【インタビュー前編】Maki、3rdミニアルバム『Toy box』は信念を貫いた意欲作「やさしさみたいなところがけっこう出てる」
■ずっと同じことを考えながら生きているからなのかな
■自然と統一感のある歌詞になった
──じゃあ、今回、1曲目のインストナンバー「Opening」含め8曲の中には、「boys&girls」よりも以前にできた曲もあるんですか?
佳大:「pulse」が同時期ぐらいで。
まっち:「Toy box」はそのちょっと後で。
──作りながら配信リリースする曲もあったし、取っておこうっていう曲もあったしってことだったんですね。今回、『Toy box』を聴きながら、短い期間の間に、いっぺんに作った曲を集めたのかなと思ったんですよ。曲調は曲ごとにいろいろ違うんですけど、歌詞のテーマが曲ごとに散らばってなくて、統一感があると言うか、ある時期の山本さんの思いが集約されているという印象があったんですけど、そうじゃないんですね?
山本:そうですね。そういう印象があるのは、ずっと同じことを考えながら生きているからなのかな。今もそうなんですけど、曲を作っていた当時、《夢》という言葉には幾つも意味があるけど、それをどう解釈するか考えていたんですよ。だから、「Toy box」「揺れる」、『Toy Box』には入ってないんですけど、「Landmark」の歌詞には《夢》という言葉が入っているんです。自分の中で、この3曲は夢3部作だと思っているんですけど、「Landmark」「揺れる」では、自分が叶えたいと思っている夢、「Toy box」ではシンプルに眠っている時に見る夢について描いているんです。そんなふうに夢について、どう思っているか考えていたりとか、「pulse」の歌詞を書いた時はコロナ禍の最中で、ライブができなかった時期だったから、歌を唄うことやバンドをやることはどういうことなのか考えていたりとか。それで自然と統一感のある歌詞になったのかなとは思います。自己分析ではありますけど。
──今回、歌詞の中に同じモチーフが散りばめられていて。今、おっしゃっていただいた《夢》もそうなんですけど、その他、《風》《歌う》《飛ぶ》《揺れる》《比べる》といった同じモチーフが繰り返されることで一本筋の通った作品になっているという印象もありました。今回、曲の良さももちろんと言うか、曲の良さと相まってこそだと思うんですけど、これまで以上に歌詞がぐっと来まして。
山本:うわ、うれしい。
▲山本響(Vo, B)
──包み隠さずに生々しい気持ちを曝け出しているところにぐっと来たんですけど、聴きながら、この2年、どんな気持ちでバンドをやっていたんだろうと想像したら、せつない気持ちになってしまって。
山本:ははは。ほんとですか。ありがとうございます。
──「揺れる」を聴いていると、バンドをやることがつらい、いや、バンドをやることがつらいんじゃなくて、バンドをやっている自分達を取り囲む状況に対して、しゃくぜんとしないところもあったんじゃないかと想像したのですが。
山本:めっちゃ思ってました。今まではかっこつけていたんですよ。バンドってかっこよくなきゃみたいに思っていた時期があって、日頃の考え方も含め、今まではステージに上がる自分っていうのを作っていたんですけ。でも、そうじゃなくて、素の自分がかっこいい人間になれば、そんなことをする必要はないと考えが変わってきて、そこから、世の中にいるバンドに対して、「あれはかっこいい」「あれはダサい」と評価することとか、「俺らはさっき出てたバンドよりもかっこいいライブをします」という揚げ足取りみたいなこととか、そういうことを目の当たりにしている中で、みんな、自分が作りたい曲を作って、自分がかっこいいと思っているものをやってるんだから、それって絶対比べられないものじゃんって思ったんです。「揺れる」って曲には、それが色濃く出ている気がしますね。
──「ホームタウン」では、《あなたが泣いて生きるのなら あなたが壊れてしまうのなら 世界に壊されてしまうのなら》と歌っています。《世界に壊されてしまうのなら》なんて思うこともあったのでしょうか?
山本:ちょこっとありました。でも、一番感じたのは、上京していった友達を含め、周りにいる人達のことでしたね。いろいろなところで、きつくなってしまう人達が世の中にはいるんだなって思ったんですよ。俺がその立場だったら、どんな言葉をかけてもらいたいかなっていろいろ思い返している時に、うちのおじいちゃん、おばあちゃん、おとん、おかんが言ってくれた、「ホームタウン」で言ったら最後の2行ですね。その言葉が一番安心したなって思い出して、「ホームタウン」はその2行に行くための歌詞を書いたんです。
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