【速レポ】<SATANIC CARNIVAL>HEY-SMITH、受け継がれるパンクロックの歴史「この曲は今日、ここで演奏するために作られた」

ポスト
no_ad_aritcle

8ヶ月に及んだ長いツアーが先週終わったばかりだというのに休む間も惜しんで、HEY-SMITHが<SATANIC CARNIVAL>のステージに立つのは、正真正銘のライブバンドである彼らにとっては、わざわざこんなことを書くことがナンセンスに思えるほど至極当たり前のことではあるのだが、猪狩秀平(G, Vo)も言っていたとおり、今回に限って言えば、どうしてもこの日、このステージで歌いたい、演奏したい曲があったからということなのだと思う。

◆ライブ写真

それが最後を飾った「Rest In Punk」。“Rest In Peace=安らかに眠れ”をもじったこのタイトルには、これからもパンクロッカーとして生き続けるという猪狩による改めての決意が込められていると思うのだが、なぜ、「Rest In Punk」を今日ここで披露したかったのか。それについては後述するように猪狩自身が語っているので、まずは「ヤッホー! サタニック、始めるぞ!」と猪狩が声を上げ、「Living In My Skin」から始まったライブの流れを振り返っておこう。


YUJI(B, Vo)と猪狩がリードボーカルをリレーしながら、YUJIが甘い歌声を響かせる「Say My Name」、猪狩がブリッジミュートでガリガリとリフを刻む「Be The One」とたたみかけるようにアップテンポのスカパンクチューンを繋げ、ステージの6人はSATAN STAGEをぐらぐらと揺らしていく。スカのビートで観客を踊らせるだけではなく、アンセミックなサビのリフレインで観客の気持ちもぐっと掴んでいくのがHEY-SMITH流だ。

「みんな知ってる? パンクロックのカルチャーは勝手に作れられるものではない。自分で強い意思を持って、作っていくものだ。俺達と一緒に歴史を作ろう。俺達は今、伝説の中にいるぞ。歌え、踊れ、騒げ!」──猪狩秀平



哀愁の中にジャジーなテイストも入り混じる「Endless Sorrow」、「回れ回れ」と指で合図した猪狩に応え、観客がサークルピットを作った「Drug Free Japan」、とびきりポップな魅力に加え、イイカワケン(Tp)、満(Sax)、かなす(Tb)、Task-n(Dr)が回したソロも見どころだった「Radio」と観客を存分に踊らせた中盤。

そこから一転、「いろいろ言われることがあると思うけど、おまえは大丈夫だ。おまえはいつもがんばってる。誰かのヒーローになれる」と猪狩が観客を励ますように披露した「You Are The Best」、胸を焦がすようなメロディが胸に染みた「I’m In Dream」と終盤は、ストレートなロックナンバーをポジティブなバイブとともに楽しませる。



「I’m In Dream」を演奏する前に猪狩は、「去年、ここでハイスタを見てからもう1年経った。あの時は涙が止まらなかった。3月にここでハイスタを見た時は笑顔が止まらなかった。パンクロックってやさしいな。やさしくてカッコいいな。ハイスタ、PIZZA OF DEATHありがとう」と語ったのだが、「I’m In Dream」は猪狩が言うやさしさを象徴するような曲だ。そして、「また絶対会おうな!」と最後の曲を演奏する前に言った猪狩は、さらに言葉を続けた。

「しぶとく生き抜いて、必ず会おうぜ。俺は心に決めた。恒さん(恒岡章)の死に最大のリスペクトを捧げて、思いきり明るく、楽しく、人生を楽しんでやるって。パンクロックへの情熱がなくなるまで、ステージに立ち続けるからまた会おうぜ!」──猪狩秀平


そして、「この曲は今日、ここで演奏するために作られた」と披露したのが、前述の「Rest In Punk」。演奏しながら、英語の歌詞のみならず、訳詞をバックドロップに映し出したのは、何を歌っているのか、観客にしっかりと伝えたかったからだ。

歌詞の内容についてはここには書かないが、何を歌っているのか知ったら、猪狩が言った「パンクロックってやさしくてかっこいい」の意味も、なぜ、彼がこのタイミングで「思いきり明るく、楽しく、人生を楽しんでやる」と心に決めたのかがわかるはず。前回、HEY-SMITHのライブを観た人は、“そう言えば”と猪狩が「Rest In Punk」で歌っていることを、ステージで切々と語っていたことを思い出すに違いない。その時、溢れ出てきた言葉を改めて曲に作り上げたということなのだろう。それが猪狩が言う「自分で強い意志を持って、パンクロックのカルチャーを作る」ということなのだと思う。

こうしてパンクロックの歴史はまた受け継がれ、続いていくのだ。


取材・文◎山口智男
撮影◎Nariaki Ueda

■セットリスト

1. Living In My Skin
2. Say My Name
3. Be The One
4. 2nd Youth
5. Into The Soul
6. Endless Sorrow
7. Drug Free Japan
8. Over
9. Radio
10. You Are The Best
11. I’m In Dream
12. Rest In Punk

■<SATANIC CARNIVAL 2024>

6月15日(土) 幕張メッセ国際展示場 9-11
・物販 / FOOD AREA:start 9:30
・ライブ観覧エリア:open10:00 / start11:00 ※21:00終演予定
▼出演者 ※28組
04 Limited Sazabys
HIKAGE
10-FEET
HOTSQUALL
Age Factory
Ken Yokoyama
バックドロップシンデレラ
Maki
The BONEZ
NOISEMAKER
BRAHMAN
マキシマム ザ ホルモン
Dizzy Sunfist
OVER ARM THROW
dustbox
Paledusk
ENTH
ROTTENGRAFFTY
Fear, and Loathing in Las Vegas
サバシスター
FIGHT IT OUT
SPARK!!SOUND!!SHOW!!
FOMARE
SHADOWS
ハルカミライ
四星球
HEY-SMITH
[OA]WHISPER OUT LOUD
▼チケット
・オフィシャルHP先行 ¥10,800
・各種プレイガイド先行 ¥11,000
・一般 ¥11,000

この記事をポスト

この記事の関連情報