【インタビュー】mol-74、「“こんなバンドいたんだ!”と思ってもらえる曲を作りたくて」

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◼︎mol-74、かなりパワーアップしてます

──そして、武市さんが中心となって作られた「また思い出しただけ」は、“日付”をコンセプトにした曲です。

武市:去年、僕の祖母が亡くなってしまったんですけど、誕生日に毎年お祝いというか、電話をしたりしていたのもあって、そこから日付に対しての記憶について考えることが増えたんです。亡くなっても誕生日は残り続けていくものだし。



──そうですよね。

武市:本来は情報がないただの数字に、記念日とかのデータが入って記憶と結びつくのは、改めて不思議なことだなって。「また思い出しただけ」は、"今日"が別れてしまった恋人の誕生日や記念日だったという設定を描いて、その日が来ると思い出すみたいな現象をテーマに曲を書いてみました。

──聴いた人それぞれの記憶が色づいて、映像が浮かび上がってくるような曲だと思います。

武市:具体性のある歌詞にもチャレンジしたかったんです。今年リリースしたアルバム『Φ』に「BACKLIT」という曲が収録されていて、リードトラックとしてMVを作る中で、もうちょっと踏み込んだ内容でもよかったんじゃないかみたいな。反省じゃないんですけど、そんな話をメンバーとしてもいたから、日付をキーにするのはいいかもしれないなと。



──武市さんとしては、これまでとはまた違うmol-74を見せられた手ごたえもありますか?

武市:そうですね。『Φ』のリリースツアー後半を成功させたくて、mol-74を知らなかった人に“こんなバンドいたんだ!”と思ってもらえる曲を作りたくて、僕がすごく考え込んでしまったりもしたんですけど、メンバーのアドバイスに助けてもらいつつ、シーケンスなどをいったん抜きにした、4人の音だけで完結できるシンプルな方向性に行き着きました。原点回帰のようで、自分たちには珍しい、具体的で共感性の強い曲です。

──具体的な描写が多いとは言っても、“何月何日”と限定した日付を歌っているわけじゃないし、聴き手によって異なる日を思い出せるような、さまざまな解釈ができる曲ですよね。

武市:パーソナルな色が出すぎてしまうのは違うなと思ったし、おっしゃるとおり聴いてくれた方の記憶にある日を浮かべられるようにしたかったので、仮タイトルも「月日」でした。ただ、それだとざっくりな感じというか、具体性にも欠ける。今までのmol-74になかったような新鮮味も出したくて、「また思い出しただけ」に変えました。

──なかなかないタイプの曲じゃないですか?  “失恋ソング”みたいにジャンルで括れない深みがあるし、別れを歌っていながらとてもポジティブな後味があって。

武市:ありがとうございます。決してネガティブな方向じゃなく、じんわりと温かい曲にしたいことは、作り始める段階でメンバーとも話していました。なんて言うのかな……この主人公は日付から別れた恋人を何気なく思い出すんですけど、相手にめちゃくちゃ執着があったりだとか、あの頃に戻りたいとか、そういう感情はなくて。ふわっと匂う香りくらいのイメージなんです。

──過去を回想しながらも“随分薄味のように感じるけど”と歌ってますもんね。

武市:そうそうそう(笑)。心が掻き乱されるわけでもない。日付が記憶と結びついて“あの頃、楽しかったな”と、ほんのり思うくらいかな。そんなテンション感にしたかったんです。

坂東:いい軽さが出てますよね。ハイハットの裏打ちも上手いことハマって、演奏していて新鮮でした。高速で刻むようなありふれたパターンじゃないから、僕らっぽさがちゃんとあると思う。こんなにがっつりと裏打ちしたのは、mol-74史上初なんですよ。

武市:Laura day romanceの「透明」が好きで、制作時期によく聴いていたんです。この曲のさりげない裏打ちがよかったんですよね。嫌らしさみたいなものがまったくなくて。ザ・ワイルドライフの「You Don't Love Me (Like You Used To)」も、スネアの軽さとかバスドラムの重みがヒントになりました。

