【インタビュー】SUPER★DRAGONジャン海渡ソロプロジェクト・jjeanが掲げる2つの目標「自分だから作れている音楽を今後も曲げずに」
SUPER★DRAGONのジャン海渡が、ソロプロジェクト「jjean」を始動した。合わせて「Rafflesia」「Babylon」の2曲もリリース。
もともと個人での楽曲制作を行なっていたジャン海渡が、あえていまソロプロジェクトを表明した理由とは。そして意味深な2曲の制作意図とは。今回のインタビューでは、彼自身に「jjean」についてたっぷり語ってもらった。
◆MV
先に公開した松村和哉のソロプロジェクト・Cuegeeのインタビューともあわせて読んでいただくと、SUPER★DRAGONというグループの多様さも感じていただけるだろう。
関連記事:【インタビュー】SUPER★DRAGON松村和哉のソロプロジェクト・Cuegeeとは何か。「自分 1人でどこまでできるのかを試してみたかった」
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◼︎僕の音楽制作って“映画を作る”というのがテーマになっている
──SUPER★DRAGONでは作詞・曲に携わり、個人としてもSoundCloudでずっと作品を発表されてきたジャンさんなので、ソロ始動すると聞いても驚きはありませんでした。むしろ“やっとか!”と思ったくらいで。
jjean:確かに、4年ぐらい前からSoundCloudでのプロジェクトは始動していたんですけど、それは趣味に近いというか。インスタみたいな感覚で、好きに音楽を投稿しているだけだったんですね。そこから日本の音楽シーンを見ていく中で、やっぱり“自分にしかできないものがあるんじゃないか?”という想いが、自信と共に強くなっていったんです。で、グループ活動をしていると、ソロを始めるタイミングって、すごく重要になってくるじゃないですか。その点、今回のメジャーデビューで新しくSUPER★DRAGONを知ってくださる方も少なからずいるだろうから、そういった爆発力を借りて、今、このタイミングで始めることにしたんです。
──なるほど。グッと認知が広がるタイミングにソロとしてもデビューすることで、SUPER★DRAGONとの相乗効果が見込めるということですね。ちなみにソロでのアーティスト名は“jjean(ジャン)”ということですが、なぜjを2つ重ねることにしたんでしょう?
jjean:僕の音楽制作って、実は“映画を作る”というのがテーマになっているんです。毎回、僕が曲の主人公に入り込んで、もう1つの自分を作っているような節がありまして。普段はすごくポジティブ人間なんですけど、作る楽曲は割とダークサイドなものが多いので、表と裏のジャンが2人いるという意味合いで“j”を2つ重ねました。
──それを聞いて安心しました! 今回の「Rafflesia」の歌詞を拝見すると、主人公の背負っているものがあまりにも重いので、もしかしてジャンさんに何があったのだろうか? 人に言えない闇を抱えてるんじゃないか?と心配になったんですよ。
jjean:大丈夫です! 決して病んでるわけじゃないので(笑)。
──良かったです。そもそも“映画を作る”というテーマを掲げたのは何故だったんでしょう?
jjean:僕が音楽を始めるキッカケになったと言ってもいいのが、Jojiというアーティストの「Will He」という曲なんです。その曲をYouTubeで初めて見たときに、まるで映画のような空気感で“こんな音楽あるんだ!”って思ったんですよね。MVの冒頭では血に染まった浴槽に入っていて、ご本人の雰囲気も相まって、まるで映画のワンシーンみたいで。もともと僕、昔から“表現”したい気持ちがメチャメチャ強かったんですよ。中2の頃には美術の先生に“頭の中にあるものを表現したいので教えてください”って頼んで休み時間とかに絵を習って、中3のときにはコンクールで優勝したり。
──すごいじゃないですか!
