【速レポ】＜LuckyFes'24＞THE PRIMALS、『FF14』オフィシャルバンドの名演「感無量です！」

まだまだ太陽は高い位置にあるものの、昼時に比べて、舞台上の電飾や照明が少しずつ綺麗な色合いを放ち始めた頃、真っ赤なライトで染まったステージに、黒の上下に白いネクタイの5人がステージに登場した。

◆ライブ写真

ピアノあるいはハープがフィーチャーされたシンフォニックなSE「四重の見聞を経て」と入れ替わるように、一人、黒いハットを被ったマイケル・クリストファー・コージ・フォックスのオーバードライブがかったボーカルで「ローカス ～機工城アレキサンダー：起動編～」が始まった。タイトなバンドアンサンブルとシンセのシーケンスフレーズ、そこに重なるマイケルの歪んだ歌がカッコよく重なるエレクトロ・ロックだ。



「おじさん達、日光の中でやるの初めてなのでドキドキしてますが（笑）、短い時間ですけど楽しんでください！」

祖堅正慶(G)の短いMCを挟んで、ドラムの連打にベースとギターが加わり、ラウドでダークなサウンドの「Scream ～万魔殿パンデモニウム：煉獄編～」、そして「魔神 ～魔神セフィロト討滅戦～」の2曲を演奏。ここで「初めて観る方もたくさんいらっしゃると思うので」と、再び祖堅がMCでバンドを紹介。

「『ファイナルファンタジーXIV(以下、FF14)』というゲームがありまして、そのゲーム音楽をゴリゴリのロックバンドのアレンジにしたら面白いんじゃないかということでバンドを始めたら、世界中からオファーをいただくようになりまして。フェスにも出たいねってずっと話していたら、晴れてLuckyFesにお呼ばれいただいて、感無量です！」




つまりTHE PRIMALSは“FF14オフィシャルバンド”なのだが、実は祖堅とマイケルは現在も同ゲームの開発メーカーであるスクウェア・エニックスの社員(プラス、プロミュージシャンのGUNN [バンドマスター / G]、イワイエイキチ[B]、たちばな哲也[Dr]により2014年にバンド結成)。そのためMCは、続いてきっちりと『FF14：黄金のレガシー』発売の告知も。各曲の冒頭で、ステージ横の大型LEDビジョンにファイナルファンタジーのCGが挿入されるといった凝った演出がなされていたのも、なるほど納得だ。

このように、ある意味で異色のバンドとも言えるTHE PRIMALSだが、音楽性はもちろん、演奏力も実力派。中でも、終盤に演奏された高速ラップが印象的な「ライズ 〜機工城アレキサンダー：天動編〜」では、ラウドなビートにバッキングギターが空間を埋めていき、ブロックごとにベースがオクターブやルートを弾き分け、さらにバンド全体のリズムがタイトになるとベースがメロディアスでアグレッシブなラインに移行するなど、バンドアンサンブルのカッコよさが詰まったアレンジでたくさんのフレンズを踊らせた。


そして最後には、祖堅がギターをトランペットに持ち替え「メタル:ブルートジャスティスモード ～機工城アレキサンダー：律動編～」を披露。ロックやスカなど多彩なテイストが融合された楽曲で、WING STAGEに集まったフレンズを大いに盛り上げると、エンディングには特効の爆発音も鳴らされ、バンドの存在感を大いにアピールしたステージングだった。


文◎布施雄一郎
写真◎樋口隆宏 / team SOUND SHOOTER