【ライブレポート】山本彩、ライブハウスツアー完走「完璧な相思相愛。めちゃくちゃ幸せでした」

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山本彩の全国ツアー<SAYAKA YAMAMOTO TOUR 2023 - & ->のファイナル公演(追加公演)が8月3日、東京・Zepp Hanedaで開催された。3年ぶりのオリジナルアルバム「&」を携えた今回のツアー。この日のライブで彼女は、観客の熱狂的な歓声を受けながら、アーティストとしての魅力をダイレクトに見せつけた。

◆山本彩 画像

オープニングを飾ったのはアルバム『&』の収録曲。ラップを取り入れたボーカルと強靭なバンドサウンドが共鳴する「Don’t hold me back」、“私は最強だ!”という強いエモーションが突き刺さる「Bring it on」。激しくギターをかき鳴らしながら凛とした歌声を響かせる山本彩のパフォーマンスによって、観客のテンションは一気に上がっていく。アコギに持ち替えて披露されたのは、山本自身が敬愛する阿部真央の書き下ろし曲「喝采」。フロアに伸びる花道に進んだ山本は、オーディエンスとしっかり目を合わせながら、心地よい一体感へとつなげた。




「ツアーファイナルへようこそ、山本彩です!」と挨拶すると、会場全体から凄まじい歓声が沸き起こる。「みんなの声の聞かせてもらっていいですか? 女性(限定)エリアのみんな! 男子負けてないよね!」と観客の高揚感をさらに引き上げた後、「unreachable」へ。ラテンの雰囲気を感じさせるサウンドとともに、官能性を滲ませるボーカルに強く惹きつけられる。ハンドマイクによるセクシーなステージングからは、シンガーとしての魅力がはっきりと伝わってきた。

そして、ライブ前半でもっとも心に残ったのは、「劣等感」だった。マイナスの感情に苦しめられながらも、〈ムカつく程に今日も劣等感に生かされる〉というフレーズにたどり着く。自身のリアルな感情を刻み込んだ楽曲をステージで解き放つ姿は、まさに圧巻だ。



伸びやかな歌声が印象的だった「風の日」を披露した後のMCコーナーでは、山本、バンドメンバーがツアーの思い出を語り合った。バンドメンバーの小名川高弘(Key,G)、草刈浩司(G)、SATOKO(Dr)、奥野翔太(B)、Ayasa(Vn)、asami(Cho)は、1stツアーの時期から山本を支えてきた“チームSY”。演奏の素晴らしさはもちろん、トークからも気の置けない関係性を感じることができた。

 「そんじゃあ、夏っぽい曲をやりたいと思います」という言葉に導かれた「蛍」(山本のギターソロも素敵!)からは、山本彩の多彩なボーカル表現を体感できるシーンが続いた。理想と現実の間で揺れながらも、“きっとなりたい自分になれる”という思い美しいファルセットとともに描いた「ゼロ ユニバース」。大切な存在だった“あなた”との別れを抒情的に映し出す「追憶の光」。そして、異国情緒漂うメロディがゆったりと広がった「ラメント」。エモーショナルなロックチューンの印象も強いが、山本の音楽性とボーカリゼーションはきわめて多彩だ。

「まだいけるか、東京!? 後半いくぞ!」というシャウトとともに打ち鳴らされたのは、激しさと切なさを兼ね備えたロックナンバー「JOKER」。さらに「HAPPY HAPPY Party Boy,Happy Happy Party Girl」の大合唱からはじまった「Weeeekend☆」、“壁にぶつかっても、自分を信じて突き進め”というメッセージが真っ直ぐに伝わる「TRUE BLUE」とアッパーチューンを続け、ライブはクライマックスへ。本編ラストはアルバム『&』収録曲「ドラマチックに乾杯」。山本とオーディエンスがタオルを振り回しながら楽曲を共有し、圧倒的な解放感を生み出した。



“彩コール”に導かれて再びステージに登場した山本彩は、今回のツアーを振り返りながら、観客にゆっくりと語り掛けた。「“最高のステージだ”と思えるのは、みんなの力のおかげ。こうやって声を出して、騒いで。完璧な相思相愛だなって思います。今日もステージに立たせてくれてありがとう」「前々回のツアー(2020年)、前回のツアー(2021年)は完走できなかったんですよね。すごい悔しかったし、みんなに申し訳なくて。そんな思いも含めて、長かった霧のなかから抜け出せた気持ちがあって。ツアーが始まってからの2か月間、めちゃくちゃ幸せでした」という言葉に、会場からはこの日、いちばん大きい拍手が送られた。

さらに「自分にはすごいものがあるとか、特別なものがあるなんて一切思ってなくて。そんな自分にもやり遂げられること、自信を持てることが、続けていれば出来るんじゃないかなって。みんなをもっと大きいところに連れていけるように、30代からもやっていきたいと思ってます。長いマラソンになると思うので、みんなもケガしないようについてきてくれたらうれしいです!」と未来に対する決意を口にした。「これからの旅にピッタリな曲です」という「yonder」、そして、「明日の自分に会いに行こう」というラインが響き渡った「Are You Ready?」でライブはエンディング。彼女の最高の笑顔からは、アルバム『α』と今回のツアーに対する確かな手ごたえが伝わってきた。シンガーソングライターとしての才能、ライブ・パフォーマーとしての魅力をダイレクトに証明した山本彩。この先のさらなるステップアップにつながる、きわめて意義深いツアーだったと思う。


文◎森 朋之
撮影◎佐藤祐介・半田安政

■イベント出演情報

<MONSTER bash 2023>
8/20(日) 国営讃岐まんのう公園(香川県沖多度郡まんのう町)
開場 9:00/開演 11:00(予定)

■4thアルバム『&』

2023年5月17日(水)発売
https://SayakaYamamoto.lnk.to/4thalbum

【初回限定盤 (CD + DVD) ※三方背ケース仕様】UMCK-7210 ¥4,950 (税込)
【通常盤 (CD only)】UMCK-1743 ¥3,300 (税込)

▼CD ※全形態共通
01. ドラマチックに乾杯
 ※東海テレビ・フジテレビ系“オトナの土ドラマ”シリーズ「その女、ジルバ」主題歌
02. against
 ※日本生命『ニッセイ青春エールプロジェクト』テーマソング
03. 愛なんていらない
04. ぼくはおもちゃ
05. ゼロ ユニバース
 ※テレビ東京系 ドラマ24『あのコの夢を見たんです。』エンディングテーマ
06. yonder
 ※山形日産グループ 創業60周年記念アニメCMソング
07. あいまって。
08. 劣等感 ※新曲
09. ラメント
 ※ゲームアプリ『メメントモリ』ロザリーキャラクター専用曲
10. oasis
11. Don’t hold me back
12. Bring it on

▼初回限定盤特典
・Music Video Clips:ゼロ ユニバース / against / ドラマチックに乾杯 / yonder -Lyric Video- / Don’t hold me back / Don’t hold me back -Dance Performance Video- / あいまって。-Lyric Video- / Bring it on)
・Behind the Scenes of “&”:新曲レコーディング風景 / ジャケット写真撮影 / Music Video撮影などのメイキング映像

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