【インタビュー】トミー・ゲレロ、「前回のツアーとはまったく違う内容で、もっとムード感があって空間的なサウンドになる」
2023年6月、久々の日本来日全国ツアーが大好評だったトミー・ゲレロが<DOS SOMBRAS JAPAN TOUR 2023>をジョッシュ・リッピとのデュオでツアーを敢行、10月15日新潟からスタートし、札幌、旭川、東京、松本、朝霧JAMに出演する。11月にはニューアルバム『Amber of Memory』のリリースも決まっている彼に話を聞いた。
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■このクレイジーな世の中に
■この作品を通して少しでも癒しを与えたかった
──6月のジャパンツアーはどうでしたか?
トミー・ゲレロ(以下、T)ツアーは素晴らしかったけど、短すぎたよ。2週間しか滞在できなったから、残念ながらいくつかのライヴをカットしなければいけなかった。だから、また10月に訪日するんだ。
──6月のジャパンツアーで特にインスパイアされたことはありますか?
T オーディエンス全員だよ。観客はみんなエキサイトしてくれたし、反応がすごく良かった。日本に行ったのはおそらく4年ぶりだよ。
──新しい都市に訪れたかと思いますが、特に印象に残った場所は?
T ああ、いくつか初めての街に行ったよ。 岐阜が特に素晴らしかった。オーディエンスがとにかく良かったね。岐阜に行けて嬉しかったよ。
──新作『Amber of Memory』は『New World Hustle』よりも落ち着いていてアンビエントなサウンドですが、違う時期に録音したんですか?
T ああ。『Amber of Memory』は 2020年半ばから2021年初めの間に録音した。6か月くらいかかったよ。
──『Amber of Memory』のコンセプト、タイトルの意味は?
T 写真はタイムカプセルのようなもので、静止したメモリーなんだ。まるでアンバー(琥珀)の中に閉じ込められた古代の昆虫のようだ。俺はこのアルバムを通して、少しでも世の中の醜い部分を美しさで覆い隠したかった。パンデミックは多くの人の人生を大きく変えてしまった。俺はこのクレイジーな世の中に、この作品を通して少しでも癒しを与えたかったんだ。
──このアルバムの録音中に影響を受けた音楽は何ですか?
T 特定のものはないけど、自分が若かった80年代のころに聴いていた音楽をまた聴き直してる。ザ・キュア、ジョイ・ディヴィジョン、ニューオーダーとかね。
──このアルバムでは、バリトン・ギターを使用したと聞いていますが、この楽器について教えてもらえますか?
T 通常のギターとベースの間の音域の楽器なんだ。普通のギターよりも低いチューニングだから、低音が効いてるんだよ。ある意味、オーケストラのチェロの役割と似ているかもしれない。 おそらくヴィオラとダブルベース(アップライトベース)の間に位置しているんだ。
──バリトン・ギターに興味を持ったきっかけは?
T 何十年も前からバリトン・ギターのサウンドが大好きだったんだ。多くのサーフバンドやザ・キュアもバリトン・ギターを使っていて、そこから興味を持つようになったかもしれない。 俺の一番お気に入りのバリトン・ギターはDanelectroだよ。Fenderテレキャスターのバリトン・ギターも持っているんだ。
■このアルバム全体が、
■今の時代に対する解毒剤のような存在
──今回のレコーディング、楽器の演奏も、すべてひとりで行ったのでしょうか?
T いつものように、すべて自分で録音したよ。レコーディングはほかの作品と同様、自宅のスタジオで行った。
──曲作りのプロセスは?
T 俺は、いわゆる「作曲」ということはやらないんだ。まずは納得いくグルーヴが見つかるまでドラムを即興的に作り込む。その後に、ほかの楽器の音も即興演奏しながら重ねていく。最終的には、必要のない要素をそぎ落としていって、空間やダイナミックスをクリエイトしていくんだ。
──ジャケのアートワークは誰が手がけたのでしょうか?
T 『Road to Knowhere』のアートワークを手がけたネサニエル・ラッセルだよ。
──各曲について解説していただけますか?
T ほとんどの曲は、そのときに自分が熟考していたことや、そのときのムードを表現している。それぞれの曲に特定の意味が込められているわけじゃない。リスナーのフィーリングで聴いてほしいんだ。このアルバム全体が、今の時代に対する解毒剤のような存在。Covidのロックダウンはほとんどの人にとって困難な時代だったからね。
──リスナーには、このアルバムからどんな感情になっての強いと思いますか? また、どこで聴いてほしいですか?
