日本コロムビアのNIPPONOPHONEから和ジャズの名盤5タイトルをアナログ・リイシュー
近年、世界中から注目を集める和ジャズの人気作5タイトルを、日本コロムビアが保有するカタログの魅力を世界に向けて発信するプロジェクト「J-DIGS reissues」の第一弾として、海外展開レーベルNIPPONOPHONE(ニッポノホン)からアナログ・レコードで11月3日リイシューする。
今回リリースされるのは、日本のジャズ・ロックの象徴的作品として人気の高い稲垣次郎とソウル・メディア『ヘッド・ロック』(1970)。同じくソウル・メディアがサミーと沢田靖司をヴォ―カルに迎え、最もロック色を強めた作品で、オリジナル盤が極希少なことから「和ジャズ・ロック最後の秘宝」とも言われる『女友達』(1971)。世界的な人気を誇る「ブリーズ」(稲垣次郎とソウル・メディア)や「ロマンス」(鈴木弘)の作編曲を手掛けた鈴木宏昌が、稲垣次郎プロデュースの下、村上ポンタ秀一、岡沢章、高中正義など当時新進気鋭のミュージシャンをフィーチャーしたクロスオーヴァーの傑作『ハイ・フライング』(1976)。山下洋輔トリオなどで活躍したドラマー森山威男が、ピアノに板橋文夫を迎え、日本情緒にあふれる名曲「渡良瀬」を初収録した金字塔的アルバム『スマイル』(1981)。マック・デマルコがメロディを引用し、トラヴィス・スコットとクエヴォのユニット、ハンチョ・ジャックがサンプリングするなど、国境もジャンルも超えて愛される名曲「ザ・ワードII」を収録した、セキトオ・シゲオの『華麗なるエレクトーン ザ・ワード』(1975)。
5タイトルともジャケットはゲートフォールド(ダブルジャケット)仕様で、新規ライナーノーツを日本語と英語で掲載。今回が初のアナログ・リイシューとなる『女友達』を除き、カラー・クリア・ヴァイナルでのリリースとなる。
リリース情報
(Clear Blue Vinyl)
解説:尾川雄介(universounds/Deep Jazz Reality)
オリジナル・リリース:XMS-10028 (1970/12/1)
奔放でダイナミック、幻怪でサイケデリック
稲垣のジャズ・ロックへの衝動と決意が音に凝縮された圧巻の一作
日本におけるジャズ・ロック発展の中心となったミュージシャンのひとり、稲垣次郎。既存のジャズに飽き足りなさを感じていた稲垣が一気にジャズ・ロックに舵を切ったのが1970年録音の本作。冒頭の「ザ・ヴァンプ」からラストを飾る「ヘッド・ロック」まで、持てるアイデアと情熱を注ぎ込んだ弩級の曲が並ぶ、息を吐く暇もないジャズ・ロック・ショウケース。日本のジャズ史において圧倒的な存在感を放つ異端にして傑作。
side A
1. THE VAMP
2. TWENTY ONE
3. SPOONFUL
side B
1. BACK TO RACK
2. HIGH JACK
3. THE GROUND FOR PEACE
4. HEAD ROCK
稲垣次郎(ts) 伏見哲夫(tp) 川崎燎(g) 今田勝(org) 荒川康男(b) 田畑貞一(ds)
Recorded at Tokyo Studio Center 6, 7 Aug. 1970.
稲垣次郎とソウル・メディア『女友達』
(Black Vinyl)
解説:尾川雄介(universounds/Deep Jazz Reality)
オリジナル・リリース:NCB-7013(1971/10/1)
妖しく黒光りするロック・グルーヴ
ヴォーカルをフィーチャーし、ニューロックを大胆に取り入れた異色作
日本ジャズ界の異端児、稲垣次郎の作品の中でも特に異彩を放つジャズ・ロック作品がついにアナログ・リイシュー。初めてサミーと沢田靖司のヴォーカルをフィーチャーし、バックには佐藤允彦、水谷公生、柳田ヒロらを迎えて展開する、妖しく黒光りするロック・グルーヴ。
