【インタビュー】FAKE TYPE.、10周年イヤーに原点と新機軸「偽物が本物になっていくストーリーを見せたい」

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FAKE TYPE.が10月9日、デジタルEP『Cats are dangerous EP』をリリースした。同EPにはすでに配信中の「Zillion playerZ feat. nqrse」を含む計5曲を収録。映画『ONEPIECE FILM RED』提供曲「ウタカタララバイ」やTOPHAMHAT-KYOが作詞を手掛けたAdoの「唱」などで知られるFAKE TYPE. らしさはそのままに、EPに収録された5曲には新たなチャレンジを詰め込んだという。

◆FAKE TYPE. 画像 / 動画

美学を貫いた10年間の最高到達点がここにある。結成10周年のアニバーサリーイヤーを迎えたFAKE TYPE.の新しいEP『Cats are dangerous』は、得意技の狂騒的エレクトロスウィングをあえて控えめに、ゲストを迎えた王道ラップチューンやロックテイスト、過去を振り返るメモリアルな楽曲などバラエティ感満載の意欲作だ。FAKE TYPE.はいかにしてリアルへと進化したのか? 二人の話に耳を傾けよう。


   ◆   ◆   ◆

■エレクトロスウィング一択じゃないんです
■好きなことをやり続けられればいい


──正確に言うと、いつが結成10周年なんでしたっけ。

DYES IWASAKI:去年12月で10周年で、今年11月で11周年です。

TOPHAMHAT-KYO:だから今は、とりあえず10周年中ではありますね。

──3月にやったビルボードライブ横浜の公演が、10周年記念ライブ<FAKE TYPE. 10th Anniversary Live in Billboard Live YOKOHAMA>
と銘打っていて。

TOPHAMHAT-KYO:そうです。初めてディナーショーみたいなことをやりました。

DYES IWASAKI:めっちゃ面白かったよね。目の前で飯食ってる人がいて、でも僕らの曲って落ち着かせる曲がないじゃないですか(笑)。めっちゃノリノリみたいなことになって、案の定、目の前の人のお皿を見たら結構残ってて。

TOPHAMHAT-KYO:だからMC中に、「あ、気にせず飯食ってね。もったいないから」って(笑)。

──あの企画は自分たちで言い出したんですか。ビルボードライブでやってみたいって。

DYES IWASAKI:そうです。ディナーショーへの憧れがあって(笑)。FAKE TYPE.と一番程遠い感じで、やらなさそうな音楽性だからこそ、ちょっとやってみたいというわがままを言ってみました。

TOPHAMHAT-KYO:記念にネオンも作って、それ以外ではまだお披露目できていないんですけど。またライブをやる時に、自分たちの主催とかだったら置けると思うので。

──恒例化したら面白いです。

DYES IWASAKI:また機会があればぜひ、という感じです。普通に楽しかったので。


▲TOPHAMHAT-KYO (MC)


▲DYES IWASAKI (TrackMaker)

──あらためて、結成10周年おめでとうございます。途中、3年半の休止もありましたけど、10年と聞くとどんな思いがありますか。

TOPHAMHAT-KYO:やっぱり長いなと感じるんですけど、とりあえず必死に音楽をやっていたので、10年続いた自分たちを褒めてあげたいです。自分が10年続けたものって他に何かあるかな?と考えた時に、なかなかないかなと思うので。音楽自体は長いんですけど、一個のグループとして続けられたのはFAKE TYPE.しかないので、やっていてよかったなとあらためて思いますね。

──続けられたのは、何が良かったんでしょう。

TOPHAMHAT-KYO:やっぱりFAKE TYPE.って、最初はあんまり他の人たちがやっていないようなことをやって。抜け穴じゃないけど、そういうところを突いていったらいいんじゃない?みたいな話でやっていて。でも最初は抜け穴すぎて(笑)。

DYES IWASAKI:そうだね(笑)。

TOPHAMHAT-KYO:なかなか目に留まらずだったんですけど、知る人ぞ知るみたいな感じで、ようやく2〜3年前ぐらいから「FAKE TYPE.やばいよね」みたいことを肌で感じるようになってきて、今までやってこなかった楽曲提供もやり始めて。

