【インタビュー】池内ヨシカツ、作曲家としての新しい可能性を感じる多彩な作品の数々

ポスト

池内ヨシカツ、作曲家。エレクトロミュージックを軸に、映画音楽やCM音楽などを幅広く手掛ける売れっ子でありながら、J-POPにも接近した歌ものポップスでも脚光を浴びている期待のアーティスト。最新作はスマホ充電サービス「ChargeSPOT」とタイアップした3曲連続配信で、3人のボーカリストをフィーチャーした楽曲がそれぞれ好評リリース中だ。その3曲、大野雄大(Da-iCE)が歌う「さあ」、川畑要(CHEMISTRY)が歌う「RENDEZVOUS」、竹中雄大(Nobelbright)が歌う「Lonely」について、そして自身の過去のキャリア、音楽性、これからの展望について。池内ヨシカツとは一体どんなアーティストなのか、注目のBARKS初登場インタビュー。

■作っている人がいて、ボーカリストが参加して
■という形を浸透できたら嬉しいなと思っています


――池内さんといえば、作曲家として作品を発表するのと同時に、映画音楽やドラマの音楽、CMソングも幅広く手掛けていて、自身のYouTubeチャンネルではトーク番組っぽいノリでしゃべりも面白かったり、あとは出身地である京都府の文化観光大使にこの夏から就任したり、ちょっと数えるだけでもこれだけいろいろやられていますよね。もともと、いろんな活動をしたいということを考えていたわけですか。

池内ヨシカツ(以下、池内):面白そうなことはなんでも、声をかけてもらえるうちはやっていこうかなという感じですね。もともと、作曲家とは違う動きもしていった方が面白いかな?というのは、自分の中で思っているところがあって、今回のようにアーティストとのコラボは、海外圏ではそういう動きが多いと思うんですけど、日本でもいろんなJ-POPの方々に僕が作詞作曲した曲に参加していただいて、コラボ曲ということは今後もやっていきたいなと思っています。ただそこの浸透率というか、それが日本ではすごく低いので、どういう形でやっていくのがいいのかな?ということはすごく考えます。作曲家としてコラボしてるんですと言ったら、「歌ってるの?」と言われたりするところがまだあるので、新しいやり方として、作っている人がいて、ボーカリストが参加して、という形を浸透できたら嬉しいなと思っているので、もっと頑張りたいなと思っています。

――今回の3曲はどれも本当にクオリティが高くて、しかも歌い手を選ぶ曲というか、めちゃくちゃ上手い人じゃないと無理だなという印象があって。

池内:けっこう難しい曲が多いですよね。

――曲も歌い手も共に超ハイレベルという、これはそもそも、どんなふうに始まったものですか。

池内:基本的には普段から遊んでいるメンバーというか、お世話になっている先輩の方も含めて、「この人なら歌えそうだな」ということも頭に置きつつ、単純に僕が作詞作曲したものを歌ってくださいというのも面白くないので。みなさんの独自の視点というか、大きく活躍されてる方って、音楽観だけじゃなくて、売れるためにどういう風にどうしたかとか、ある種マーケティング的なことに詳しい人が多いので、「こういう歌詞で、こういうやり方で」みたいな意見をいただきながら、一緒に作っていった感じですね。

――そこまでがっつりコラボをしている。

池内:そうですね。何度もうちのスタジオに来ていただいて、ああでもないこうでもないと話し合いながら。

――たとえば大野雄大(Da-iCE)さんが歌った「さあ」という曲。メロディの展開がとんでもなく技巧的で、それを完璧に歌っていて、これはすごいなと。

池内:でもね、けろっとしてましたよ。曲を作った時も、これムズいなとか一切なく、「あ、この曲いいね」みたいな感じで言ってましたね。


▲大野雄大(Da-iCE)

――さすがです。「RENDEZVOUS」を歌った川畑要(ケミストリー)さんもすごいですけどね。別の意味で。

池内:川畑さんは「シティポップっぽいものが歌いたい」ということだったので、じゃあこういうテイストはどうですか?というものを、一緒にブラッシュアップしていって作っていきました。


▲川畑要(CHEMISTRY)

――リファレンス(参考曲)はありましたか。

池内:リファレンスはなかったんですけど、あんまり声を張りたくないとはおっしゃってて、「ケミの時にそういうのをやりすぎてるから、ゆるく歌える曲がいい」ということでしたね。

――「RENDEZVOUS」は、歌詞の世界もシティポップっぽいですよね。

池内:ちょっと、ナイトドライブな感じで。

――そこもぜひ聞きたかったんですけど、今回は3曲とも作詞をされていますよね。以前から、作詞もされていましたっけ。

池内:いや、してないです。作詞は本当に適当というか、思ったことを、この曲の雰囲気と合いそうだなって、当てはめていく感じですね。もともとそういうことが好きではあったんですけど、僕自身が今までは、歌い手さんに提供しているタイプの作曲家ではなかったので。今回は、自分の曲を自分の好きなように作らせてもらって、歌ってもらえたら嬉しいなというところで、作っていきました。


▲「さあ」「Lonely」「Rendezvous」の楽曲はスマホ充電レンタルの「ChargeSPOT」とコラボした楽曲。ChargeSPOTとは日本全国47都道府県の駅、空港、コンビニなどに展開している持ち運び可能なスマホ充電器のシェアリングサービス。

――まさに70年代、80年代のシティポップの都会的でアダルトな、映像的なイメージが浮かぶ歌詞だと思います。たとえばその頃の時代の曲で、好きで聴いていたアーティストはいたりしますか。

池内:全然ジャンルは違うんですけど、父親が矢沢永吉さんが大好きで、よく聴いていましたね。

――メロディにはちょっと、松任谷由実っぽさも感じたりしました。

池内:あ、本当ですか。もちろん好きです。ただ日本のポップスは、たぶんそこまで詳しくないかもしれないです。

――そもそも池内さんは、2014~15年頃には、ばりばりのEDMの人だと思われていましたよね。

池内:そうですね、きっかけがそれだったんで、その色が強すぎちゃった気はします。


――そのあたりもうかがっていいですか。EDMやダンスミュージックから、徐々に歌ものへと移行してきた流れについて。

池内:これまで作ってきたダンスミュージックのエッセンスも残しながら歌ものを作ったという感じです。今回の3曲はEDMでいうDROPのような箇所を作っているので、サウンドを楽しむポイントは残しながら楽曲を構成していきました。映画音楽のような世界観や登場人物の心情がより色鮮やかに感じる曲を作っていけたらいいなあと思ってます。

――たぶん、サブスクで聴ける限りの曲は全部聴かせてもらったと思うんですけど、『signal-EP』というEPがありましたよね。全曲ばりばりのEDMスタイルの。

池内:当時はあの系統のサウンドが大好きでよく作ってました。自身のインストももちろんこれから出していこうと思うんですけど、ちょっとテイストを変えていきたいなとは思っています。

◆インタビュー(2)へ
この記事をポスト

この記事の関連情報