【ライヴレポート】LUNA SEA、過去を超えて<SEARCH FOR MY EDEN>に滲む覚悟と決意「一緒に、東京ドームに立ちましょう」

ポスト
no_ad_aritcle

結成35周年を迎え、2000年までにリリースした7枚のアルバムを再現する全国ツアー<LUNA SEA 35th ANNIVERSARY TOUR 2024 ERA TO ERA>を敢行中のLUNA SEA。『MOTHER』『STYLE』『SHINE』『LUNACY』を甦らせて感動を呼んだ<EPISODE 1>に続き、7月27日の新潟公演を皮切りにスタートした<EPISODE 2>では、『MOTHER』『STYLE』に加えて、『IMAGE』と『EDEN』がフィーチャーされている。

◆LUNA SEA 画像

1992年に発表されたメジャーデビューアルバム(2ndアルバム)『IMAGE』と、1993年に発表された3rdアルバム『EDEN』。現在よりもインディーズ/メジャーの壁が厚かった平成初期、アンダーグラウンドなライヴハウスからメジャーシーンに飛びこみ、当時20代前半のメンバーが作り上げた2枚だ。青さと脆さを抱えながら激動の時代と闘っていた鮮烈なエネルギーが、2024年の彼らと邂逅し、生まれる刺激。全国各地で<EPISODE 1>とはまた違う光景を描いてきた。

本稿では、8月25日(日)、<ERA TO ERA -EPISODE 2->より札幌ファイナル公演を残すのみとなった東京ガーデンシアター公演2日目<SEARCH FOR MY EDEN>を掲げたライヴのレポートをお送りする。


東京ガーデンシアターのステージにLUNA SEAが立つのは、2021年の<30th Anniversary CROSS THE UNIVERSE -THE DAWN->以来となる。コロナウィルス感染拡大の影響による延期を経て開催された当時は、まだ100%収容が許可されていなかった。空席越しに、声を出さずステージを観た日から3年。満場のオーディエンスの大歓声に迎えられる瞬間を、メンバーも心待ちにしていたに違いない。

暗転後、ケイト・ブッシュの荘厳な歌声とともに、ミラーボールの光が会場中を照らし出す。今度こそ大歓声を受けて登場した5人が定位置に着くと、RYUICHIが「Jesus, Don’t you love me?」と不敵にコール。間髪入れずSUGIZOの鋭いリフが響き、アルバムと同じく「JUSUS」で幕を開けた。

続く「Déjàvu」では、「おまえたちの声を聴かせてくれ!」と求めるRYUICHIに応え、さっそく盛大なシンガロングが湧く。ステージを囲むかたちでスタンド席が配置されているため、観客の歌声や差し伸べるたくさんの手がバンドを包み込んでいるように見えた。初日の熱を引き継いだ2日目、かつ年内最後の東京公演ということもあり、メンバーにもオーディエンスにも気迫が漲っている。


SUGIZOの強烈なリフで始まる「ANUBIS」から、「SEARCH FOR MY EDEN」でしか味わえない世界に誘われていった。タイトな真矢のビートにJのベースが野性味を加え、研ぎ澄まされたSUGIZOのリフと彩り豊かなINORANのフレーズの対比が美しい。中央では、妖艶でありつつ生々しいパフォーマンスでRYUICHIが空間を支配する。

驚かされるのは、5人それぞれのプレイがパズルのように組み合わさり、無二のアンサンブルを生んでいることだ。現代の音響設備でひとりひとりの音がクリアに聴こえるようになったぶん、他のアルバムよりももっと緻密かつ絶妙なバランスで成り立っているのがわかる。ハネるリズムとSUGIZOがフレットレスギターで奏でるリフが印象的な「STEAL」にしろ、コーラスとの掛け合いがキャッチーな「LAMENTABLE」にしろ、聴き心地はポップなのに、誰かひとりでも出力を誤ると瓦解してしまいそうな緊張感が漂う。爽やかなラブソングを歌っているようでいて甘美な毒を孕むRYUICHIの歌詞もアンビバレンスで、時代を超えたメッセージが胸を抉ってくる。激しいだけでも、きらびやかなだけでもない。目の前で甦る『EDEN』の底知れない魅力にどんどん飲み込まれていった。