DYES IWASAKI:一気に来たよね。

TOPHAMHAT-KYO:そこからは止まらず、走り続けている感はありますね。で、今回のEPって、エレクトロスウィング一択じゃないんですよ。基本的に、好きなことをやり続けられればいいのかなという、その一環ではあるんですけどね。

──俺たちはFAKE TYPE.だと名乗るところから始めて、10年経って今が一番盛り上がっている、そんなグループっていないと思うんですよね。

DYES IWASAKI:FAKE TYPE.は、偽物が本物になっていくストーリーを見せたい、みたいなところがあったので。ようやくちょっとずつ近づいてきたんじゃないかなと思いますね。



──そして10周年記念作の最新EP『Cats are dangerous』。さっきちょっと言いかけた、エレクトロスウィング以外の曲調がぐっと増えて、バラエティ度が爆発したのが最大の特徴だと思うんですけども。

TOPHAMHAT-KYO:エレクトロスウィングは一回お休みして、ちょっと違うこともやろうということですね。

──それは昨年、『FAKE SWING 2』を出した時から考えていた?

TOPHAMHAT-KYO:次はそっちをやろうと決めていました。結局、1曲だけエレクトロスウィングが入っちゃったんですけど。まぁ1曲ぐらいは入れとかないと、ぐらいの感じで。

──そのへんの心の動きをあらためて。これからも長く続けるために、ちょっとここで気分を変えるというか、変化球を投げてみようとか、そんな感じですか。

TOPHAMHAT-KYO:何ですかね? みんながエレクトロスウィングを求めてくれているのもわかるんですけど、エレクトロスウィングじゃないFAKE TYPE.を知っている人たちも中にはいて、そういうものを聴きたい人もいるだろうと思いますし、自分も別に、エレクトロスウィングだけをやる場所とは考えていないので。こういうもの(他の曲調)があったほうが、ライブをやる時の味変みたいな感じにもなりますし、メリハリや色の違いも出ると思うので、ライブのためにいい効果が生まれるかな?と僕は思いましたね。

DYES IWASAKI: FAKE TYPE.の作品は「エレクトロスウィング一辺倒にはしたくないね」という話は元々していて、だから最初のアルバムはジャンルごちゃ混ぜで、わりとエレクトロスウィングが多めみたいな感じで提示して、どっちの音楽性でもできるような伏線を提示していたので。今回はFAKE TYPE.のそういう面を求めている方にも向けたアルバムになっていると思います。

──逆に言うと、エレクトロスウィングが定着した今だからこそ、違うことをやってもFAKE TYPE.らしさが出るんじゃないかと思います。DYESさんの曲作りは、今までとやり方が変わってますか。頭の中の切り替えも含めて。

DYES IWASAKI:ああ、そうですね。でも今回のアルバムで新しく作ったのは3曲しかなくて、1曲目と2曲目と5曲目が新しく作ったもので、3曲目と4曲目に関しては、トラックだけで言うとけっこう昔に作った曲なんですね。「Apple juice」は元々2016年とかに作っていた曲で、「No more work」はたぶん2017年とかに作っていた曲。カッコいいからいつか使いたいなと思っていたので、ちょっとだけアレンジを加えて、当時のものをブラッシュアップして作りました。昔の変わらぬ味と、新しい挑戦とを混ぜつつ、面白い部分を目指してみましたという感じです。

TOPHAMHAT-KYO:「Apple juice」と「No more work」のオケ自体は自分も認知していて、別の使い方を想定していたんですけど、なかなかそれをやる機会がなくて、ずっとストックに回っていたということがあって。それが今回のEPのコンセプト的にぴったりだよねということで、使うことになりました。ただ、昔のトラックと言うけど、最近DYESが作ったトラックと聴き比べてもちゃんとカッコいいから、そういう意味でDYESのルーツ的な部分は同じなんだなという認識は、聴く側ができるかなと思いますね。新鮮な気持ちで聴けるんじゃないかなと思います。

──アオ(TOPHAMHAT-KYO)さんのリリックは今のものですよね。

TOPHAMHAT-KYO:そうです。

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