T リスナーには自由に聴いてもらって、どんな感情が湧きあがってもいいと思う。いつ聴いてもいい作品だけど、ロードリップに向いているかもね。
──新しいソロ作品は制作していますか?
T 常にレコーディングはしているよ。実は、次の作品の曲はだいたい完成しているけど、どういう作品になるかはまだわからない。
──ジョシュ・リッピとのユニット、ロス・デイズの新作は作っていますか?
T 実はロス・デイズの次のアルバムはすでに完成していて、ミックスが終わったところなんだ。これからマスタリングする。来年の春にリリース予定だよ。
──今後のツアーの予定は?
T 日本で10月にツアーするけど、その前にこっちで何箇所かライヴが予定されてる。あとは1月にツアーするかもしれない。
──10月のジャパンツアーは、6月のジャパンツアーとは内容は違うのでしょうか? なぜ<Dos Sambras Tour>と名付けられたのでしょうか?
T 6月のツアーとはまったく違う内容になるよ。次は俺とジョシュ・リッピのデュオでツアーするんだけど、もっとムード感があって、空間的なサウンドになると思う。生ドラムは使わないから、ロックよりではないサウンドになる。ドラマーはいないから、ドラム・マシン、サンプルなどを使う。あとは生ギター、ベース、バリトン・ギター、パーカション、キーボードも取り入れる予定。直線的なグルーヴ、ミニマルでメロウなサウンドになるよ。たまにダークで哀愁感のある世界観にもなると思うし、盛り上げることもある。さまざまな感情を喚起するライヴになると思うよ。かっこいい映像もライヴに取り入れようと思っている。「Dos Sambras」というのは、「二つの影」という意味なんだ。ロス・デイズの曲を演奏するわけじゃなくて、俺の楽曲をジョシュと一緒に再解釈して演奏する。「Amber of Memory」の曲も、1〜2曲演奏するかもしれない。
──ツアーに来るファンにメッセージをお願いします。
T ぜひ遊びに来てほしいよ!
──『Amber of Memory』を聴くリスナーにもメッセージをお願いします。
T 俺の通常のファンク、サーフ、ソウルっぽいサウンドの作品とは違うけど、確実にトミー・ゲレロのサウンドだと分かる作品なので、ぜひそれを感じながら聴いてみてほしいね。
インタビュー・翻訳: バルーチャ・ハシム廣太郎
photo by claudine gossett
『Amber of Memory』
TOO GOOD/RUSH PRODUCTION/OCTAVE-LAB
OTLCD2640 ¥2,400 + 税
アートワーク:ネサニエル・ラッセル
ライナーノーツ:バルーチャ・ハシム廣太郎
■TRACKLIST
1. Directions of Possibility
2. Holding the Ocean
3. Gravity of Solitude
4. Floating in Shadows
5. Reflections of Now
6. The Pilots Vessel
7. The Days Before
8. As We Break the Victor
9. Vistas
10. Under the Pink Light
11. Through the Mosaic
12. Amber of Memory
<TOMMY GUERRERO “DOS SOMBRAS” JAPAN TOUR 2023 WITH JOSH LIPPI >
https://instagram.com/gatafornia?igshid=MzRlODBiNWFlZA==
10月17日(火) PRECIOUS HALL @ 札幌
https://instagram.com/precioushall_sapporo?igshid=MzRlODBiNWFlZA==
https://instagram.com/provo_sapporo?igshid=MzRlODBiNWFlZA==
10月18日(水) CASINO DRIVE @旭川
https://instagram.com/casino_drive.info?igshid=MzRlODBiNWFlZA==
10月19日(木) DUO MUSIC EXCHANGE @東京
https://www.instagram.com/dmxweb.jp/s
http://www.duomusicexchange.com/index.html
10月20日(金) GNU @松本
https://instagram.com/gnu_molehall?igshid=MzRlODBiNWFlZA==
https://instagram.com/canolaskateshop?igshid=MzRlODBiNWFlZA==
10月22日(日) ASAGIRI JAM @静岡
https://www.instagram.com/asagirijam/?hl=ja
https://asagirijam.jp/
◆トミー・ゲレロ オフィシャルサイト
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