髙橋:ドラムの小気味よさに合わせたくて、ベースはひさしぶりにピック弾きをしています。「また思い出しただけ」は4人だけのアンサンブルなので、ダレないような音の配置もすごく考えつつ、和音弾きみたいなことをしてみたり、ボトムを支えるロー感がサビで強く出るようにしたり。シンプルだけど聴き飽きない、それでいて歌に集中できる曲にしたかったです。

井上:今回の2カ月連続でリリースした新曲って、それぞれキャラクターがまったく別だと思うんですけど、僕の中ではどちらもmol-74っぽいんですよ。ボウイングとか凝ったプレイも入れた「脈拍」に対して、「また思い出しただけ」はシンプルな僕ららしさを楽しんでもらえる気がします。より季節にフォーカスした曲でもあるので、秋に合うような円みのある音や澄んだ空気感を意識したり、繊細な音づくりができたんじゃないかな。



──「エイプリル」のように、「また思い出しただけ」も毎年聴きたくなりそうです。

武市:何月と限定してはいないですけど、人肌恋しくなってきた頃に合うサウンドで作ったつもりなので、聴いてくださった方にとって大切な曲になったら嬉しいですね。

──ふわっと思い出すくらいの軽さが心地いい曲ですけど、未来を強く歩んでいってほしいみたいな想いも込めていますか?

武市:いや、そこは全然ないですね。今日のことを歌ってはいるんですけど、未来に対しての感情はゼロ。ストレートに過去をフィーチャーした曲です。

──タイトルどおり、また思い出した“だけ”というか。

武市:そう! 思い出した“だけ”なんですよ。思い出したからこうしたいとか、強く生きていきたいという意図はない。日常がただスクロールされていくように、重苦しくなくて、淡々としている。サウンド同様、メッセージも非常にシンプルです。

──さっぱりしてますね。

武市:うん。あっけらかんとしているんだけど、その思い出は自分の人生にとってすごく大切なもの、みたいな感じ。こういう曲はmol-74になかったかもしれないですね。「エイプリル」はちょっと重めなので。

──ツアーで新曲が聴けるのも楽しみにしています。

武市:「脈拍」と「また思い出しただけ」でくっきり出せたmol-74の二面性に対して、どんな反応があるのか、僕らも楽しみです。バンドのグルーヴ感は中国ツアーでかなり深まったと思うので、良い状態のまま臨みたいですね。

髙橋:『Φ』のリリースツアー後半に向けて、今年はずっとやってきた感じもありますからね。ひとつの集大成じゃないけど、このライブでしっかりといい演奏を届けたい気持ちが強いです。

坂東:ツアーの前半とはセットリストもガラッと変わるし、絶対にいいライブをします。新曲を聴いて、遊びに来てください!

井上:僕らとしても今すごく自信がある状態なので、楽しみにしていてほしいです。mol-74、かなりパワーアップしてます。



──「脈拍」のボウイング奏法も、とぅんさんがアップしたアンオフィシャルの映像でしか観られてないから、ちゃんとライブで味わってみたいです。

全員:わはははは(笑)。

井上:あれは真剣にふざけ倒した動画なので、ライブではもっともっとカッコよくやります!

武市:もしかしたら、ツアーではあの映像をバックに演奏するかもしれません(笑)。

井上:それやったら、オフィシャルに格上げしてくれ!

坂東:おかしいでしょ(笑)。

髙橋:ぜひ、ライブに来てください~!

取材・文◎田山雄士

mol-74 2カ月連続デジタルリリース

「脈拍」
作詞:髙橋涼馬
作曲 / 編曲:mol-74
配信URL:https://lnk.to/mol-74_myakuhaku
Official Audio:https://youtu.be/F86LdwedNFg

「また思い出しただけ」
作詞:武市和希
作曲 / 編曲:mol-74
配信URL:https://lnk.to/mol-74_mataomoidashitadake
Official Audio:https://youtu.be/jiZy0-MI4Ww

mol-74「Φ」release tour final

10/25 (金) 名古屋:JAMMIN’
11/1 (金) 大阪:Music Club JANUS
11/8 (金 東京:Zepp Shinjuku

チケット
一般:¥4,500 (税込/D別)
学割 (枚数限定): ¥3,900 (税込/D別) ※当日学生証のご提示が必要です
チケット 一般発売:https://eplus.jp/mol-74/

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