【ライブレポート】East Of Eden、5人の技術とセンスで実現させた“楽園”
ヴァイオリニスト・Ayasaが発起人となり2023年に始動した5人組ロックバンド・East Of Edenが、3月19日にZepp Haneda(Tokyo)にて2度目のワンマンライブ<- World Premiere Special Showcase - [Encore]>を開催した。
Zepp DiverCity(Tokyo)での初ワンマン<East Of Eden -World Premiere Special Showcase 2023->開催時はリリース曲が「Evolve」のみかつ全席指定での開催だった。だがあれから約5ヶ月経ち、リリース曲も増えるだけでなくキャパシティもさらに広げ、1階はオールスタンディングに。AyasaもMCで「前回とステージから見える景色が全然違う」と驚喜の表情を浮かべ、湊あかね(Vo)も「曲を知ってくれた状態で観てもらえている」「(観客の)声がしっかり出ている」と話すなど、メンバーも観客もより楽しめる環境が整ったライヴとなった。
ステージに掛かった斜幕に西洋の城と庭園を描いたオープニングムービーが投影された後、その幕が一気に落ち「This Moment」で口火を切った。ステージにはバンドのシンボルマークがあしらわれた懸垂幕が靡き、個々のブロックでプレイするAyasa、わかざえもん(Ba)、MIZUKI(Dr)、Yuki(Gt)と、4人に囲まれてステージ中央で歌う湊の姿がある。4人が城から高く伸びた“塔”ならば、湊は庭園の中央で瑞々しく舞う“噴水”といったところだろうか。オープニングムービーの世界観を受け継いだセットは、5人の歌と演奏をより凛々しく演出していた。
▲Ayasa
▲MIZUKI
Ayasaが「楽園へようこそ!」と笑顔で観客へ呼びかけると「無重力飛行」へ。タイトルの通りどこまでも飛んでいくようなサウンドスケープだ。湊はステージを端から端まで闊歩しながら堂々とした歌声を響かせ、AyasaとYukiは自身のステージを降りてソロプレイを繰り広げる。安定感と迫力を兼ね備えたわかざえもんとMIZUKIのリズム隊もポジティヴなグルーヴを作り出し、観客も5人の繰り出す音に導かれるように高揚していった。
和気あいあいとトークを繰り広げ、湊が「今日も“楽しく片手間じゃないもん”をモットーにライヴをします」と意気込むと、わかざえもんがステージセンターに躍り出るや否やスラップをプレイして「New Day」になだれ込む。電子音とダンスビートを取り入れ、間奏にソロ回しも含むなど、心地好いリズムに乗りながら彼女たちの旨味を堪能できる楽曲だ。ジャンルにおいてはメタルに分類されることが多いEast Of Edenだが、アプローチの広さはその枠にとどまらない。「螺旋回廊」では不可思議なメロディとディープな音色が空間を翻弄し、憂いを帯びたギターのリフレインが頭に残る「Deep Dive」では湿度と清涼感を両立させるという難易度の高い音像を作り出す。目の前に次々と開拓される未知の音楽世界に、身を任せるほかなかった。彼女たちの掲げる“楽園”は、5人の技術とセンスがあってこそ実現するのだろう。
ライヴ会場限定盤収録のシンフォニックロックバラード「echo echo」ではバックに星空を模したライトが煌めき、湊も普段以上に息を多く含んだふくよかな声を響かせる。悲しくもあたたかい涙で濡れる夜がそのまま音に昇華された、ドラマチックなアンサンブル。柔らかさと強さを持ち合わせる壮大な楽曲世界に、会場一帯が包まれた。
「残された果実」のアウトロで湊がステージから去ると、楽器隊4人はインスト曲の「YELLOW CARD」につなぐ。リズム隊のセッションから始まり、さらにYukiがヘヴィな音色を加えると、Ayasaが優雅な旋律を描いた。中盤のMIZUKIのドラムソロでは照明の色に合わせて異なるビートを叩くという斬新なギミックでも楽しませ、クライマックスで弦楽器隊がステージ前方で横並びになりプレイすると会場のボルテージも再度上昇した。
湊の帰還と同時にプログレ風ナンバー「鈍色のラビリンス」に入ると、スリリングで挑発的な演奏がフロア一帯を駆け巡る。エレガントでありアグレッシヴな楽曲は、湊やAyasaの所作の美しさをより引き立てた。そして「花美」「Chasing The Moon」とバンドの結束力が十二分に感じられる強靭なナンバーを畳みかけ、清々しく本編ラストを駆け抜けた。
観客の“E.O.Eコール”に呼ばれアンコールで再登場した5人は、初の全国ツアー<East Of Eden 1st Live Tour - Forbidden Fruit ->の開催、初のドラマタイアップ、主題歌である新曲「Judgement Syndrome」の作詞作曲とサウンドプロデュースが草野華余子であることを発表すると、同曲を初披露。躍動感に富んだメロディとそれぞれのフレーズが生きたスリリングな音色の交錯が観客を圧倒した。
ここで、メンバーが一言ずつ胸中を語った。MIZUKIは初ワンマンとはまったく違う「YELLOW CARD」を用意したと告げ、今後も演奏を極めていくことを約束する。Yukiはライヴ2回目とは思えないほどの観客の一体感に感動した旨を語り、「また我々の進化を楽しんでいただきたいです」と全国ツアーの開催に意欲を見せた。初めて自分のバンドでZepp Hanedaのステージに立ったわかざえもんは、このライヴでのリハや本番を経て「このメンバーすごい好きかもと思った」とバンド活動の充実を噛み締める。そして「“今日絶対良いライヴをして、ここにいる人たちみんなツアーに連れていくんだ!”という気持ちでやり切った」とこの日に懸けた情熱をあらわにした。
湊は「今日のライヴ楽しかった人!?」と呼び掛けて観客からの歓声に満足げな表情を浮かべ、AyasaはSNSでこの日のためにライブ映像作品で予習をしているファンたちの存在を知り、実際にステージからも曲を聴きこんで来てくれたことが感じ取れたと告げると、「とても素敵なファンの方々に恵まれたバンドだからこそ、より良い場所へ連れていけるよう5人揃って頑張っていきたいです」と誓った。