このツアーでしか観られない貴重なシーンはまだまだ続く。INORANがアコースティックギターを爪弾く「RECALL」では、浮遊感たっぷりの音像が会場中に満ち溢れた。優しいメロディに抱かれるメロウな雰囲気もまた、『EDEN』の世界の重要な要素のひとつであり、久々に演奏されたという意味でもこのライヴに欠かせないレアなピースだ。心地好い余韻を残して「RECALL」が終わると、ステージ上にスモークが広がり、一転して今度は『EDEN』の深淵へと導かれていく。

二部構成で行われるLUNA SEAのライヴでは、第1部のラストに壮大な世界観の楽曲が披露されることが多い。<SEARCH FOR MY EDEN>でその場所を担ったのは、1stシングル「BELIEVE」のカップリング曲である「Claustrophobia」だった。

透明感溢れるSUGIZOのヴァイオリンとともにRYUICHIが祈るように歌う「Providence」から一転、不穏なノイズとともにステージが闇に落ちる。真矢とJが淡々とリズムを刻み、SUGIZOのロングトーンとINORANのアコースティックギターの音色が冷徹に響く中、RYUICHIがフードを目深に被ってマイクを握った。低い声で歌い出しても、その目は一切客席を向こうとしない。“Claustrophobia=閉所恐怖症”の言葉どおり、孤独な世界で自分自身と対峙し、もがき苦しむ男の姿がそこにあった。決して万全の状態とは言えない声を振り絞り、一音一音に魂を込めるRYUICHI。全身全霊の歌声に呼応するように、4人のグルーヴが渦を巻いて会場を席巻していく。一瞬の間を置いてJのベースが入ってくる展開にゾクリと震え、音源では囁き声の「壊して」という言葉を何度も何度も絶叫するRYUICHIから目を離せなかった。あれだけ熱量が高かったオーディエンスが息を呑み、一挙手一投足を見逃すまいと静まり返る。最後はSUGIZOのギターの残響が締め括り、音が止むと同時に大歓声と盛大な拍手が湧いた。


休憩時間を経て、ライヴの再開を告げるのは真矢のドラムソロだ。鮮やかな青緑の髪に白いエクステが揺れ、ド派手なプレイをさらに際立たせる。満場の「真矢!」コールを存分に浴びて「今日はみんなで限界に挑戦するぞ!」と鼓舞し、後半戦へ突入した。

インディーズ時代の名曲「MECHANICAL DANCE」で口火を切った第2部では、エネルギッシュな楽曲を惜しみなく連投。Jが上階の客席を煽ったり、INORANがステージ端ギリギリまで身を乗り出したり、ギターソロを掻き鳴らすSUGIZOにRYUICHIが寄り添ったりと、メンバーもますますアグレッシヴにステージを行き交う。

「みんなにパワーをもらったから、最後まで走っていきたいと思います。予測された通りの道は今まで一度もなかったから、これから共に新たな道を作っていきましょう。今夜はU-NEXTでも配信されて、みんな最前列で盛り上がってくれてると思うので。全国に我らのメンバーがいます! どこよりも熱い夜にしようぜ!」──RYUICHI


5人の熱演に圧倒されるのもLUNA SEAのライヴの醍醐味だが、メンバーに負けじと“6人目のメンバー”ことオーディエンスが全力で食らいついていくムードこそがLUNA SEAのライヴだ。華やかな疾走感ときらめくメロディに心が躍る「STAY」というレアな選曲に場内が喝采、合いの手のようなコーラスが会場の一体感を高めていく。ファンの名称にもなった「SLAVE」では本領発揮とばかりに拳を突き上げ、「TIME IS DEAD」ではヘッドバンギングの波が巻き起こる。そんな会場を見渡しながらRYUICHIがさらに煽り、一斉のジャンプとシンガロングに揺れた「BELIEVE」で本編を駆け抜けた。

