにを表現したかったのか、なにを伝えたかったのかを本人に直撃して探った。
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◼︎Alice Nine.というバンドの価値を再定義できた
──まず、8月23日に行なった<1st ONE-MAN SHOW 「可不可」>で、“自分は1人のボーカリストとして歌っていくのは可なのか不可なのか”を問いかけてみて、どんなことを感じましたか?
Shou:自分自身は「Kafka/」という曲を作った段階から“未来が不可だろうが可能だろうが鳴らしてゆく”と自分の中で結論は先出してしまってたんですが、実際にやってみて反省すべきところもたくさんありました。でもやっぱり、歌い続けていきたいなと思いました。みんなと同じ船で、荒波の中を進んでいきたいなと決意できたライブでした。
──アンコールではAlice Nine.のメンバー3人がサプライズで登場し、一緒にバンドの曲を演奏するというサプライズステージも用意されていました。どんな思いがあって、これをやろうと思ったんですか?
Shou:バンドが凍結する前にメンバーと話し合って、Alice Nine.の20周年は何もしないっていう結論になっていたんです。でも、僕個人の思いとしては、Alice Nine.は僕たちだけのものではないんですよ。ファンの方はもちろんですが、お世話になってきたメディアの方とかメーカーの方、事務所の方、ファンの方々と一緒に作り上げてきたものなんですね。それが20年経ったというタイミングで、何もトピックがないのはちょっと無責任というか、寂しいなという思いがあったので、メンバーひとりひとりに「セッションという形で力を貸してくれませんか」と連絡をしたら、4名中3人は表に出ると応えてくれて。出ないという選択をしたメンバーも「ここで出ちゃったら、じゃあなんで凍結したのか、みなさんに申し訳が立たないじゃないか」という考えあっての選択なのかもしれないし。彼はそういうことをちゃんと考えてる人なので、それぞれがバンドのことを考えた結果というだけ。手段は分かれましたけど、気持ちとしてはメンバー各々Alice Nine.を応援してくださってる方を大事に思った上での選択でした。その結果、Verde/のサポートをやってもらっている摩天楼オペラの燿君を入れた5人でステージに立ったんです。燿君は「Alice Nine.のメンバーだけにしかないものがあるね」といってくれて。来ていたお客さんにもそういうことをいっていただけたので、Alice Nine.というバンドの価値を再定義できてよかったなと思ってます。
──Verde/として歌っているときとの違いはなにか感じましたか?
Shou:僕、基本的にめちゃくちゃ真面目なんで、なんでも真剣にやっちゃうんですよね。でも、Alice Nine.のメンバーとやると肩の力が抜ける感じがある。Alice Nine.のなかでクリエイティブ面だと、僕と沙我が結構似てて。考えに考えて緻密にことを運んでいくタイプなんですけど、対してNaoさんは計算はできるけど本能的なところがあって。ギター2人は動物的な感じ。なので、その野生の動物的な感じに触発され、荒々しい自分が引っ張り出されるんですよね。
──Alice Nine.では真面目だからこそメンバーに引っ張られてステージでは荒々しいパフォーマンスをしていくShouさん。そんなShouさんがVerde/としてこれまでステージに立ってきて、改めて発見したことはなにかありましたか?
Shou:これまでSHINとツーマンをやったり、HYDEさんを間近で見る機会がたくさんあって学びつつも、俺はこの人たちとは違う道をいかないといけないんだなと最近思います。
──お! そんな発見が。
Shou:ええ。なんか、動きまくって映える人間じゃないなと思いました。20代の頃から「BUCK-TICKの櫻井さんのステージングを見ろ」と、いろんな人にめちゃくちゃいわれてきて。
──そうなんですか?
Shou:ええ。散々いわれました。動かなくていい、立ってるだけでカッコいいんだからって。
──初めてAlice Nine.のステージを見たとき、じつは私も同じことを思いました。周りからそういわれても、パフォーマンスを変えなかったのはなぜなんですか?
Shou:性格がじっとしていられないんですかね。最近メタル界隈の人と会話することが増えたんですけど、めちゃくちゃ話が合うんですよ。色々研究してるんだけど、パフォーマンスは荒々しかったり激しかったりする。俺、めちゃくちゃそっち寄りで。ノリ的にもメタルとかハードコアなノリでライブするのが一番好きなんですよね。でも、それに見合うように修行もしましたよ。そしたら発見もあって。
──どういうところが?
Shou:体幹とか、重心移動とかがすごく磨けて、自分の弱点と自分の良さを見直せたんですよね。正しい声のポジションにないと、歌はぶれてしまうんです。そのポジションをがっちり固めて歌うことが大事で。メタルのボーカリストが自分の決まったテリトリーから動かないのは、そういう理由なんですよ。<可不可>の映像を見たときに、練習の3割ぐらいしか歌えてないなと思ったのは、動くことによってポジションがブレブレになってることが理由だったなと気づいて。
──あの日は、2回もステージから降りてきて、フロアを回遊しながら歌っていましたもんね。
Shou:あれは、想像を超えた意外性が欲しいなと思って。
──その起爆剤になれたらという発想ですか?
Shou:あのときはそうでした。Alice Nine.のときは、放っておいてもヒロトとNaoがやってくれたんですけど、いまのVerde/にはそういうメンバーがいないから、僕が散らかすしかない。
──はははっ。
Shou:それもそれで、ひとつの良さはあるんです。でも、ソロボーカリストのワンマンライブと考えると、やはり歌のポジションをぶらさないことのほうがすごく大事だなと思いましたね。僕もすごい難しい曲ばかり作ってしまったんで。声のポジション、大事ですね。
──そのためには、舞台真ん中に構えて、安定感あるフォームで歌を届けていくのが一番いいというのを発見した<可不可>のライブでもあったと。
Shou:はい。そうしないとダメだなと思いました。勉強になりましたね。1stアルバム『V/』を作ったいま、このクオリティーの高いメロディー、曲をしっかりとお見せできるライブを組み立てていかないとな、という思いになってます。
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