【コラム】SixTONESは映像作品も規格外。YOSHIKI、常田大希と共演した<慣声の法則 in DOME>の特別な5曲
“歓声が消えた時代だからこそ、いつの日にかまた熱い声を聴きたい、届けたい”という思いが詰まったSixTONESの3rdフルアルバム『声』。同作を引っ提げて今年1月から4月に掛けて開催されたのが全国ツアー<慣声の法則>である。
“物体は外部から別の力を受けない限りその状態を維持し続ける”という意味を持つ“慣性の法則”になぞらえてつけられた同ツアータイトルには、“SixTONESはファンの声の力が作用することで進むことができる”という意味も込められている。全国6ヶ所のアリーナを回った後、追加公演として<慣声の法則 in DOME>と銘打ち、京セラドーム大阪2daysと東京ドーム3daysを開催。計全国8ヶ所31公演、延べ52万人以上を動員した。この<慣声の法則 in DOME>の全5公演は、セットリストで異なる箇所が2点ある。ひとつは東京ドーム千秋楽にWアンコールが用意されたこと、もうひとつは16曲目に披露された楽曲が5日間すべてで違うということ。16曲目とは、東京ドーム初日にYOSHIKI(X JAPAN/THE LAST ROCKSTARS)が、東京ドーム千秋楽に常田大希(King Gnu/millennium parade)がサプライズゲストとして登場した枠だ。
11月1日にリリースされるライブBlu-ray&DVD『慣声の法則 in DOME』は東京ドーム千秋楽を本編に据えながら、初回盤と通常盤の両方にYOSHIKIとのコラボレーションステージを、そして通常盤に“日替わり曲”である京セラドーム初日の「セピア」と2日目の「Takes Two」、東京ドーム2日目の「Hello」のパフォーマンス映像を収録している。今回のコラムでは、この5日間でその日しか観られなかった、特別な5曲のパフォーマンスにフォーカスしたい。
まずはサプライズゲストとのコラボレーションステージについて。東京ドームの初日に出演したYOSHIKIは、SixTONESのデビュー曲「Imitation Rain」の作詞作曲編曲を手掛けており、田中樹と森本慎太郎がパーソナリティーを務めた2022年5月放送のラジオ番組『SixTONESのオールナイトニッポン サタデースペシャル』にゲスト出演した際に、SixTONESが東京ドームで単独ライブを行うときは共演することを約束していた。6人が初めて単独公演で東京ドームに立った日にYOSHIKIは日本へと駆けつけ、その約束を実現させたのだ。6人のMCの最中に暗転し、ピアノで「ENDLESS RAIN」を奏でながらせり上がりで現れるという華やかな登場に、客席から大きな歓声が沸いた。
森本がX JAPANのヒット曲になぞらえて“ペンライトを「紅」に染めてくれたらうれしい”と客席に呼び掛けると、YOSHIKIがそれに乗じてアドリブで「紅」をピアノで奏で始め、さらには京本大我がアカペラで歌い始めるという一連の流れで会場を熱くさせると、「Imitation Rain」のコラボパフォーマンスへ。6人は、YOSHIKIのピアノの周りを囲みYOSHIKIにあたたかい眼差しを向けながら、憂いのある伸びやかなメロディに歌を乗せる。間奏でYOSHIKIが見せた迫力のドラムプレイには、全身で高揚を表現した。そして、その様子に触発されるようにYOSHIKIのドラムもさらに熱を帯びていき、最後のセクションでは歌とピアノがさらに一体となりエモーショナルな空間を作り上げた。
常田大希の登場も粋なものだった。SixTONESの面々が「マスカラ」のクールで陰のある色気のあるボーカルと、ギタープレイを模したアクションを交えたダンスで会場を魅了し、歌唱しながら花道を伝いメインステージへと戻った先に、ギターを構えた常田が待ち構えていた。髙地優吾はのちのMCで“(メインステージに常田が待っていると思うと)膝ガクガクしてきちゃって”と会場を笑わせていたが、この後に常田と合流すると想定しながら映像を観ると、どこか6人の表情もいつもとは違う興奮を抱えているように見えてくるのは気のせいだろうか。
常田と合流した6人は、彼のスケールの大きなギターソロに突き動かされるように、弾けんばかりの満面の笑みで衝動的に身体を振り動かす。YOSHIKIの時も然り、彼らは共演する相手と“チームを組む”という意識が非常に強いことがステージからもうかがえる。センチメンタルな表現も得意とする一方で、人懐っこさを持ち合わせているのはグループにおいて大きな強みだ。そしてそれも、6人の音楽への愛情と本気度、音楽家へのリスペクトと表現者としての矜持がもたらすものだろう。常田が登場してからの6人のパフォーマンスは、解き放たれたかのようにそれぞれの美学に忠実で、非常に潔い。中でも、終盤でのジェシーのフェイクやコールと常田のギターの交錯はスリリングかつ痛快だった。