そして、「IN MY DREAM」でカラフルに彩られてアンコールがスタート。1曲終えてのメンバー紹介で、5人がそれぞれの想いを語った。


「今日みんなの前で演奏させてもらって、思ったことがあります。LUNA SEAのライヴを作ってるのは、まぎれもなく君たちのほうだぜ! もちろん配信組も、最前列でめっちゃ盛り上がってると思います。残りのツアーと来年の東京ドームまで、その想いを持ってライヴをしたいと思います。東京ドームで再会しような!」──真矢

「こうやってみんなで叫び合えるのは本当に最高だよね。今回のツアーは、35周年ツアー。35年間の長い時間の中でいろんなものが姿を変えていくけど、今回のツアーをまわって、当時から変わらないものは存在するんだなと改めて感じています。俺たちの情熱と、ここにいるみんなの情熱と、(配信を)観てくれてるみんなの情熱で…まだまだいけるでしょ〜!」──J

「35周年ツアー、今まで行ったところも、これから行くところも、メンバーとスタッフとみんなと、必ずすごい時間を作りたいと思ってます。そして…最後には、僕らが“覚悟の夜”と決めたドームがあります。みんなこのライト(=グッズのLUNA SEA LIGHT)で照らそうぜ! めっちゃ綺麗だよ! 東京ドームで会いましょう」──INORAN

「今回全国を回ってきて、そしてこの東京公演で、みんなの存在が俺たちにとって心の拠り所なんだなと実感しました。みんなもLUNA SEAの存在に救われてきたと思います。俺たちも、みんなと同じくらい、もしくはそれ以上にみんなに救われてきた。ここが帰る場所なんだ。様々な事情でツアーに来れなかった人もたくさんいる。'90年代にLUNA SEAが好きで今は離れてしまった人もいる。俺たちは常に門を開けて待ってるから、いつでも帰ってきてください。ここはみんなの故郷です。心から愛してます」──SUGIZO

SUGIZOに「LUNA SEAの誇り」と紹介されたRYUICHIは、「愛してるよ!」とオフマイクで声を届けた。そして、スマホでの撮影が解禁になる“#LUNAPIC”企画に触れ、「今日、ここに集まった全員が、忘れられない瞬間をつかみ取れるように」と語って「WISH」へ。


銀テープが舞う眩しい光景でフィナーレかと思いきや、「ラスト! 飛ばしていくぞ!」と最後に「PRECIOUS...」が投下された。歌ったり、頭を振ったり、拳を突き上げたり、思い思いのスタイルで最後の時を堪能するオーディエンス。ドラムセット前にINORAN、J、RYUICHI、SUGIZOが並ぶシーンには、ひときわ大きな歓声が上がった。まっすぐ前を見据える4人と、うしろから見守る真矢の表情は、さらなる高みを目指してきらきらと輝いていた。

「変わらないものと、進化していって突き抜けていくものがLUNA SEAにあったことを、確信しました。みんなの想いを集めて、信じられる未来へ。今できないことが、明日できるかもしれない。今日できることが、もうできないかもしれない。でも、必ず進化して、一緒に、東京ドームに立ちましょう」──RYUICHI

最後にRYUICHIが語った言葉に、彼の覚悟と決意が滲んでいた。東京ドームライヴは、何度も立ってきたあのステージにただ凱旋するだけではない。5人は、過去を超えて、最強のLUNA SEAを刻みつけようとしている。

ツアーは、<ERA TO ERA -EPISODE 2->ファイナルの札幌公演を経て、ついに<ERA TO ERA -EPISODE 3->へ。9月14日の水戸公演から始まる<-EPISODE 3->は、これまでの6種のセットリストすべてに加え、さらにインディーズ時代に遡った<LUNACY 黒服限定GIG>を加えた集大成的内容となっている。自らの歴史を辿った先で、彼らは何を掴むのか。東京ドームを見据え、5人の長い旅はまだまだ続いていく。

