【インタビュー】プッシュプルポット、最新作『生き抜いたその先で』から見えるバンドの信念「“生きることを歌っていたんだ”と気づいた」
◾️自然と人生観を振り返るような曲が揃っていた
──今回のミニアルバムは昨年12月のリリースですけど、タイトルが奇しくも『生き抜いたその先で』なんですよね。
山口:はい。なんの因果か、状況とバチッと合ってしまいました。
──全体を通して“生きる”というテーマが歌われている印象でした。その点は意識されましたか?
山口:曲作りのタイミングでは意識してなくて、ミニアルバムが出来上がったときに、“ああ、生きることを歌っていたんだ”と気づいた感じですね。ここ数年で直面したコロナ禍も、自分にとっては音楽を続けるかやめるかを迫られる大きな出来事だったからなのかな。諦めずにやってきてよかったなと最近すごく思うし、そう考えられるのも生きているからこそというか。“過去があった上での今”みたいな曲が多い。
明神:むしろ、完成してから全体像が見えたよね。テーマがあらかじめあったわけじゃないんだけど、自然と人生観を振り返るような曲が揃っていたり。
──1曲目の「バカやろう」は、まさに苦しい状況で光になり得る曲だなと思います。起死回生のパワーも漲っていて。
山口:ありがとうございます。悩んでることがバカらしくなりますよね(笑)。
──《食う寝るところ 住むところすら 全部投げ出して ほら 踊ろうぜ》のラインも印象的で、今この瞬間のかけがえのなさを知っている山口さんらしい、説得力のある歌詞に感じました。
山口:震災のことが頭にあったわけじゃなく、意外と無意識で書いたんですよ。言葉遊びのような歌詞がスッと浮かんで、それがうまくハマりましたね。
──曲が生まれたきっかけというのは?
山口:自分がそもそもバカな人間で、ライブの打ち上げとか、朝方ギリギリまで対バン相手と遊ぶんですよ。翌日もまたライブがあるのに。「大丈夫なの?」とよく心配されるんですけど、「いや、今日が大事じゃん! 次に会えるのは数ヵ月後かもしれないし、明日のことは明日の俺がやるから!」みたいな(笑)。
明神:むちゃくちゃですよね、本当。僕もわりと付き合いますけど。
山口:明日のライブになったら、どうせ本気でやるからね。今日をめいっぱい楽しんだほうが、逆にモチベーションになったり、MCのネタに繋がったりするんです。
堀内:まあまあ、たまにだったらいいかな。
桑原:僕はそんなに体力ないんで、早く寝たいです!
明神:おじいちゃんやん(笑)。
山口:あははは! まだまだ行けるっしょ。そんな性格の自分が、学生時代によく聞いた「明日やろうは馬鹿野郎」という言葉をふと思い出して、なんかすごくウザかったんですよね。“明日のことを明日やるのは馬鹿なの?”“今日を楽しんでないのにそれってどうなのよ?”“明日のことを考えすぎたら今日を後悔しちゃうし、その繰り返しじゃん!”となったので、僕の屁理屈を根拠立てる曲を作りました。
明神:いい発想の転換だよな。この感じって、ぐっちの武器だと思うんです。ロジックを組み立てる、正当化するのがうまい。頭は良くないけど、そこがめっちゃ強い(笑)。
──何かしらの息苦しさ、窮屈さを感じている人に届いてほしいですね。
山口:本当にそう。“馬鹿真面目にやってたら苦しいだけでしょ!”と思うから。「逃げちゃダメ」なんて言われるの、人間だけじゃないですか。動物は本能で危険からちゃんと逃げるのに、人間は逃げちゃダメなのがおかしい。俺は本能のまま生きたいので、バカでいい。そういう想いも「バカやろう」には込めてます。
明神:今のロジック立てもすげえな。なんか共感できたわ〜!
──「バカやろう」はカラオケ(DAM)に入っていますし、歌ってストレス発散するのも良さそうだなって。
山口:大声で叫んでもらえたら嬉しいな。僕はもうカラオケで歌ってきました。
明神:歌ったんかい!
山口:採点モードは怖くてやらなかった(笑)。
堀内:昔はメンバーでカラオケも行ってたよね。
桑原:バンドが暇だった頃はね。今も仲は良いんですけど(笑)。
明神:暇なときに金沢で集まれるのが、この4人しかいなかったんです。周りの友達は社会人になってたし。
山口:僕以外は車を持ってるんで、買い物に行きたいときに呼び出すっていう。「ごはん食いたくない?」とか言って、自分の用事も済ませるんです。
明神:メシに行く途中で、しれっとコンタクトレンズを買ったりしてたな(笑)。
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