▲Yuki
▲わかざえもん
▲湊あかね
湊が最後の曲のタイトルコールをすると、突如Ayasaがハッピーバースデーのメロディを奏で、わかざえもんがそれに乗せて歌い、YukiとMIZUKIも音を重ねる。目を丸くした湊の前には巨大なバースデーケーキが現れた。翌日3月20日は湊の誕生日だ。まさかのサプライズに驚きを隠しきれない彼女は「33歳最後の日をこんなにたくさんの人に見届けていただけて本当にうれしいです。これからもEast Of Edenとともに高みに行きたいと思っておりますので、皆さんついてきてください」と照れながらはにかんだ。
最後に5人は「Evolve [Extended Version]」を披露。歌詞にもある《突き進め 未来へ》という強い思いがヴォーカルと演奏に滞りなく表れた、エネルギッシュなラストだった。彼女たちは現在2ndミニアルバム『Forbidden Fruit -2nd piece-』を制作中だという。2度のライヴを経てさらにグルーヴの増した1作に仕上がるだろう。異なる華やかさと個性を持つ5人が、それを活かしたうえでどんな調和と進化を見せていくのか、ツアーと新作を楽しみに待ちたい。
取材・文:沖さやこ
撮影:ほりた よしか
セットリスト
2024.3.19 (18:00 OPEN/19:00 START) @Zepp Haneda(Tokyo)
1. This Moment
2. 無重力飛行
3. New Day
4. 螺旋回廊
5. Deep Dive
6. echo echo
7. 残された果実
8. YELLOW CARD
9. 鈍色のラビリンス
10. 花美
11. Chasing The Moon
- Encore -
12. Judgement Syndrome
13. Evolve [Extended Version]
ライブ・イベント情報
◆6月7日(金)大阪・なんばHatch 開場18:00 / 開演19:00
◆6月22日(土)東京・豊洲PIT 開場17:00 / 開演18:00
◆6月28日(金)名古屋・ダイアモンドホール 開場18:00 / 開演19:00
[席種・価格・問い合わせ]
◆大阪・なんばHatch
●S席(特典グッズ付):13,000(税込) ※全席椅子指定席
●A席:\7,500(税込) ※全席椅子指定席
※別途ドリンク代600円
※問い合わせ:キョードーインフォメーション https://kyodo-osaka.co.jp/
0570-200-888 (日祝休み 11:00~18:00)
◆東京・豊洲PIT
●S席(特典グッズ付):\13,000(税込) ※椅子指定席
●A席:\7,500(税込) ※椅子指定席
●スタンディングエリア:\6,500(税込) ※整理番号付き"
※別途ドリンク代600円
※問い合わせ:DISK GARAGE https://info.diskgarage.com/
◆名古屋・ダイアモンドホール
●S席(特典グッズ付):13,000(税込) ※全席椅子指定席
●A席:\7,500(税込) ※全席椅子指定席
※別途ドリンク代600円
※問い合わせ:SUNDAY FOLK PROMOTION https://www.sundayfolk.com/
052-320-9100 (12:00~18:00)
[チケット販売] ◆East Of Eden 公式ファンクラブ“楽園” 抽選先行
受付期間:3月27日(水)23時59分締切
受付URL: https://fan.pia.jp/east_of_eden_official/
※その他のチケット販売については追って発表。
※詳細 https://www.jvcmusic.co.jp/-/News/A028383/30.html
リリース情報
[発売日] 2024年3月13日(水)
[収録曲] ※全13曲入り、3タイプ共通
1. Evolve [Extended Version]
2. Deep Dive
3. 無重力飛行
4. 鈍色のラビリンス
5. New Day
6. 螺旋回廊
7. 残された果実
8. echo echo
9. YELLOW CARD
10. 花美
11. Chasing The Moon
-Encore-
12. This Moment
13. Evolve [Extended Version]
[商品詳細]
【Blu-ray】 VIXL-443/税込\8,580(税抜\7,800)/ライブ本編+メイキング映像収録
【DVD】 VIBL-1119/税込\6,380(税抜\5,800)/ライブ本編のみ収録
【完全生産限定盤】 ビクターオンラインストア限定販売/NZS-960/税込\14,080/税抜\12,800
/Blu-ray+A4サイズ豪華フォトブック+スリーブケース仕様
この記事の関連情報
【インタビュー】East Of Eden、楽越したスキルと感受性で音楽の幅を広げた2ndミニアルバム『Forbidden Fruit -2nd piece-』
East Of Eden、2ndミニアルバム発売に合わせて新曲「CROSS∞ROADS」MV公開
East Of Eden、7/24ミニアルバム収録「CROSS∞ROADS」MVティザー映像公開&7/23に生トーク番組配信決定
East Of Eden、7/29初ファンクラブイベント&11/29結成1周年記念ライブ開催
East Of Eden、7/24リリースの2ndミニアルバムから「Chasing The Moon」先行配信&MV公開
East Of Eden、「Judgement Syndrome」配信スタート&2ndミニアルバムを7/24リリース
East Of Eden、主題歌担当のドラマ『御社の乱れ正します!』にメンバーの特別出演が決定
East Of Eden、ワンマンライブで初のドラマタイアップ&初全国ツアー開催を発表
East Of Eden、ワンマンライブ会場限定販売CD「echo echo」を発売