【速レポ】<響都超特急2023>HEY-SMITH「今をしっかり生きて、生きて、また未来に繋げていこう」
メンバーがステージに出てきたとたん、ぐわーっとステージに押し寄せ、手拍子しながら声を上げるオーディエンスに向かって、「来たぜ、京都。おまえら暴れる準備はできてるのか!? よっしゃ行くぞ!」と猪狩秀平(G, Vo)が言い放ち、満(T.Sax)、かなす(Tb)、イイカワケン(Tp)が鳴らした勇ましいホーンのリフから1曲目の「Endless Sorrow」になだれこむと、オーディエンスのシンガロングとダイブは、HEY-SMITHのメンバー達がステージを降りるまで止まることはなかった。
◆ライブ写真
今年の11月から続けている目下の最新アルバム『Rest In Punk』のリリースツアーの勢いのまま、<響都超特急2023>に乗り込んできたHEY-SMITH。その熱演と、渾身の力で反応を返すオーディエンスがともに作り上げた熱狂が抱かせるのは、結成から17年を経てバンドに訪れる新たな展開の予感だった。だが、それにしても「Still Ska Punk」「Living In My Skin」とたたみかけるように繋げたところで、なぜ猪狩は「俺達、今日1回もMCなしで、ノンストップで行くぞ!」と宣言したのか?
それは限られた時間の中で、1曲でも多く演奏したかったからかもしれないし、それが今現在のバンドのムードだったのかもしれないし、ロックバンドのライブに余計なMCは必要ないと考えたのかもしれないし。本当の理由はメンバー達に尋ねてみなければわからないけれど、最後の曲を演奏する前に例外的に猪狩が語ったMCを聞き、もしかしたらその言葉が他のMCに埋もれてしまわないようにしたかったからなんじゃないかと筆者は想像した。
この日、猪狩とYuji(B, Vo)が歌声を重ねながらバンドが演奏したのは、前述の『Rest In Punk』からの5曲を軸にしたメロディックパンク&スカパンクの2本立てと言える全12曲。すでに書いた通りオーディエンスのダイブとシンガロングが止まらなかったことを考えると、その全曲が見どころだったとも言える。「壁にぶち当たったとき、人生において辛いと思ったとき、俺達の名前を呼べ!」(猪狩)と演奏された「Say My Name」の、意表を突くようにサビから始まって、そこからホーンのリフを挟んでハードコア調に展開するというトリッキーな曲構成は、たたみかけるようなライブの流れの中でもしっかりと印象を残すという意味でハイライトと言えるものだった。
「ちゃんと最高の時間過ごしているか? 今日だけじゃないぞ。命を持って、しっかり生まれてきたんだから、おまえの人生はいつだって最高だぞ。おまえは最高だ。誰が何と言おうと、それを忘れるな。おまえの人生全肯定ソング」(猪狩)と伝えて始まった「You Are The Best」もまた、メロディックパンクに宿らせたハートウォーミングなフィーリングがセットリストの中で異彩を放っているという意味で聴きどころだった。
そこからTask-n(Dr)のドラムで繋げたスカパンクの「We sing our song」でオーディエンスを踊らせてから演奏した反骨のライブ賛歌「Download Me If You Can」は、猪狩が刻むメタリックなリフとともにアピールする持ち前の向こう意気が痛快だった。
そして、「ロットンに感謝の気持ちを伝えさせてください」と言ってから、この日、猪狩が語った唯一のMCは──。
「学生の頃から自分でチケットを取って、ロットンのライブを見に行ってたファンです。あんなふうになりたいと思って、ギターを背負ったのが俺です。だから、ずっと一緒にできたのは楽しかったんだけど、KAZUOMI君がステージに立てなくなってから、大丈夫かなと正直思ってた。けど、サポートにヒコちゃん(MASAHIKO)を迎えて……あんな難しいギター弾けるわけないと思ったけど、弾いてるよな! そして、俺達をまた<響都超特急>にステージに立たせてくれて、この後、ロットンを見られるんだから、こんな最高なことないよ。心の底からリスペクトしてます!」
やはり、そんなふうに言葉にした思いが埋もれてしまわないように猪狩はこの日、言葉の数をできるだけ減らそうとしたんじゃないか?
そして、今年、多くのミュージシャンが亡くなったことに言及してから、「わかってると思うけど、バンドっていつ見られなくなるかマジわからないから。俺達は大事な命の上を歩かせてもらってる。今をしっかり生きて、生きて、また未来に繋げていこう。来年、<響都超特急>で会えると信じてる!」とアンセミックなメロディックパンクナンバー「Goodbye To Say Hello」を最後に披露して、怒涛の35分を締めくくった。曲のタイトルが物語るように、それはHEY-SMITHなりの再会の誓いだった。
文◎山口智男
写真◎Yukihide"JON..."Takimoto
セットリスト
M2. Still Ska Punk
M3. Living In My Skin
M4. Be The One
M5. Into The Soul
M6. 2nd Youth
M7. Say My Name
M8. I'm In Dream
M9. You Are The Best
M10. We sing our song
M11. Download Me If You Can
M12. Goodbye To Say Hello
ライブ・イベント情報
12月16日(土)、17日(日) 京都パルスプラザ
乗車時刻(開場時間) 各日 10:00
発車時刻(開演時間)各日 11:00
【出演アーティスト】
■12/16(土)
[金閣]
UVERworld / G-FREAK FACTORY / 10-FEET /ハルカミライ / MY FIRST STORY / MUCC / ヤバイTシャツ屋さん / ROTTENGRAFFTY
[銀閣]
アルカラ / INKYMAP / ジャパニーズマゲニーズ / NEMOPHILA / NOISEMAKER / HERO COMPLEX / Paledusk
■12/17(日)
[金閣]
coldrain / The BONEZ / THE ORAL CIGARETTES / SiM / Dragon Ash / Fear, and Loathing in Las Vegas / HEY-SMITH / ROTTENGRAFFTY
[銀閣]
ANARCHY / OAU / THE冠 / 四星球 / TENDOUJI / TOTALFAT / FOMARE
MC(両日):やべきょうすけ
【イベント特設サイト】
https://kue.rotten-g.com/23/
【券種】
・1日券 ¥8,610・2日券 ¥16,610 (税込) ※SOLD OUT
※全自由・整理番号無し
※会場にて、リストバンドと引き換えになります。
・金色シート:1日券 ¥16,100 (税込) ※SOLD OUT
※全席指定
※購入特典:金色シート専用PASS/お土産
※事前配送のみ
(席番入りラミパス / リストバンド / おみや引換券)
※2日券ご購入のお客様は両日同じ席でのご用意となります。
※お席は金閣のみご用意しております。
※おみやは当日会場にてお渡しとなります。
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