【速レポ】<京都大作戦2024>HEY-SMITH、「俺たちがパンクロックで救ってやる」

ポスト
no_ad_aritcle

5年ぶりとなったフルアルバム『Rest In Punk』を携え、昨年11月から行ってきたロングツアー<Rest In Punk Tour>が終了して間もないHEY-SMITHが源氏ノ舞台に登場。

◆ライブ写真

<京都大作戦>には2022年以来の出演であり、登場を待つ観客のボルテージも高い。6人が一斉に音を出すと、会場内にそよぐ風がステージからの熱風のように感じられて、会場を高揚感で包んでいく。「来たぜ、<京都大作戦>。俺たちがHEY-SMITHです、よろしく!」という猪狩秀平(G, Vo)の挨拶から間髪入れず、ホーンがボリュームを上げ「Dandadan」に突入した。満(Sax)、イイカワケン(Tp)、かなす(Tb)が両サイドでダイナミックにプレイし、あるいはヘッドバングでビートを刻むアグレッシヴさで盛り上げ、Task-n(Dr)は変幻自在とも言えるドラムで観客を踊らせ、ジャンプさせ、声を上げさせる。YUJI(B, Vo)のクリーンなハイトーン、それと対になる猪狩のパンチ力のあるボーカルが掛け合うことで生まれるスピード感も、観客の熱狂の燃料となっている。



「さあ、大作戦ぶっ飛ばしていくぞ」(猪狩)と、ヘヴィなギターリフとホーンで切り込んでいく「Be The One」もまた凄まじい。この暑さもあって、ステージ転換時は放心していた観客たちも音に食らいつき、腕を突き上げてシンガロングする。眠っていたエネルギーを揺り起こすような曲が続く。

「今年のサブタイトル、ちゃんと知ってる? “翔んで騒いで万々祭”。思いっきりやって!」(猪狩)。そんな挑発的な言葉から、スカナンバー「Into The Soul」で踊らせる。アルバム『Rest In Punk』に収録され、ツアーでも全国津々浦々を躍らせてきたキレ味鋭いアンサンブルは、前のめりに攻撃的であり、かつ磨き抜かれた独自のグルーヴが観客のステップを一寸も止めない媚薬的な雰囲気もある。いいツアーをしてきたことが、曲に宿っている。



「俺たちが<京都大作戦>に出たのは2年前です。2年前と今はまったく光景がちがうわ。まだまだいけるだろ? ここからの2曲は俺たちのなかでもいちばん激しい曲を持ってきた、翔んで、騒いで、万々祭や」という猪狩のMCに続いた2曲は、「Drug Free Japan」と「Endless Sorrow」。会場には巨大なサークルが出現して、猪狩の「カモン!」を合図に渦と化していく。観客の盛り上がりとの相乗効果でバンドのエンジンが全開なんだろう。「Endless Sorrow」はいつにも増して加速していたようにも思う。

さらにここからはアルバム『Rest In Punk』からの2曲「Say My Name」「Fellowship Anthem」を連投した。「Say My Name」では、猪狩が「最高のパンクロックを奏でにきたぜ。今日来てるやつのなかには嫌なことがあるやつもたくさんいると思うねん。学校がしんどいとか、彼女と別れたとか、政治の裏金問題がだるいとか。まとめてかかってこい、俺たちがパンクロックで救ってやる。俺たちの名前をよべ!」と煽り、YU JIのパワフルなボーカルがみんなへの目印のように空へと放たれた。タフさと繊細な華やかさ、幻影的なムードまでホーンの多彩さが際立った『Rest In Punk』のなかでも饒舌さと遊び心が軽快にステップを踏ませる「Fellowship Anthems」のクールな味わいもいい。大人の戯れを聴かせたところで、エネルギッシュに暴れまくる「Let It Punk」のノリもいい。



