【インタビュー】ミッドナイト・シティ「俺たち、イギリスではオンリーワンだよ」

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イギリスのポップメタルバンド、ミッドナイト・シティが4年ぶり2度目となる来日公演を行った。

ここのところ、アフターコロナでの海外アーティストの来日ラッシュが止まらないが、アルバムセールスやバンドの知名度で言えば、このミッドナイト・シティが日本に来れる事は奇跡と言っていい。

彼らが愛される理由のひとつに、華やかなフロントマンのロブ・ワイルド(Vo)を中心に、流麗なギターソロとキラキラな鍵盤、アタックの効いたリズム隊とハーモニーからなる楽曲たち。これが全編フックがある非常に覚えやすいものばかりゆえ、ライブでは常に観客とのシンガロングが印象的なバンドである事だ。


そんな彼らもコロナ禍では時が止まってしまったが、2021年には様々な制限の中で制作された通算3作目のアルバム『Itch You Can't Scratch』をリリース。そして今年2023年には4枚目となる最新アルバム『In At The Deep End』のリリースと再来日公演という嬉しいギフトを届けてくれた。



初来日時はとにかく「日本に来れて夢が叶った」とメンバー全員が言っていたが、今回のステージではその初々しさだけでなく、すっかり自信にも満ちた貫禄やメンバー個々の存在感もひとまわり大きくなった印象だ。1980年代のオマージュをアップデートしていた彼らのサウンドは、完全に「これが俺たちの音楽だ」と言えるほどに説得力も増していた。











東京公演では、サプライズゲストとして『ソニック・ザ・ヘッジホッグシリーズ』やCrush40のギタリストでサウンドクリエイターである瀬上純がステージに友情出演したのもまたハッピーな場面となった。ギタリストのマイルスは大のゲーム好きであり、瀬上ファンである事から初来日時に親交を深め、以降もイギリスでの再会も果たしている。





新ドラマーを迎えた新生ミッドナイト・シティ。東京公演前に、ロブ・ワイルド(Vo)、マイルス・ミーキン(G)、ショーン・シャーベット(Key)、ジョシュ・ウィリアムズ(B)、ライアン・ブリッグス(Dr)のメンバー全員と話をする事ができた。

──再会を心待ちにしていました。4年ぶりの日本はいかがですか?

ロブ・ワイルド(Vo):最高だ、日本は本当に素晴らしいよ。昨夜の大阪公演もみんな全曲を歌ってくれて、飛び跳ねたり踊ってくれてね。本当に嬉しかったよ。

──4年の間に色々ありましたよね。少し試練でもありましたか?

ロブ・ワイルド:そうだね、パンデミックとメンバーチェンジもあったからね。前任のピート(ニューデック/Dr)は色々なバンドを掛け持ちしていたからとにかく忙しかったんだよ。今は新メンバーのライアン(Dr)から新しいエネルギーを貰っているし、彼は一緒に居ても凄く楽なところがいいよ。

──ライアンとはアトラス(ライアンが現在も在籍しているイギリスのメロハーバンド)とのツアーで知り合ったのですか?

ライアン・ブリッグス(Dr):いや、もともと僕とジョシュ(B)とは15年くらい前からの友達なんだ。以前のミッドナイト・シティのツアーでピートが不在時に僕がサポートしたのがきっかけだよ。その時にロブとも知り合って、お互いに好きなバンドや、やって行きたい音楽性も非常に似ていたし、とにかくウマが合ったんだよね。それで正式にバンドに加入したんだ。

──前作『Itch You Can't Scratch』は、ロブ自らダークだと仰ってますが、ダークというよりは骨太で甘過ぎず、スキッド・ロウみたいな雰囲気もありますね。

ロブ・ワイルド:うん、パンデミックの影響でダークになった部分はあるんだけど、全部がそうではなくて、ポイントにはちゃんとハッピーロックも入れてみたんだよ。それに俺たちはスキッド・ロウの大ファンでもあるから光栄だし、その通りだよ。それは制作時期の背景も含めて、俺たちがパワフルになったからだと思うんだ。

──そうですね、制作時期がパンデミックでしたね。レコーディングは今までとは違うやり方でしたか?

ジョシュ・ウィリアムズ(B):これまでとは違う5つの別々のスタジオを使ってレコーディングになったよ。メンバーとも会えなくて、あの時はもうどうしていいのかわからなくなったよね。でも時間だけはあったので、みんなでアイディアを出し合って、どんなやり方が良いかを選んでベストな方法でやれたよ。







──そういう時期を乗り越えての最新作『In At The Deep End』は素晴らしい作品になりましたね。手応えは感じていますか?

