【インタビュー】山本彩、アルバム『&』に両立する二面性「自分の中にあるネガティヴへの抵抗」

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山本彩の4thオリジナルアルバム『&』が5月17日に発売となった。自らに認めた二面性や多様性を『&』というテーマで表現した、山本彩自身が様々な角度で切り取られた多彩な作品集だ。

◆山本彩 画像 / 動画

ギターに恋をし、バンドに夢を追い、現実に打ちのめされながらアイドルの世界へ身を投じた山本彩は、様々な経験と喜怒哀楽/思い積もらせてきた感情のひだをシンガーソングライターとして音楽作品に吐き出し、今日まで着実な歩みを重ねてきた。

3年ぶりとなるアルバムだが、ここに登場する作品の誕生時期はコロナ禍の前後にまたがっており、生活スタイルをも激変することとなった2020年代の世相の風が吹いている。同じ時代に同じ空気を吸ったシンガーソングライターは、全てのポジティヴとネガティヴをどのように表現したのか。話を聞いた。


   ◆   ◆   ◆

■つらいことのほうが多いですね
■ライブが音楽を演っている一番の理由


──“生涯現役”を標榜している中で、『&』はシンガーソングライター人生においてどんな立ち位置の作品になったと感じていますか?

山本彩:お休みさせていただいたのもあったり、年齢的にも今年30歳を迎えるので、人生的にも音楽的にもひとつの節目みたいな感じなのかな。

──そのあたりは、制作を始めるときから意識していたことですか?

山本彩:いや、そうでもないです。復帰前からアルバムの話はしていたんですけど、復帰してから改めてもう一回アルバムをやっていきましょうという流れになったので、復帰する前に取り組もうとしていた気持ちとも違うと思います。いい意味で肩の力が抜けた気持ちです。



──体調不良やコロナ禍によって思うように活動ができないという経験は、自分にとってどんな作用があったのでしょう。

山本彩:このまま続くのかな、このままうまくやっていけるのかな、ライブの在り方も変わってくるのかなみたいなことをめちゃくちゃ感じました。いろんなことを感じつつ、でもだからこそ何かできたライブや発見もあったのかなとも感じます。最近では、ライブで観客も声を出せるようになってきて、今までのライブの良さを改めて実感したりという経験もできたので、大変な時期ではありましたけど、みんなと一緒に乗り越えたと感じています。

──そういった思いや感情が、直接作品に反映されているのでしょうか。

山本彩:そうですね。コロナ禍でやりたいことができなくなった葛藤が音楽性や歌詞に自然と出てきていたんですけど、それって逆に今だからこそ残せるものとも思いました。振り返ったときに、“この曲を出した頃は世間はこういう感じだったんだな”という、ひとつの時代背景にもなるのかなという思いで、あえてちゃんと残そうっていう気持ちで残せた曲もあるので、その時しか生まれなかった曲が作れたかな。


──作品づくり…特に歌詞などは身を削るような大変さがありませんか?

山本彩:めちゃめちゃつらいことのほうが多いですね。

──なのに、なぜやるのかを自問自答すると?

山本彩:自分でも何回も考えます。制作に入るたびに考えることではあるんですけど、私の場合はライブが一番音楽を演っている理由みたいなところがあるので、制作だけだったら続いてないかなっていう気はする。ライブで一緒に育ててくれる人がいたり、それを歌う場があるということが一番の糧になっていると思います。

──自らの表現を音楽に求めた、その根源はどこにあるのでしょう。

山本彩:何かひとつというよりは、いろんなところに楽しさを感じていて、自分で作った曲は自分の素直な気持ちなので、“自分が一番歌える”というのももちろんあるし、でも当て書きというか、何か別のものに…それこそ今回のアルバムに入っている「ラメント」もゲームのキャラクターの心情に寄り添って書いたものだったりします。そういう制作の仕方もすごく好きなので、それはそれですごく楽しいし、誰かと共作するのは自分では出てこなかったアイデアが出てくる面白さがある。共通点が音楽というだけで、どれも似て非なるというか、全く違う面白さを感じているんですよね。

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