【インタビュー】Petit Brabancon、antzが語る2nd EP「このメンバーで似たような曲は…たぶん一生できない」

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■ファーストの頃から考えるとお互いの音がわかる
■クリエイティヴなイメージで挑めるようになった


──例えばこの「Mickey」って、他のPetit Brabanconの曲にはないダンサブルな感じで、客が踊り狂っているさまが即座に浮かぶ感じですね。

antz:まぁ、自分もそうなりたいという。そういう曲のバンドがいたら、自分自身も暴れると思うんです。でもそういう曲がなかったので、じゃあ、僕が作ろうかなって。

──こういう、ハードでラウドなサウンドをやるバンドで、ダンサブルっていうのは、ありそうでないというか。

antz:そうですよね。ないんです。だから面白いなって、ずっと温めていたんですけど。

──直線的なタテノリじゃなくて、横に揺れるグルーヴが、すごく新鮮な感じがします。

antz:それが自分の音楽…自分のルーツだったりするんです。MEAT BEAT MANIFESTO(英国のテクノ/エレクトロヒップホップバンド)とか…。頭がおかしくなっちゃうんじゃないかっていうくらいテンションが上がる時っていうのが何度かあって。

──はいはい。めっちゃわかります(笑)。

antz:高揚するというか。(お客さんにも)そういう風になってほしいというか。自分が作った曲で、そう感じてくれたら嬉しい。

──いいですね! その感覚、yukihiroさんはきっとわかってくれるんじゃないでしょうか(笑)。

antz:わかってもらえると思います(笑)。

──今回は全7曲で。ミヤさん、yukihiroさんも曲を作られているんですけど。他の方の作った曲に関してはどういう感想を持たれましたか?

antz:yukihiroさんに関しては、すでに(以前から)ある曲なので。SEは別ですけど。「a humble border」に関しては前からあったものではあるので。そこも軸になっているというか。自分がどう曲を作っていけばいいのかという指針…というか。昔のacid androidの時からですけど、yukihiroさんが作る曲で同じような感覚になったことはたくさんあって。ライヴ中にテンションが上がるというか。冷静に弾きながら心は爆発して、みたいな。演奏が過剰にならないように、でも、テンションは上がっている。「a humble border」もそういう曲なんですよ、自分の中では。


──すごくクールな感じと、そうじゃない狂いそうな感じが同居しているのがyukihiroさんらしいなと思います。

antz:そうですね。すごくテンションが上がるんですよね、yukihiroさんの曲って。本当におっしゃった通りで。クールだけどめちゃめちゃ熱い。最初、SEに関しては、あれがきた時にすごく意外だなと思ったんですよ。『Automata』の1曲目のSEのイメージがあったので。どんな感じでくるんだろうって。でも、めちゃめちゃアートワークの世界観と合っていて。ピザを喰って泡を吹くとか。あの感じ、すごくイメージできて。入場からテンションが上がっちゃうなという。前からそうなんですけど。もうちょっとクールに登場しないといけないのに、テンションが上がっちゃう。

──頭の中はクールに冷えているんだけど、身体が勝手に動いちゃうというか。そういうyukihiroさんの曲があるから、antzさんもミヤさんも、そこからどういう風に距離を取りながら自分のものを出していくかという、そういう判断がしやすいということでしょうか。

antz:どうなんですかね。あまりそこの距離感は考えていないかな。

──でも、同じものを出してもしょうがないわけだし。

antz:そうですね。ただ、どうやっても同じものにならない気がしています。同じようなテーマがあっても。この3人で、似たような曲は…多分一生できないと思います(笑)。

──一生、ですか(笑)。そういう意味で言ったらこのメンバーの組み合わせって、非常に絶妙ですよね。全然個性が重ならない…というよりは、一部は重なるんだけど、違う箇所があって、配置が絶妙な感じというか。

antz:そうですね。

──ミヤさんの曲はどうですか?

antz:素晴らしいです。ミヤさんが一番、王道というか。酸いも甘いも、みたいなところがあるんですけど。「Vendetta」も締め切り間際にバーンって出てきたかな。


──一番ヘヴィでハードな曲ですね。

antz:こんなカッコいい曲をササっと作って持ってくるんだ?っていう。

──普通にカッコいい曲を何事もなく作れるのがいいですよね。

antz:まあ。プロですからね(笑)。そうなんでしょうけど。

── (笑)本人的にはね、エラい苦労してるんだよっていう話になるかもしれないけど。

antz:でも、(曲を書くのが)速かった気がするんですよね。ミヤさんはめちゃめちゃ速い。そこも自分は見習おうと思っています。

──ギター、例によって当然2本入るんですけど、お互いの使い分けというか。アンサンブルというかバランスというか。そこらへんはどうされているんですか?

antz:レコーディングの時はデモから大きく離れることはないですね。どちらかというとプラスでアイデアが出るというか、そういう感じで。もう2年くらいやっているので、ミヤさんがこういうアプロ―チをしてくるとか、そういうのは想像しながらギターを弾いたりデモを作ったりできるようになっているので。

──例えば、ギターはどっちのパートを弾くとか、デモの段階である程度決まっているんでしょうか?

antz:左から聴こえるのはミヤさんなんだろうなとか。右から聴こえるのが僕なんだろうなとか。そういうのは暗黙の感じであります。

──指定しているわけじゃなくて、こっちは自分が弾くだろうなとか、そういう感じなんですか。

antz:そうですね。


──なるほどね。antzさんがデモを持って行くときはどういう感じなんですか?

antz:いや、同じですね。で、質問があれば個別にLINEとかするし。でも基本、左から聴こえてくるものはミヤさんだと思って作って。もう、そういうものとして。

──ステージの配置と同じということですね。

antz:そうですね。その上でどうアレンジができるか。フレーズによっては真ん中に置いたほうがいいかもしれない時もあって、じゃあそれは誰がやるんだとか。こういうギターを使ったほうがいいかも、とか。あとは、デモには入っていないけど、ミヤさんがアイデアを持っていて“こういうことをしようと思う”と提案がその場であったり。

──そういう作業って、楽しいんじゃないですか。

antz:前は(ミヤが)どういうギターなのかもわからないし、どういう人なのかも、どういう音を感じるのかとかそこまでわからなかったから。ファーストを作っている頃から考えると、いい意味で“わかる”というか。ただ形にするだけではなくて、もうちょっとクリエイティヴなイメージをしてレコーディングに挑めるようになったという感じですね。

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