全員:ありがとう。

ロブ・ワイルド:最新アルバムはプロダクションとかミックスの問題ではなくて、これまでの作品の中で最も手応えのある作品になったと思うんだ。僕らの中でのベストアルバムと言えるよ。

──同感です。そして今作もまさに80'sサウンドですが、その為の工夫とかありますか?

マイルス・ミーキン(G):僕らが80'sミュージック、ロックンロールが大好きだからなんだけど、やっぱり1980年代のビッグネームのバンドからのインスピレーションだよね。あと、最新アルバムはミックスをクリス・レイニー(プリティ・メイズ/ Key)が手がけてくれたから更に素晴らしいものになったよ。

ライアン・ブリッグス:そして僕らと同じようなやり方をしているバンドがまだまだイギリスでは少ないんだよ。だから注目もされるし、マーケットの中でも目立てるんじゃないかな。

──デフ・レパードのようなゴージャス感もありますし、これまでよりもショーン(Key)がフューチャーされていますよね。

ロブ・ワイルド:デフ・レパードは、自分の好きなバンドのトップ3に入るほど好きなバンドだよ。そうだな、意識したとか決して狙ったわけではないんだけど、クリス・レイニーと作業する中でも好きなバンドの部分が出てしまっているんじゃないかな。

ショーン・シャーベット(Key):もともと僕らのキーボードの位置は左側だったんだけど、もっとキーボードに重きを置いてみようと今の位置にしてみたのもクリスのアイディアだよ。

──マイルス(G)も一層、熱いプレイですね。何か新しい試みありました?

マイルス・ミーキン:これまでのレコーディングエンジニアは前任ドラマーのピートだったでしょ。彼が多忙だったから正直あまり時間が取れなかったんだよね。決められたスタジオ、決められた機材だった事もあるし。今回は自分のスタジオ、自分の機材で時間もたくさん費やせたし、何度も納得がいくまでトライできたんだよ。

──妥協せずにできたわけですね。ちなみに、1980年代サウンドで他に気になっているバンドはいますか?

ロブ・ワイルド:クレイジー・レックスはいいね。

マイルス・ミーキン:クラッシュダイエットとか、レックレス・ラヴ、H.E.A.Tとかいいよね。

──日本でも人気がありますよ。そもそもイギリスでヘアメタルな現役バンドは他にいらっしゃるのですか?

マイルス・ミーキン:いや、僕たちだけだよ、オンリーワンさ。

ロブ・ワイルド:誰もこういうサウンドは演っていないね、イギリスでは。

──もうUK代表でアメリカのヘアメタルが集まるクルーズフェスティバルに呼んで欲しいですね。

ロブ・ワイルド:それ、めちゃくちゃ出たいんだよ。出たら観に来てよね。

マイルス・ミーキン:僕らの好きなバンドがたくさん出ているし、その中に僕らも出たいんだよ。

──そう言えば、アメリカでは今日は(12月2日)KISSのファイナルコンサートですよね。

ロブ:ああ、今週末はKISSの最後の2公演だと知っていたよ。夏にイギリスで2回観たんだ。KISSはずっと好きなバンドだから、とても良かったよ。

──では、ミッドナイト・シティは東京でのショウを楽しみましょう。

ライアン・ブリッグス:OK、僕は日本に初めて来たんだけど、夢が叶ったよ。

マイルス・ミーキン:日本は本当に人も国も美しくて、世界で一番のファンもいる。ドウモアリガトウ。

ジョシュ・ウィリアムズ:みんなと同じ気持ちだよ、本当にありがとう。

ショーン・シャーベット:ミッドナイト・シティは日本を愛しているよ。

ロブ・ワイルド:今回も本当にありがとう。また戻ってくるからね。



取材・文◎Sweeet Rock / Aki
写真◎Kaoriko"ossie"Hanawa

<Midnite City ~JAPAN TOUR 2023 ~>

2023年12月2日@代官山Space Odd
1.Ready to Go
2.Atomic
3.Girls Gone Wild
4.Someday
5.Hardest Heart to Break
6.One Step Away
~Drums Solo~
7.Good Time Music
~Bass Solo~
8.Summer of Our Lives
9.You Don't Understand Me
10.Like There's No Tomorrow
11.Sonikku to Nakkuru
12.Raise the Dead
13.They Only Come Out at Night
14.Heaven's Falling
15.Girls of Tokyo
16.Can't Wait for the Nights
17.Give Me Love
~Encore~
18.We Belong
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