【速レポ】モンパチフェス＜WWW!!24＞、WWW!! Special Session古謝美佐子＋玉城千春(Kiroro)“Okinawa moon”正真正銘のうちなーむーん

「WWW!! Special Session」と題された、＜What a Wonderful World!!＞だけの特別なコラボレーションアクト。この日登場したのは沖縄民謡歌手の古謝美佐子。60年代からさまざまなジャンルとクロスオーバーしながら沖縄民謡を伝えてきた第一人者だ。「百々」に客演したり、古謝のアルバムにもキヨサクが参加したりするなど、モンパチとの関係も深い彼女とコラボレートするのはKiroroのボーカル・玉城千春だ。

◆ライブ写真

ふたりによる「Okinawa moon」と名付けられたセッションは、まず玉城が登場して佐原一哉によるピアノの伴奏に合わせて民謡「芭蕉布」を歌いはじめるところから始まった。夕暮れの風が気持ちよく吹き抜けるなか、続いて古謝が登場。玉城から引き継いで歌を届けていく。そして沖縄の人々に愛され続ける沖縄民謡を代表する1曲「てぃんさぐぬ花」へ。「ご一緒に」という玉城の声に、観客の間からも歌声が響き出す。穏やかな旋律なのに、古謝の声には迫力があって圧倒されてしまう。


と、2曲を終え、うちなーぐちで自己紹介するとそそくさとステージ袖に引っ込む古謝。ここからは玉城のソロコーナーだ。「みんながわかる歌を歌います」とアカペラで歌い始めたのはKiroro「未来へ」。金川哲也のアコースティックギターとともに晴れやかな歌声が広がる。気持ちよさそうに身体を揺らすオーディエンスに玉城が「わかる方は一緒に歌ってください」と語りかける。「はい」とマイクを向けると《ほら　足元を見てごらん》とみんなの歌声が沸き起こった。

そして玉城の母校である読谷中学校の生徒とともに歌詞を書いて生まれた「命の樹」を経て、玉城ソロの最後を飾るのはKiroroの「Best Friend」。最後は「1、2の3、はい！」という合図で《ラララ》の大合唱、そして声を合わせての《Best Friend》。「ふー！　今日は最後まで楽しんでいってね！」。まるで友達に話すように笑顔で呼びかけると、「またねー！」と玉城はステージを去っていった。



続いては古謝の出番。ピアノに合わせて沖縄の言葉に翻訳した「アメイジング・グレイス」を歌いながら登場してきた彼女をオーディエンスが拍手や指笛で出迎える。歌い終えて佐原が「古謝美佐子、70歳」と年齢を紹介すると、古謝が「なんで年齢を……」とすかさず突っ込む。佐原は古謝の夫でもあり、ステージ上での掛け合いはまるで夫婦漫才だ。場が和んだところで、古謝が三線を弾いて「ナークニー」を歌い始めた。声ひとつで空気がピリッと引き締まる感じがする。するとステージに粒マスタード安次嶺や玉城が現れて踊り出す。さらにそれを見ていたキヨサクも登場。盛り上がっている様子を見て「つい出てきてしまいました」とのこと。一気にステージの上が賑やかになった。



「Okinawa moon」というこのセッションは「月」のムーンと、沖縄のものを意味する「うちなーむーん」を掛けている、とキヨサクが明かすと、古謝も玉城も今気付いた様子でびっくり。確かに世代を超えて歌い継がれていく沖縄の歌は、正真正銘のうちなーむーんだ。そして佐原がピアノ、そして古謝が三線を弾きながら玉城とキヨサクもともに名曲「童神」を披露。NHK連続テレビ小説『ちゅらさん』の挿入歌にもなった古謝の代表曲だ。3人の声が重なり、少しずつ暮れていく宜野湾の空に溶けていく。最後は4人で肩を組んでポーズ。沖縄への愛とそこで生まれた歌へのリスペクトが溢れる、すばらしいステージだった。

文◎小川智宏
写真◎macoty