【インタビュー】ν[NEU]、完全完結を掲げたバンドのラストメジャーデビューアルバムに永遠「一発録りによる今の音を」

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■生命を削ってやったので
■もう二度とやりたくない(笑)


──では、アルバム『N.ever』の話をお聞きしたいのですが、本作は15年の集大成として届けられるもので、ヴィジュアル系バンドν[NEU]の再録音FINAL BESTです。最初から新曲を入れないと決めていたのですか?

ヒィロ:ワーナーさんと契約するに当たって、繋いでいただいた方から「新曲を出してほしい」って言われてはいたんですよ。でも、「無理です」って。「なら、厳しいかもしれない」ってことだったんですが、「無理でもメジャーデビューしたいんです」って(笑)。

mitsu:これがヒィロなんですよ(笑)。

──だんだん、わかってきました。

ヒィロ:作ろうと思えば作れるんですけど、そもそも、僕たちバンドが壊れた原因を自覚しているので。

mitsu:作りたくて作った曲じゃないと、出す意味がないと思ったんですね。


▲mitsu (Vo)

──それで、ベストではあるけれど、豪華盤の全15曲(通常盤は13曲)が一発録りのテイクで、1曲目「everlasting light」と最後の曲「エンドロール」がアレンジを変えて再録音という形になったんですか?

ヒィロ:そうですね。

──一発録音とは思えないテイクでした。

mitsu:ありがとうございます。同じスタジオに楽器陣がいて、自分は窓がある隣のブースでその音を聴きながら歌ってました。

ヒィロ:23時から朝の6時まで野方のスタジオNOAHを借りて。ЯeIはお店で働いた後に来たんです。

ЯeI:仕事が終わって直行でした。

mitsu:ホントに一発なんですよ。1日で深夜帯に録音したので、スタミナも含めてこういうやり方しかなかったんですね。通常は環境的にも“いいものを残そう”って録音に臨むと思うんですが、なぜ一発録りにしたかというと、もちろん時間的制約もありますが、ν[NEU]はずっと音楽をやり続けてきたわけではないから、今の音をパッケージすることが大事なんじゃないかという話になったんです。「最後なんだから良い音より今の音を残さないと意味ないよね」って。結果、やってみて学びになりました。一発だから“ミスしたらそれも含めて今の自分だ”っていう感じなんですが、復活以降のライブが自信になったんでしょうね。今の音を録ればライブ感が出るし、これが僕らの正解だなって。ただ、生命を削ってやったので、もう二度とやりたくないです(笑)。


▲タクミ(G)

──一発録りはやっぱりスリルがあると思うんですよ。

タクミ:自分の場合、レコーディングという感覚では臨んでなかったんです。いつものスタジオと同じように普通に弾いていました。気にせずいつも通り。

mitsu:最初のコメントと同じだね。自然体で。

ヒィロ:タクミはライブでもほぼミスしないですから。

──そうなんですか? なぜ?(笑)。

mitsu:パフォーマンスしないから?

タクミ:それもありますし、A型気質が出ているのかもしれない(笑)。

mitsu:ライブの見せ場でバンドマンが前に出て暴れて弾くことってあると思うんですが、タクミはそれより、きっちり弾くことを優先させるんです。

タクミ:解散前は周りと比べることもあったんですが、復活してからはそういう意識がなくなって、“自分は自分”というスタイルを貫こうと思ってやってます。


▲ヒィロ(B)

──ある意味、悟りの境地ですね。

タクミ:たぶん、そうです。

ЯeI:僕もタクミと一緒で、力抜いて普通に楽しもうって。

──一発録りには失敗できない緊張感が伴いそうです。

ЯeI:ミスしないようにっていう感覚はなかったですね。

mitsu:「ミスしてもいい」って言ってたもんね。

ЯeI:「RED EMOTION 〜希望〜」のテイクはやばいっすね(笑)。

mitsu:デビューシングルなのに、やばいって(笑)。

ЯeI:ミスしちゃった部分もそのまま入ってます。

mitsu:この4人の中で、一番楽器に触ってなかったのがЯeIなのに、今までで一番いいドラムを叩いてました。ミスって言いましたが、13曲続けてドラムを聴いた時は震えましたよ。タクミ同様、精神面で凌駕したところがあるのかもしれない。

タクミ:悟りですかね(笑)。


▲ЯeI (Dr)

──「スプラッシュ!」のイントロでは、スタジオの空気が伝わる台詞が冒頭に入っていますよね。

mitsu:はい。実際、時間との勝負だったので1曲歌っては深呼吸して次の曲って感じで録っていったんですよ。ボーカル録りで、そんなことありえないじゃないですか。前半は高揚感で楽しかったんですが、途中、自分が堅くなってきたのを感じたので、イントロで「解散ライブみたいな気持ちでやってますわ」ってポロって言ったら、それがすごくリアルだったので音源に残そうって。録音=記録するという観点からも一発録りは、やって良かったですね。

ヒィロ:そうだね。

mitsu:僕らがいなくなっても、完結後に今回のCDを聴く方は「ν[NEU]のライブってこんな感じだったんだ」って絵が浮かぶような作品にしたかったんです。曲目も今のν[NEU]のライブベスト。この15曲をそのまま通しでライブでできる自信はあるので。

ヒィロ:解散前は北海道から沖縄まで全国を廻っていたんですが、復活後は本数が少なかったこともあって、前から知っていて僕らのライブを見に来られた人は半分にも満たないんじゃないかと思うんです。今回のベストは荒削りな部分もありますが、今のν[NEU]のライブに近いテイクなんじゃないかなって、録り終わった後に感じましたね。

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