【インタビュー】SUPER★DRAGON松村和哉のソロプロジェクト・Cuegeeとは何か。「自分 1人でどこまでできるのかを試してみたかった」
◼︎敵ができるのも覚悟の上で活動していきたい
──「Straight up」にも、その覚悟はあふれんばかりに綴られていますが、では、このタイトルは己の選んだ道を“まっすぐに突き進んでいく”という意味合いで捉えて良いんでしょうか?
Cuegee:あとは“正直に”という意味合いもありますね。アイドルという仕事って……自分が言うのはおかしいかもしれないですけど、必要な嘘がある仕事だと思っているんですよ。だからソロでは、逆に正直に言いたいなという想いも込めてます。
──“ランドセル背負ってたガキの頃から”や“四畳半一間の子供部屋がアリーナツアーのリハスタジオ”等、まさしく小学生の頃から芸能活動をされてきた和哉さんにしか書けないリリックが綴られているので“正直”というのは納得です。
Cuegee:ただ、自分のパーソナルな話となると書きたいことが多すぎて、その取捨選択には時間がかかりましたね。ちなみに“四畳半一間の子供部屋~”が入っている2番のラップパートは、もともとSUPER★DRAGONの「Pop Star」で使おうとしていたラインで、結局そっちでは書き直したんですけど、自分的には気に入っていたのでそのまま引用してきました。あとは、これまで触れてこなかった祖父のこととか……元々そこまで頻繁に会っていたわけではなかったのが、闘病していたときによく会いに行くようになって、すげえ男だったんだな!と感じるようになったんです。
──そんなことが。1番に登場する“長野、埼玉”という地名も出身地のことですよね。
Cuegee:生まれが長野で、そのあと埼玉で育ちましたからね。「Straight up」は始まりの曲だから、MVも生まれた場所で撮りたくて、実は長野のおばあちゃんの家でロケしたんですよ。
──ええ!? 一般家庭の家の中を案内するような映像になってますが、そんなお身内の家だったとは!
Cuegee:自分とスタッフの合計8人で行ったら、おばあちゃん、8人分お昼ご飯作ってくれました(笑)。あと、屋外のロケ地はどうしよう?ってなって、おばあちゃんに「どこかある?」って聞いたら、「おじいちゃんと一緒にカブトムシ捕りに行ってた公園がある」って言われて……全然覚えてないんですけど(苦笑)。
──MVに出てくるあの公園も、じゃあ、思い出の場所なんですね。当然、途中で出てくる子供の写真も……。
Cuegee:はい。僕です。普段、あんまり連絡してこない親からも、さすがにあのMVが出たときは「良かったじゃん」って言われましたね。
──いや、絶対に嬉しいですよ! 前々から書かれるリリックはもちろん、メンバーへの突っ込みの鋭さを見ていても、和哉さんの言語センスには驚かされているのですが、この豊富なボキャブラリーもご家族譲りだったりします?
Cuegee:うちの親がメッチャ頭いいんですよ。結構スパルタで小さい頃から「今日はこれ」って読書の課題を与えられてたんです。それがすごく嫌だったんですけど、皮肉にもそのおかげで語彙が増えたんじゃないかと考えてますね。
──なるほど。ちなみにレコーディングはいかがでしたか? 手順なんかもSUPER★DRAGONとは違ったんでしょうか。
Cuegee:単純に、メッチャ疲れたな!っていうのだけは覚えてます。え、1曲を丸々俺1人で歌うんかい!?みたいな(笑)。
──いや、そりゃそうですよ!
Cuegee:そうなんですけど(笑)。ディレクションも含め、基本的に全部自分軸で進めたから、これはOK出していいのかわからなくなることも多かったですね。
──実直なトラックに乗って気持ちよく韻を踏むボーカルと歯切れの良いラップから熱い想いがにじみ出る、とても和哉さんらしい楽曲の最後には“この夢が夢じゃなくなるまでは まだ寝れない”という文言もありますが、それでは今現在、抱いている“夢”って具体的にはどんなものなんでしょう?