「天気予報だと俺たちの時間、雨降って雷鳴るって言ってなかった? ざまあみろ!」と天を指差した猪狩は、「この天気じゃなきゃやるのやめておこうと思ったけど、今日にぴったりの曲やるわ」とYUJIのボーカルが爽やかなギターチューン「Summer Breeze」を披露。夏らしい風を吹かせたところで、後半は畳み掛けるようにエモーショナルな曲が続く。「お前は最高だ、忘れるな」(猪狩)という言葉に続いた「You Are The Best」、その最高だという言葉をもうひと押ししてくれるような「I’m In Dream」の輝くパワー。新旧の曲だが、さまざまな経験を経て今なおバンドを続け、変わらず途方もない本数のツアーをするバンドだからこその説得力が、今どの曲にも加味されていると思う。



「やっぱり大作戦は特別やな。俺たちにとって本当に特別なフェス、ここで演奏できることが本当に嬉しい、ありがとうございます。コロナ禍の俺の言動はわりとみんなとちがってて、俺は俺のパンクロックを突き通そうと思っていたけど、そな俺たちのことを10-FEETはずっと包んでくれていた。だから負けずにこだわれたんやと思います。このこだわり切った結果を10-FEETの前で披露できるのは死ぬほど嬉しい」(猪狩)

<京都大作戦>というフェスが毎回特別な感動やドラマを生み出すのは、こうしたバンド同士の深い信頼関係があるからだろう。この熱いMCからのエモーショナルな「Goodbye To Say Hello」で源氏ノ舞台を激情で満たすと、ラストはおなじみ「Come back my dog」で盛り上げ、HEY-SMITHは2年ぶりとなる充実した<京都大作戦>のステージを終えた。

文◎吉羽さおり
写真◎HayachiN

セットリスト

1. Dandadan
2. Be The One
3. Into The Soul
4. Drug Free Japan
5. Endless Sorrow
6. Say My Name
7. Fellowship Anthem
8. Let It Punk
9. Summer Breeze
10. You Are The Best
11. I'm In Dream
12. Goodbye To Say Hello
13. Come back my dog

■<京都大作戦2024 〜翔んで騒いで万々祭゛〜>


7⽉6⽇(⼟) 京都府⽴⼭城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
7⽉7⽇(⽇) 京都府⽴⼭城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
open9:30 / start11:00
〒611-0031 京都府宇治市広野町⼋軒屋⾕1

▼7⽉6⽇出演者 ※50⾳順
【源⽒ノ舞台】Ken Yokoyama / Saucy Dog / サンボマスター / 湘南乃⾵ / dustbox / 10-FEET / FOMARE / HEY-SMITH
【⽜若ノ舞台】炙りなタウン / GUMX / サバシスター / SIX LOUNGE / SHANK / Maki / RED SPIDER
▼7⽉7⽇出演者 ※50⾳順
【源⽒ノ舞台】ENTH / SUPER BEAVER / 10-FEET / 東京スカパラダイスオーケストラ / Dragon Ash / マキシマム ザ ホルモン / RIZE / ROTTENGRAFFTY
【⽜若ノ舞台】アルステイク / Age Factory / THE SKIPPERS / Fire EX. / プッシュプルポット / Paledusk / MAYSON's PARTY
※10-FEETは2⽇間とも出演

【鞍馬ノ間】EGOLA / ⼤阪籠球会 / TEAM ISHIKAWA / TEAM-S / TEAM NICK / TEAM HAPPY LUCKY FROM SOMECITY OSAKA / TEAM FUKUOKA / ちきゅう
京都ハンナリーズ (エキシビションマッチ)

▼チケット
・通常札:2⽇通し券 18,820 円(税込) / 1⽇券 9,410 円(税込)
・童札(わらべふだ):2⽇通し券 9,400 円(税込) / 1⽇券 4,700 円(税込)
※童札は、2024年7⽉時点で⼩学⽣(⽣年⽉⽇が2012年4⽉2⽇〜2018年4⽉1⽇)の⽅が申し込み可能。必ず⼤⼈の⽅(通常札・家族札購⼊者)と⼀緒にご来場ください。童札のみでの⼊場はできません。
(問)公演:サウンドクリエーター 06-6357-4400
(問)チケット:https://ticket.kyoto-daisakusen.kyoto/contact

この記事をポスト

この記事の関連情報