取材・文◎後藤寛子
撮影◎田辺佳子/上溝恭香

■<LUNA SEA 35th ANNIVERSARY TOUR 2024 ERA TO ERA -EPISODE 2-「SEARCH FOR MY EDEN」>8月25日(日)@東京ガーデンシアター SETLIST

01. JESUS
02. Déjàvu
03. ANUBIS
04. STEAL
05. LAMENTABLE
06. RECALL
07. Providence
08. Claustrophobia
-Drum Solo-
09. MECHANICAL DANCE
10. STAY
11. SLAVE
12. TIME IS DEAD
13. BELIEVE
encore
14. IN MY DREAM (WITH SHIVER)
15. WISH
16. PRECIOUS...


◆<LUNA SEA 35th ANNIVERSARY TOUR 2024 ERA TO ERA -EPISODE 2-「IMAGE or REAL」>8月24日(土)@東京ガーデンシアター ライブレポートへ

<LUNA SEA 35th ANNIVERSARY TOUR 2024 ERA TO ERA -EPISODE 2->配信情報

8月24日(土) 東京ガーデンシアター
<IMAGE or REAL>
ライヴ配信:18:00~ライヴ終了まで

8月25日(日) 東京ガーデンシアター
<SEARCH FOR MY EDEN>
ライヴ配信:17:00~ライヴ終了まで

※見逃し配信:配信準備完了次第~10月31日(木)23:59まで

U-NEXT配信視聴ページ:https://t.unext.jp/r/lunasea
LUNA SEA過去ライヴ映像・MV:https://www.video.unext.jp/browse/feature/FET0011518

<LUNA SEA 35th ANNIVERSARY TOUR 2024 ERA TO ERA -EPISODE 3->

09月14日(土) 茨城・水戸市民会館 グロービスホール
 open17:00 / start18:00
 <LUNACY 黒服限定GIG>
09月16日(月/祝) 山梨・YCC県民文化ホール (山梨県立県民文化ホール)
 open17:00 / start18:00
 <SHINING BRIGHTLY>
09月22日(日) 愛知・名古屋国際会議場 センチュリーホール
 open17:00 / start18:00
 <BRAND NEW CHAOS>
09月23日(月/祝) 愛知・名古屋国際会議場 センチュリーホール
 open16:00 / start17:00
 <LUNACY 黒服限定GIG>
10月04日(金) 三重・三重県総合文化センター 大ホール
 open17:30 / start18:30
 <IMAGE or REAL>
10月06日(日) 栃木・宇都宮市文化会館 大ホール
 open17:00 / start18:00
 <SEARCH FOR MY EDEN>
10月11日(金) 福島・いわき芸術文化交流館アリオス アルパイン大ホール
 open17:30 / start18:30
 <LUNACY 黒服限定GIG>
10月15日(火) 埼玉・大宮ソニックシティ 大ホール
 open17:30 / start18:30
 <SHINING BRIGHTLY>
10月16日(水) 埼玉・大宮ソニックシティ 大ホール
 open17:30 / start18:30
 <BRAND NEW CHAOS>
10月25日(金) 岩手・さくらホールfeat.ツガワ 大ホール
 open17:30 / start18:30
 <MOTHER OF LOVE, MOTHER OF HATE>
10月26日(土) 青森・リンクステーションホール青森
 open17:00 / start18:00
 <UN ENDING STYLE>
11月14日(木) 神奈川・神奈川県民ホール 大ホール
 open17:30 / start18:30
 <EPISODE3 -FINAL- 黒服限定GIG DAY1>
11月15日(金) 神奈川・神奈川県民ホール 大ホール
 open17:30 / start18:30
 <EPISODE3 -FINAL- 黒服限定GIG DAY2>


■<LUNA SEA 35th ANNIVERSARY TOUR ERA TO ERA -THE FINAL EPISODE-「LUNATIC TOKYO 2025 -黒服限定GIG-」>

2025年2月23日(日/祝) 東京ドーム
※詳細は後日発表


この記事をポスト

この記事の関連情報