Cuegee:なんて言うんだろうな。自分は性格的に映画とかのフィクションに何かを感じるタイプじゃなくて、 真実だけが人を感動させると信じているタイプなんですね。だからHIP HOPが大好きで、今後も一番メインで身を置きたいシーンなんです。
──音楽の中でも、最もリアルを歌うことに焦点を当てているジャンルですもんね。
Cuegee:そうです。ただ、HIP HOPシーン自体に対しては思うところもあって……もっと自由に、オルタナティブになってもいいのに、っていうもどかしさも感じるんですね。HIP HOPシーンの住人の方ってオーバーグラウンドを敵対視するところが無きにしも非ずで、逆にメジャーの光を浴びている人たちからすると、HIP HOPは得体の知れないアンダーグラウンドみたいな感覚もあったりする。HIP HOPは与えられなかった人たちが一発逆転するための音楽みたいな印象を、未だに皆さん持っている気がするんですね。でも、置かれた状況なんて関係なく、単純に“HIP HOPが好き”っていう理由でやっていいんじゃない?って思うし、あえてアイドルだと名乗りながら自分が乗り込んでいくことで、そういった排他的な部分を少しでも変えていけたらいいなと。
──恵まれない場所から這い上がるようなイメージが未だに強いシーンだと、和哉さんみたいな一見“恵まれた”人間は閉め出されがちかもしれない。だからこそ、あえてオーバーグラウンドに属する人間のまま、アンダーグラウンドだと言われるシーンでスポットライトを浴びることによって、その垣根を取り払いたいということですね。
Cuegee:そういうことです。だからケンカするつもりはないんですよ。オーバーもアンダーもポップもHIP HOPも関係なく、みんなで手を取り合ってエンタメしてほしいので、そうなるためのピースの1つを担えたら、全然死ねるなって感じです。
──それが今の“夢”であると。しかし、これだけ1曲目で“自分”というものをさらけ出すと、次は何が出てくるのだろう?というのが非常に気になるんですが、もう、次作のアイディアも固まっていたりします?
Cuegee:もう、ガンガン作ってますよ。今、話した目標を叶えるためには、オーバーグラウンドとアンダーグラウンドを行き来できる人間にならないといけないので、まずはHIP HOPシーンの方々に“こいつはラッパーとして応援して大丈夫な人間だ”という認識をさせないといけない。なので、ここから数作は同業者を唸らせに行きたいなというイメージですね。実際「Straight up」を出して、アンダーグラウンドで活躍されていたり、ずっとHIP HOPシーンにいる方からのコンタクトが増えたんですよ。「ちょっと話を聞きたい」という連絡をくださって、すごくありがたいです。
──嬉しいですね。とりあえず次作はバチバチにラップが入っている曲になりそうな予感がしますが。
Cuegee:そうですね。たぶん、そんなに歌ってない(笑)。次は夏ごろに出したいんですけど、やっぱりソロの制作って時間がかかるんですよ。SUPER★DRAGONと違って一人でやっているから(笑)。
──お早めの完成を期待しています(笑)。とかくグループのメンバーがソロを始めると、活動の中心がソロに移行してしまうんじゃないか?という不安を持つファンもいますが、今日お話をうかがってCuegeeの場合、そんな心配は一切ないと確信できました。オーバーグラウンドとアンダーグラウンドを融合させたいという和哉さんの野望を叶えるためには、SUPER★DRAGONを続けながらCuegeeをやることにこそ意味がある。
Cuegee:まさに、そういうことです。SUPER★DRAGONも尖ったことはもちろんやっているけれど、それは良い意味で商品の中に留まるものだと思っているから、それをCuegeeのほうでは突き破って、ちゃんと自分の表現したいことを表現していきたい。それって根本的には“敵を作る”とほぼ同義だと僕は考えているから、敵ができるのも覚悟の上で活動していきたいですね。
──そうやって敵をバンバン作る一方で、SUPER★DRAGONではオーバーグラウンドのど真ん中で最高にキラキラしていたら痛快ですよね。
Cuegee:確かに、それは面白いですね。
──ところで、このCuegeeというアーティスト名の由来は何なんでしょう?
Cuegee:それは今は伏せておきます。ただ、もちろん自分の活動に根差した意味合いがちゃんとありますし、今後明かす機会もあるはずなので待っていてください。みんなに“面白いヤツ出てきたな”って思わせたいので、今後はCuegeeとしても面白いことをいろいろやって頑張っていきます。
取材・文◎清水素子
1st Single 「Straight up」
配信リンク:https://lnk.to/Cuegee_Straightup
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