【ライブレポート】山本彩、初アコースティックツアー完走「皆を支えられる歌を歌っていけたら」

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山本彩が10月4日(金)、大阪・なんばHatchにてツアー<Sayaka Yamamoto Acoustic Tour 2024「Organic」supported by niko and ...>のファイナル公演を開催した。全国8ヶ所を巡った自身初のアコースティックツアー最終公演は大阪・凱旋。ありのままを見せた同公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆山本彩 画像

2024年1月に開催したFCツアーを皮切りに、ホールツアー、ソロ活動後初のアジアツアーと怒涛のライブを重ねてきた山本。有機的を意味する“Organic”を冠したタイトル通り、舞台上には飾らない山本の姿があった。


定刻を少し過ぎ、大きな拍手に迎えられて山本が姿を現す。舞台上には草花が生い茂り、舞台中央に位置するアコースティックギターと共に、本ツアーのコンセプトをひしひしと伝えている。会場に漂う張り詰めた空気を弛ませるように、山本はこう言葉を発して笑いを誘う。

「<Organic>ツアーへようこそ。緊張感持って観てくれていますけど、リラックスして聴いてください」──山本彩

そしてさらりとギターを弾き始め、「愛なんていらない」でキックオフ。はつらつとしたカウントから大切な人との些細な日常を紡ぐ「君とフィルムカメラ」へ雪崩れ込むと、早速客席からはクラップが発生する。アコースティックギター1本のみのミニマムな編成によって、濃く縁取られた山本の凛とした歌声が客席を満たし、目を細めて耳を傾けたくなる柔らかな空間が構築されていく。ゆらゆらと揺蕩う山本の風姿も印象的で、今日が春の陽だまりを彷彿とさせる優しい1日になることを冒頭数分で確信する。



本ツアーの相棒であるギタリスト・弓木英梨乃を舞台へ呼び込むと、「ここらで声出ししときましょうか?」と、開演前恒例だったという「えいえい、オーガニック!」の円陣を会場全体で組んだ。気合いもバッチリ入ったところで、「どうしてどうして」で猛進をスタート。弓木のソリッドなエッセンスが加えられたギター2本のアンサンブルが疾走感を演出すると、「大阪、飛ばしていきましょう!」「大阪、声上げろ!」とアジテートしつつ、「JOKER」「Are you ready?」を連投する。

どんどん熱を上げていく山本に、ファンもハンズアップとシンガロングで応答。力強くなるカッティングがボリュームを上げる中、“We are ready! もう大丈夫 この先はひとりじゃないよ”(「Are you ready?」)の一節をはじめとするストレートなメッセージを届け、ここまで積み重ねてきたバンド編成でのライブにも負けないパワフルなアコースティックを完成させた。



「一気に大阪の熱を感じました」と称した前半戦を終え、山本は「音楽を始めるキッカケのアーティストの曲です。初心に帰る気持ちで演奏できたら」とアヴリル・ラヴィーンの「Keep Holding On」をカバー。原曲の壮大さはそのままに、たっぷりとロングトーンを響かせ、ここまでの攻撃的なムードを一変させる。

続けて投下された「あいまって。」では弓木が爪弾くアルペジオに呼応して、ステージに点在するランプにオレンジの光が灯っていく。ポツリポツリとライトが光る様子は星々の輝きのようであり、ステージ上の草花も部屋に飾られる観葉植物とオーバーラップする。哀愁を纏ったエアリーな山本の声色はワンルームで独り歌っている情景を呼び起こし、忘れられないあの人の体温を思い出す寂しい夜を眼前に出現させた。



「しっとりと聴いてもらったので、ここからは後半戦! 上げていきます!」──山本彩

と宣言すると、まずはラテンテイストのギターがシンボリックな「oasis」を投下。間髪入れずに、“ストレート一本勝負よ”という情熱的なリリックが、シンプルな編成に込められた「喝采」、立ち上がった山本が自由に歩きまわる一方で、オーディエンスがタオルや腕を振り回した「Let's go crazy」へ突き抜けていく。

本編ラストは「好きなものを好きで居続けることは簡単じゃないけど、より一層歌うことやライブをすることが大好きになりました」と改めてツアーを振り返り、「支えてもらっている以上に皆を支えられる歌を歌っていけたら。皆に感謝と愛を込めて」の言葉から「Larimar」で優しいエールと共にピリオドを打った。


アンコールではツアーTシャツに着替えた2人が、地元・大阪に帰ってこられたことの喜びやファイナルの寂しさに触れ、「47都道府県ツアーやりましょう」と堅い約束を交わす。至極当然のことではあるが、ドラムやベースが不在の中、初対面の相手とショータイムを創り上げることには不安もあっただろう。しかし、夫婦漫才さながらのMCや「Are you ready?」でのユニゾンリフを筆頭とする拍感の共有されたデュエットには、2人の相思相愛っぷりが滲んでおり、<Organic>ツアーの充実度を伝えていた。

「ひと月ズレてしまったんですが、学生時代に思い入れのある曲」と告げたRADWIMPSの「セプテンバーさん」を経て、最後に鳴らされたのは「ブルースター」。「帰り道、この曲を聴いて余韻に浸ってもらえたら」と語った通り、困難な現実に直面しても解けない魔法をかけて、そっとエンディングを迎えた。


「ブルースター」を終えて、山本は「歌詞飛ばしたな!」と赤裸々に暴露したのだが、このワンシーンでライブが締めくくられるというのも、極めて<Organic>ツアーらしかったと思う。ロックスター然としたスタイリッシュな一面だけでなく、楽屋を垣間見るようなお茶目な側面までを隠すことなく伝えた山本は、非常に魅力的であると同時に、“飾らなくてもファンは受け入れてくれる” “ありのままの自分が最強だ”という信頼や自信にも満ち溢れていた。

初めてのアコースティックツアーを完走した山本の次なる舞台は、初めての対バンツアー<SYnergy>だ。ライブ終盤、「精神的にも技術的にもまだまだできていないことを体験できたらな」と話していたように、山本の挑戦はまだまだ続いていくのである。

取材・文◎横堀つばさ
撮影◎小野寺アン

■アコースティックライブツアー<Sayaka Yamamoto Acoustic Tour 2024 「Organic」 supported by niko and ...>10月4日(金)@大阪・なんばHatch セットリスト

01. 愛なんていらない
02. 君とフィルムカメラ
03. どうしてどうして
04. JOKER
05. Are you ready?
06. Keep Holding On
07. あいまって
08. 残影
09. 心の盾
10. oasis
11. 喝采
12. Let's go crazy
13. Larimar
encore
en1. セプテンバーさん
en2. ブルースター


■<Zepp TOUR「Synergy」>

11月19日(火) 東京・Zepp Haneda
open18:00 / start19:00
w/ 阿部真央
11月27日(水) 愛知・Zepp Nagoya
open18:00 / start19:00
w/ ACIDMAN
11月29日(金) 大阪・Zepp Namba
open18:00 / start19:00
w/ SCANDAL


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