jjean:だけど人の似顔絵は本当に描けなくて、既にあるものを自分なりにアレンジしていくのが、すごく苦手だったんです。自分で0から作っていった方がいいというのは昔からわかっていて、その上で表現する職業となると映画監督とか脚本家、画家、小説家っていろいろありますよね。でも、音楽なら目からと耳から両方の刺激で景色も浮かぶし、映画だって一番雰囲気を作るのは後ろのBGMだし……ってことに高1の頃かな? JojiのMVを見つけたことで気付いて、音楽を作り始めたんですよ。
──SUPER★DRAGONが結成したときジャンさんは中3でしたから、ほぼ同時期に別方向から音楽との出会いがあり、それぞれを相互作用させながら続けてきたんですね。
jjean:そうですね。SUPER★DRAGONも結成当初は与えられたものをひたすらやるだけで、自発的なクリエイティブ要素って特になかったんですけど、そこで初めて音楽というものにキチンと出会いましたし。ラップ担当になったことで新しい情報も得て、日本のネットラップに、すごく感銘を受けたんです。表に出ているHIP HOPの、その裏側にいる人たちというのに、なんだか共感して。僕、この見た目で言うのもアレですけど、実はワッショイウェイウェイみたいなのが苦手なんですよ。
──そうなんですか? スパドラメンバーの中でもコミュ強と言われているのに!
jjean:そうなんです(苦笑)。HIP HOPの空気感みたいなものが、どうしても合わないなと感じるところが昔からあって、だけどラップをやっていると、どうしてもそっちの方向に見られがちなんですね。そんなときに、本当に大人しい人たちがラップをやりたいという気持ちだけで曲を投稿している“ネットラップ”という界隈を知って、面白いなと思ったんです。だからSUPER★DRAGONの活動を通じて、音楽の面白さを見つけていったことには間違いないんですよ。
──そんな経緯があったとは。話を戻し、今回のソロデビュー曲「Rafflesia」と「Babylon」も、トラックとしては2つに分かれていますが、世界観は完全につながっていますよね。MVも2曲で1本になっていますし、まさしく映画のように一つの物語として続いている。
jjean:はい、おっしゃる通りです。
──MVの冒頭ではジャンさんも浴槽に浸かっていますが、もしやそれもJojiの影響だったりします? しかも冒頭で涙を流しているのが、非常に印象的だったんですが。
jjean:うん、そうですね。ソロ1発目のMVなので、僕の音楽の起源になるものを少し要素として入れたかったんです。その他の部分は自分なりに作り上げていったんですけど、冒頭、主人公が血に染まった手でタバコを吸うシーンに、ナイフのカットが差し込まれているじゃないですか。つまり、主人公は“せざるを得なかった”罪に手を染めてしまい、その後に夢と現実の狭間の世界を漂っている……というのを、あの場面は描写しているんです。ラフレシアの花言葉が“夢と現実の間”なので、そこから着想を得て作ったストーリーなんですが、自分の中では“夢と現実の間”と考えたときに“罪を認めさせる世界”というのが当てはまったんですね。それで彼は神から呼ばれて、罪を認めればもう一度人生をやり直すチャンスをもらう……という物語になりました。夢の中って、誰しもが現実とは違う自分、理想の自分を想像したりするじゃないですか。僕なんかすっごく中二病だったんで、中学生のときは夢の中でたくさん戦ってましたし、夢の中でいろいろしてましたよ(笑)。だから最初の涙は、主人公の恵まれなかった人生と、そこからの解放のために罪を犯してしまったことに対する悔いと喜び半々みたいな涙ですかね。
──いや、すごい。「Babylon」の方のMVで、ジャンさんが天使の羽をつけて空を翔けるのではなく、繭のようなものに囚われながら必死で前に進もうとする場面がありましたが、それもストーリーを聞けば納得です。
jjean:囚われるというのは監督の意見なんですけど、“Babylon”というテーマのもと映像としてどう表現するか?っていうのは2人ですり合わせつつ、その意図するところは視聴者に委ねたい……という気持ちでしたね。主人公が生まれ変わったことを堕天使で表現するのはマストだったので羽を作っていただきつつ、映画で言えば「Babylon」はエンディングになりますから、よりフワッとさせたいというのはありました。
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