side A
1. WANDERING BIRDS ~ INTERLUDE
2. AFTER NOON
3. PARAJIKA
side B
1. DO IT!
2. ON THE GRASS
3. 百年たったら
4. WANDERING BIRDS
稲垣次郎(ts, ss, fl)/松木恒秀(g)/水谷公生(g)/柳田ヒロ(key, p)/武部秀明(b)/田中清司(ds)/サミー(vo)/沢田靖司(vo)/佐藤允彦(moog)/新室内楽協会(strings)
鈴木宏昌『ハイ・フライング』
(Clear Purple Vinyl)』
解説:尾川雄介(universounds/Deep Jazz Reality)
オリジナル・リリース:SQ-7001(1976/8/25)
鈴木弘「ロマンス」、稲垣次郎「ブリーズ」の黒幕、鈴木宏昌が、豪華メンバーを集め、クロスオーヴァー・サウンドを極めた傑作ジャズはもとより、歌謡曲、映画、テレビ、CMなど広く日本の音楽界で活躍した作・編曲家/鍵盤奏者、鈴木宏昌。60年代末から70年代半ば、最も先鋭的だった時代の日野皓正、石川晶、稲垣次郎らの作品に深くかかわりその手腕を発揮。常に時代の一歩先を進んだその革新性が、総決算的に発揮されたのが76年録音の本作。若き日の村上ポンタ秀一、岡沢章、高中正義も参加したプレ・フュージョン/クロスオーヴァーの傑作。
side A
1. HIGH-FLYING
2. SCREWDRIVER
3. SCRAMBLE
Side B
1. BETWEEN O&M
2. SMASH
3. STRAIGHT FLASH
4. OUT OF FOCUS
鈴木宏昌:作・編曲、pf,epf,synth,keyboards
稲垣次郎:tenor & soprano sax, flute
深町純:synth, keyboards / 杉本喜代志:guitar / 芳野藤丸:guitar / 高中正義:guitar / 岡沢章:bass / 高水健司:bass / 村上秀一:drums / ラリー須永:latin percussions / 伊集加代子:vocal
プロデュース:稲垣次郎
レコーディング:1976年4/2、4/7、4/9、4/17、4/22 at 日本コロムビア第2スタジオ
森山威男『スマイル』
(Clear Sky Blue Vinyl)
解説:尾川雄介(universounds/Deep Jazz Reality)
オリジナル・リリース:YF-7013(1981/3/25)
豪快にして壮大。繊細にして鋭敏。ふくよかに広がる深い情感
日本的情緒に溢れた板橋文夫の名曲「渡良瀬」が初収録された名盤
1960年代後半から山下洋輔トリオでフリー・ジャズ界を席巻し、近年ではKYOTO JAZZ SEXTETと共演するなど、新旧多くのファンに愛されるジャズ・ドラマー森山威男。盟友・板橋文夫を擁したカルテットで80年に録音されたこのアルバムは、日本的情緒が溢れる名曲「ワタラセ」がはじめて収録されたことでも有名。他に、豪快に疾走する「エクスチェンジ」、美しくも物悲しい「グッドバイ」など、全曲が聴きどころで、静と動が有機的に絡まりあうスケールの大きな演奏が楽しめる日本ジャズ史上屈指の名盤。
side A
1. エクスチェンジ
2. ワタラセ
side B
1. ステップ
2. スマイル
3. グッドバイ
森山威男カルテット
森山威男(ds)
国安良夫(ts,ss)
板橋文夫(p)
望月英明(b)
ゲスト:松風鉱一(as,ts,fl)
録音:1980年11月10〜12日
セキトオ・シゲオ『華麗なるエレクトーン ザ・ワード』
(Clear Salmon Pink Vinyl)』
解説:Chee Shimizu
オリジナル・リリース:GS-7012(1975/1/25)
バレアリックでドリーミーでサイケデリックな電子オルガンが鳴り響く
魔法のような魅力を湛える名曲「ザ・ワード II」収録
Mac DeMarcoが「Chamber of Reflection」に引用し、Travis ScottとQuavoのユニットHUNCHO JACKが「How U Feel」にサンプリングしたことで、一気に世界中に知られることになった「The Word II」。その曲を含むセキトオ・シゲオの代表作をカラー・ヴァイナルでリイシュー。ヒップ・ホップ、バレアリック、ドリーム・ポップなど幅広い層から注目される、世界でもっとも聴かれているエレクトーン作品。
side A
1. カーリーとキャロル
2. ハピネス
3. マスカレード
4. あまい囁き
5. 青い影
6. イエスタディ
side B
1. ザ・ワードI
2. ザ・ワードII
3. ブルー・レディに赤いバラ
4. ファニー
5. ブルー・スター
6. シェアー・ザ・ジョイ(「失われた地平線」から)
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