京セラドーム初日の「セピア」と2日目の「Takes Two」、東京ドーム2日目の「Hello」の3曲は、音楽ジャンルはポップスやクラブミュージックなど異なれども、ソフトなオケという共通点を持っているため、メンバーが自然体で歌う姿がよく映える。6人それぞれの歌声はもちろん、佇まいや表情がフォーカスされるのも特徴的だ。松村北斗のマイクを扱う動きや目線からは、楽曲の物語がダイレクトに届くいてくるような余韻を感じさせるなど、それぞれのスタイルで楽曲と真摯に向き合っている。前述したように、サプライズゲストとテンションの高いステージで会場を興奮に巻き込んだ彼らだが、この3曲では内省的なムードで5万人の観客を引き込んだように思う。
わずか5曲のパフォーマンスでも、彼らが楽曲とその場の空気感によって異なる表情を魅せていることが見て取れるだろう。今作はそれだけでも満足度は高いが、たとえば本編映像を観ながら“もし「マスカラ」の部分に「セピア」が入ったら…”と想像してみると、京セラドーム1日目の空気も感じられるかもしれない。特典映像があることで、ドーム公演5日間を垣間見られるというのも、非常に贅沢な経験だ。
さらに初回盤には1月7日の横浜アリーナ夜公演全編が、通常盤には“日替わり曲”3曲とツアードキュメントが収録されており、両形態を揃えるとドーム公演だけでなくアリーナや舞台裏までも観ることができる。改造ジープを作り髙地の運転でエリアを周るなど、こちらの予想を優に超えてくる豪快な仕掛けがライブに多数盛り込まれるだけでなく、その映像作品までもが規格外なSixTONES。彼らの型破りな遊び心や表現者としてのポリシーは、今後も我々を驚喜の渦へといざなっていくだろう。
文◎沖さやこ
◆ ◆ ◆
ライブBlu-ray&DVD『慣声の法則 in DOME』
【初回盤】
※DVD・Blu-ray共にパッケージデザインは共通となります
DVD:SEBJ-13〜15
Blu-ray:SEXJ-13〜14
3DVD・2Blu-ray
¥8,800(税込)
■三方背、デジパック仕様
■48P・24Pフォトブック付
<DVD>DISC1、2/<Blu-ray>DISC1:
・慣声の法則 in DOME 2023.04.23 TOKYO DOME
Overture -VOICE-
Amazing!!!!!!
NAVIGATOR
シアター
Waves Crash
IN THE STORM
Boom-Pow-Wow!
Risky
Dance All Night
OPA! (Shintaro Morimoto×Juri Tanaka)
ふたり
オンガク -声ver.-
人人人
Drive
ABARERO
マスカラ w/ 常田大希 (King Gnu/millennium parade)
愛という名のベール (Jesse×Hokuto Matsumura)
STAMP IT
Cat Call
Mr.ズドン
ラ・ラ・ラ・ラブストーリー (Taiga Kyomoto×Yugo Kochi)
S.I.X
Bella
Special Order
フィギュア
Telephone
RAM-PAM-PAM
WHIP THAT
Outrageous
Again
<EC>
PARTY PEOPLE
Good Luck!
この星のHIKARI
彗星の空
<WEC>
JAPONICA STYLE
・Imitation Rain w/ YOSHIKI (X JAPAN/THE LAST ROCKSTARS) (from 慣声の法則 in DOME 2023.04.21 TOKYO DOME)
<DVD>DISC3/<Blu-ray>Disc2:
・ 慣声の法則 2023.01.07 YOKOHAMA ARENA
【通常盤】
※DVD・Blu-ray共にパッケージデザインは共通となります
DVD:SEBJ-16〜18
Blu-ray:SEXJ-15〜16
3DVD・2Blu-ray
¥7,150(税込)
■8Pリーフレット付
<DVD>DISC1、2/<Blu-ray>DISC1:
・慣声の法則 in DOME 2023.04.23 TOKYO DOME
・Imitation Rain w/ YOSHIKI (X JAPAN/THE LAST ROCKSTARS) (from 慣声の法則 in DOME 2023.04.21 TOKYO DOME)
(収録内容は初回盤と同じです)
<DVD>DISC3/<Blu-ray>Disc2:
・ セピア (from 慣声の法則 in DOME 2023.04.15 KYOCERA DOME OSAKA)
・ Takes Two (from 慣声の法則 in DOME 2023.04.16 KYOCERA DOME OSAKA)
・ Hello (from 慣声の法則 in DOME 2023.04.22 TOKYO DOME)
・ DOCUMENT "慣声の法則" from ARENA to DOME
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