【インタビュー】sawamay、新曲「夕陽」が示す旅立ちと決意「青い時代のときめきを鮮明に覚えていたい」

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■過去に固執して生きていくことはできない
■でも過去の記憶や大事な言葉は持っていたい


──シングル1作目の「ブルーノート」(2021年5月発表)から今作「夕陽」まで、全曲のサウンドプロデューサーを務めている山本幹宗さんとは、どんなふうに出会ったのでしょうか?

sawamay:山本さんもFABTONE RECORDSさんに繋げていただきました。山本さんの以前のバンド、The Cigavettesが以前、FABTONE RECORDSからリリースしていたんですよ。

──そうでしたね。とは言え、音楽的に通じるものがないと一緒にできないと思うのですが、山本さんとはどんなところで意気投合したのでしょうか?

sawamay:くるりのサポートをされていたので、憧れもありましたし、幹宗さんのギターの音色って、聴いているととても気持ちいいんです。毎回楽曲にふさわしい音色を奏でてくださることも含め、音の部分に関してものすごくリスペクトしています。素晴らしい方にサウンドプロデュースしていただいていると思います。

──そう言えば、「夕陽」の作詞 作曲を担当している三浦太郎(フレンズ/G, Vo, Cho)さんが以前やっていたバンド、HOLIDAYS OF SEVENTEENもFABTONE RECORDSからリリースしていましたね?

sawamay:そうですね。フレンズは私も聴いていたのですが、「夕陽」は幹宗さんからの推薦だったと聞いています。曲を書いていただいたとき、“風景に溶け込むような彼女の声に引っ張られるようにしてできた曲です!”という三浦さんからいただいたコメントがとてもうれしくて。私の声はものすごく個性があるわけではないと自分では思っているんです。だから一回聴いただけで、すぐにその人だとわかる個性的な声の方には憧れるし、そういうシンガーで好きな方もたくさんいるんですけど、その一方では、居心地のいい声というのもあると思っていて。自分の声を、初めてマイクを通して聴いた時に、すごく居心地のいい声だと思ったんです。「夕陽」もそういうところを太郎さんが取り上げて曲を書いてくださったので、いい相乗効果が生まれた気がします。だから、「夕陽」が出来上がったとき、すごく手応えもありました。自分の生活の中に自然と入ってきてくれる曲だと思えて、そういうところがすごく気に入っています。

──こういう曲を作ってくださいとリクエストしたんですか? それとも三浦さんにお任せだったんですか?

sawamay:「夕陽」は、太郎さんがこれまでの楽曲や私の声を聴いて、着想を得て作ってくださったので、私が何かリクエストしたわけではないんです。けど、最初にデモをいただいたとき、歌詞に書かれているテーマが、私自身が最近考えていることとすごくリンクしている感じがあって、心がぎゅっとなりました。


▲4thデジタルシングル「夕陽」

──そうなんですよ。前3曲のテーマは、過去の大事なものに目を向けているというふうにおっしゃっていましたが、「夕陽」には“戻らないわ”という歌詞があるじゃないですか。そこには過去の記憶も大事にしつつ、前に進んでいこうという思いが表れているんだと感じて、前の3曲からの今回の新たな出発、あるいは旅立ちというテーマを三浦さんに伝えたんじゃないか、とお話を聞きながら想像していたのですが、そうではなかったんですね。ちょっと驚きです。

sawamay:そうなんです。私が今までテーマにしていたことを汲みとってくださったんだと思いました。だから、「夕陽」の歌詞は本当に気に入っていて。過去に固執して、生きていくことはできないことはわかっているんですけど、過去の、すごく楽しかったこととか、大事にしたい言葉とか、そういうものはやっぱりずっと持っていたいと思うんです。もっと若かった時は、素直に目の前のことにもっとわくわくできたし、ときめいていたと思うんですけど、歳を重ねるにつれて、現実や日々の生活の中で、素直な感情に従順でいることが難しくなってきて。それでも、あの時のときめきは忘れたくないし、あの時の気持ちはそのまま大切に持ったまま進んでいきたいという気持ちがあるんです。「夕陽」の歌詞は、そういう思いが本当に美しく書かれていますよね。

──その中でも特に気に入っている箇所はありますか?

sawamay:冒頭の“見たもの全てに恋をして 一つ一つを手にとっていたんだ”というところです。デモを聴いたとき、その2行にいきなり心を掴まれました。それだけ純粋に目の前の世界に恋をして、進んでいられたという若さゆえの素敵なところが端的に表現されていると思います。

──僕もその2行が一番好きです(笑)。いきなり掴まれますよね。ところで、日本語の歌詞がお好きだとおっしゃっていましたが、sawamayさんご自身は歌詞を書かれないんですか?

sawamay:今のところは、あまり考えてはいないんです。これまでもストーリーのイメージや元になるアイデアはお伝えしていたので、それは変わらずに続けていくと思います。ただ、大学の時に遊びの延長で歌詞を書いたことがあって、最近、それを見返すことがありまして。メモ帳に残っていたもので、歌詞というか誰かに伝えたい手紙のようなものだったんですけど、そんなに難しい言葉も使っていなくて。でも、それが妙にグッとくるようなものになっていたので、機会があれば挑戦したいという気持ちもあります。

──「夕陽」のサウンドは前の3曲よりもスケールアップした印象がありました。サウンドプロデュースをする上で方向性とかイメージとか、山本さんがどんなものを描いていたか、山本さんから聞いていますか?

sawamay:幹宗さんは、太郎さんが作ったデモを聴いたときに素晴らしい曲だと思ったそうで。アレンジに関しては、曲の良さを生かすという考えがまずあったと思います。前の3曲は過去に目を向けていたこともあって、部屋の中にいるイメージだったんですが、曲を発表しなかった1年を経て、ここから活動を再開するということが曲の世界観を広げるきっかけになったということもあると思います。それと同時に、私自身もやっぱりコロナ禍の期間中は、将来への不安もあったし、音楽業界でもいろいろな方のお仕事が止まってしまったし。誰もが今までのことを振り返る時期だったと思うんです。だけど、今、状況も落ち着いてきて、外のことにまた目を向けることができるようになった、という気持ちの変化が私自身の中にもあって、それがこの楽曲の広がりにもリンクしていると感じています。

──「夕陽」のサウンドでsawamayさんが気に入っているのはどんなところですか?

sawamay:イントロのギターがカッコいいというのはもちろんですけど、サビでグロッケンシュピールの音色が鳴っているんです。「夕陽」のミュージックビデオは海辺で撮影しているんですけど、その音色と水面の光がキラキラと反射するイメージがリンクする感じが私は気に入っています。

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