【インタビュー 前編】シンガーズハイ、セルフタイトルの1stフルアルバムに誇り「集大成だったり、始まり」

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2023年で飛躍を遂げたロックバンドを挙げる時、シンガーズハイの名前を外すわけにはいかない。バンドの名を一躍広めた「ノールス」のブレイクのあとを「Kid」のヒットが追いかけ、膨大なライブの場数を踏みながらEP『DOG』を世に放ち、ついに届けられた1stフルアルバム『SINGER'S HIGH』。

◆シンガーズハイ 動画 / 画像

耳なじみの配信曲をずらりと揃え、初期の楽曲はこだわりの再録音を行い、新曲も詰め込んだ渾身の全12曲。「これがシンガーズハイだ」と胸を張る自信作について、内山ショート(G, Vo)、ほりたいが(G)、みつ(B)、りゅーいち(Dr)に語ってもらったインタビュー前編をお届けしたい。


   ◆   ◆   ◆

■俺、まだ行けるなという面白さが
■1曲作るごとにあったりしました


──2023年はライブが多かったですよね。過去3年間で一番多いんじゃないですか。

みつ:ライブも多かったし、自主企画が多かったですね。次のツアーが、自主企画の5本目なんですよ。1月、3月、5月、8月、そして12月。

ほり:(スケジュールを見ながら)何これ(笑)。

──それは、やらされてるわけじゃなくて、自分たちがやりたいからで。

みつ:はい。もちろん。

内山:僕ら、現場の叩き上げバンドなので。

みつ:5本やりたいというよりは、自分たちがやりたいことを追求したら、やらざるを得なくなったという感じですね。


▲内山ショート(G, Vo)

──ちなみに、2023年で一番印象的だったライブというと?

みつ:やっぱり<VIVA LA ROCK>ですね。規模感的にはもっと大きいライブもあったんですけど、何て言うか、あんなにライブ後に4人同時に「ウォー!」ってなったことはあんまりなくて。

りゅーいち:達成感がすごかった。

内山:フロアを含めて、ステージも熱がすごくこもっていましたね。ほかのフェスでも、人がいっぱい集まってワーって盛り上がることはあるんですけど、<VIVA LA ROCK>のお客さんの熱はその比じゃなかった気がしていて。ELLEGARDENのTシャツを着たお客さんが、後ろのほうで飛び回っていたり。

みつ:時期的に<HANGOVER tour>(2023年5月開催の東名阪クアトロワンマンツアー)をやる直前だったんですけど、ちょうどお客さんの声出しが解禁になったタイミングで、初めてそういうものを生で感じたので、それもあってもう全員嬉しくて。

ほり:こっちが一方的に熱いんじゃなくて、向こうもレスポンスがちゃんとあって、一体感があったので。

内山:空回ってなかった(笑)。

──確かに、ずっとコロナ禍だったから、お客さんの歓声をようやく体感できたという。

りゅーいち:レスポンスがある/ないで、こんなにも違うんだ!?と思いました。


▲ほりたいが(G)

──そうやってライブを積み重ねて、リリースも好調で、2023年は本当に、シンガーズハイの存在が一気に広まった年だったと思います。その集大成と言っていいのか、ついに完成した1stフルアルバム。めちゃくちゃ良かったです。

全員:ありがとうございます。

──近年のシングル曲に加えて、これからのビジョンを見せる新曲もたくさん入って、まさにセルフタイトルにふさわしい内容だと思います。これはけっこう、長い時間をかけて作っていたということですか。

内山:ここ1年ぐらいはずっと、時間があったらそのことを考えて、という生活でした。ただ、今まで作ってきた曲の数がたぶん少ないほうだと思うんですよね、年の割りには。だから未だに伸びしろを感じているというか、“俺、まだ行けるな”という面白さが、1曲作るごとにあったりしました。

──前作のEPまでは、内山さんが前バンドの時に作った曲のストックも入れていましたけど、今回はそれはない?

内山:そうですね。このフルアルバムに関しては、この4人で演奏することを前提に作った曲しか入れないと決めていたので、やっとシンガーズハイという形がちゃんと出来上がったんじゃないかな?と思います。


──集大成であると同時に始まりでもある、という言い方が正しいような気がします。じゃあ全員に聞きましょう。フルアルバムが出来上がった感想と手応えについて。

りゅーいち:めちゃくちゃいいアルバム。全部の盤が出た時に言ってるんですけど、内山くんが作る曲の振り幅が大きくて、何回聴いても飽きないし、アルバムの曲順のまま全部聴いていってほしいなと思います。聴いて楽しんでほしい、とにかく。

──ドラム、いい音で録れてますよね。特に新曲はすごく生々しくてタイトで。

りゅーいち:合宿に行ったんですよ。伊豆のスタジオを借りて、広くていい環境でやったということもあると思います。

──それはいつ頃?

りゅーいち:8月の終わりです。

内山:ワンマンツアーのファイナルが終わった1週間後くらいに、3日間ほど行ってきました。ガチガチのスケジュールで、遊ぶ暇もなかったです。せっかくの伊豆なのに。

りゅーいち:「バーベキューやるか」とか最初は言ってたけど、「そんな暇ねぇや」みたいな。

みつ:買った花火も一回も使わず。

内山:晩御飯食って、「やーお腹いっぱいだ、じゃあギター録るか」みたいな。3日間で5曲録りました。

ほり:おっしゃっていただいたように、集大成だったり、始まりっていうものを、わかりやすく感じられるアルバムなのかなと思うんですけど。ギターの話で言うと、今まで通りに内山くんからの指示があって、一回自分がやったものを、内山くんと二人で推敲していくことを変わらずにやっていて、ギターがより良くなったアルバムかなと思います。たとえば「SHE」という曲は、録る直前までギターソロについて二人で色々考えたので、期間は短かったですけど、その短い期間でじっくり作ることができたなという感じです。


──内山くん、「ギターはほりくんに丸投げ」と以前に言ってましたけど、そこをもっと突き詰めるようになりましたか。

内山:だんだんと、練ることが増えてきたかもしれないです。もともと「言わなくてもわかるよね」みたいな共通認識ではあったんですけど、そこをもっと綿密に練っていって、細かく指定して、お互いのエゴをどういうふうに出すか?とか。

ほり:譲り合いもあって(笑)。

みつ:シンガーズハイはあんまり目標を設定してないというか、今に必死なバンドだというのは常に言っていて、どのハコ(会場)でやりたいとか、どこを目指そうとか、特になかったんですけど。1stフルアルバムに関しては、結成した頃からずっと目標の一つだったというか…何て言えばいいのかな。

ほり:目標というか、通過点というか、活動の過程に絶対来るだろうなと。

みつ:その時からずっと、 最初に出すフルアルバムのタイトルは『SINGER'S HIGH』にしようという話もしていて、そのタイミングがやっと来たなという感じです。

内山:とりあえず、一つのゴールまでは行ったよね。

──現時点では、やることはやり切った。

みつ:はい。一瞬だけ、ですけどね。

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