【インタビュー】現代型ジャズギタリスト・竹内勝哉とは? 音楽人生と1stアルバムに込めたアイデンティティ
愛知県名古屋市出身、ジャズからロックまでをクロスオーバーする現代型ギタリストの竹内勝哉が、12月13日に1stアルバム『Yoi/宵』を配信リリースした。
◆ティザー映像
本作には、宇宙空間の飛行を感じさせる壮大なリード曲「Interstellar」(※先行配信音源はDolby Atmos対応作品)をはじめ、美しく叙情的なメロディやコード進行の妙が光る「886」など、色とりどりの全9曲を収録。ジャズギターファンのみならず、インストバンドが好きなリスナーの琴線にも触れるような、モダンでキャッチーな作品に仕上がっている。
初のソロインタビューだという今回は、アルバムの聴きどころに加え、これまでの経歴、ジャズに惹かれたきっかけ、ソロギタリストに転身して見えた世界の新鮮さ、好きなサウンドについてなど、たくさんのことを聞くことができた。竹内勝哉というミュージシャンの魅力、芯の強さがひとりでも多くのリスナーに伝われば嬉しい。
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◾️単体で成立している音楽性を持つギタリストが好きで、自分もそうありたい
──竹内さんのことを知ったのは、Qaijffの音源やライブに携わっていたところからなんですけど、今現在はソロのギタリストとして活動しながら、他のアーティストと関わったりもされている感じですか?
竹内勝哉(以下、竹内):ジャズクラブでの演奏をメインに、ギタリストとして幅広くいろんなことをやらせてもらっています。先輩にあたるQaijffもそうですけど、ロックやポップスのミュージシャンのサポートをしたり、レコーディングに参加したり、地元のプロサッカークラブである名古屋グランパスのスタジアムBGMの制作に関わらせていただいたり。
──やかたみき(元SKE48 矢方美紀)さんの「うごめくかいじゅう」でのギタープレイも素敵でした。
竹内:ありがとうございます。ジャズギタリストと限定するわけでもなく、ジャンルレスに楽しくやれているのかなと思いますね。
──ジャズクラブでの演奏で言うと、Qaijffの結成10周年記念ライブ(2022年11月22日に愛知・名古屋 Electric Lady Landで開催/レポート)に竹内さんと同じくゲストで出ていたサックスプレイヤーの佐藤祐紀さんとは、何度かごいっしょされてますよね?
竹内:実はあの日がきっかけで、佐藤さんとの交流が始まった感じなんですよ。名古屋にあるjazz inn LOVELYやMr.Kenny'sでのセッションライブで顔を合わせたりとか。僕のリーダーバンドに参加してもらったこともあります。
──あとは、音楽スクールでギター講師なども。
竹内:やってます。ジャズ界隈のミュージシャンには、個人的なレッスンも含めてそういうお仕事をされている人が多いですね。
──ソロギタリストとしての活動を始めたのはいつ頃になるんですか?
竹内:高校生のときに結成したバンド、Bob is Sickが2016年に活動終了となりまして、その翌年の2017年からですね。
──ロックバンドでギターを弾いていた竹内さんが、ジャズに惹かれるようになった経緯を教えてください。
竹内:Bob is Sickとして活動する中、僕はロックの一方でメタルも大好きになって、アドリブ的な演奏にだんだんと興味が湧いてきたんですよ。メタルのライブとかであるじゃないですか、間奏のギターソロを即興でガンガン弾きまくるようなプレイ。ああいうのに憧れていて。
──ジャズのアドリブではなく、メタルのアドリブ。
竹内:速弾きのほうですね。で、アドリブに関心を持ったことから、ジャズ系の音楽専門学校になんとなく進むんですけど、そこが当時、ボストンのバークリー音楽大学と提携している学校だったんです。ジャズのメソッドを基本に教える、それこそバークリーに行きたい人も通うような。
──いざ入ってみて、様子が違うことに気づいたというか。
竹内:まさしくそんな感じでしたね。入学試験でイングヴェイ・マルムスティーンの「ブラック・スター」を弾いたのなんて、たぶん僕くらいだったんじゃないかな(笑)。
──思いっきりメタルの曲を選んで(笑)。
竹内:めちゃくちゃ空気が読めないやつでした。ジャズギターのレジェンドとかもまったく知らなくて、同級生にドン引きされたもんだから、当時は中古CD屋でバイトをやっていたんですけど、勤務中の店内BGMが自由に流せたので、いろんな音源を聴きまくったんです。
──それがジャズとの出会い。
竹内:でしたね。今思うと、アドリブに惹かれた時点で必然的な道だった気がします。いろいろ聴くうちにジャズの魅力がわかって夢中になっていったし、学校だけだと足りないなと思って、外部のジャズギターの先生にも習ったり。2013年からはギタリストの清水行人さんに師事するようになりました。
──清水さんとはどうやって知り合うんですか?
竹内:“誰か習える方がいないかな”と探していたときに清水さんの存在を知って、SoundCloudにアップされていた演奏を聴いたら、僕が好きな感じのサウンドに明るそうなすごくかっこいいギタリストだったので、こっちからアプローチしました。ちょうどバークリーを卒業して帰国されたタイミングで、まずはレッスンに通うところから始めて。個人的に教えてもらうようにもなった形です。
──竹内さんの好きなサウンドというのは?
竹内:ニューヨークで活躍するミュージシャンをはじめ、いわゆる“コンテンポラリージャズ”と言われる音楽ですね。現代的なエフェクトを使ったり、ギターもロック寄りのテレキャスターやストラトキャスターを使ったりするみたいな、いろんなジャンルがクロスオーバーした感じの。ギタリストだと、マイク・モレノ、ニア・フェルダー、カート・ローゼンウィンケル、ギラッド・ヘクセルマンとか。バンドマンのギタリストというより、単体で成立している音楽性を持つギタリストが好きで、自分もそうありたいです。
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