【インタビュー】パーカーズ、2ndミニアルバムに自慢のハッピーでポップが全開「時は過ぎるものじゃなくて過ごすもの」

■いろんなジャンルのポップが入っていて
■ポップで満腹になっちゃうぞって感じ

──でも「中華で満腹」はライブでお客さんに叫んでもらったら楽しいかも。最近ようやくコロナ規制も解けてきて、ライブ本来の楽しみ方が戻ってきたから、こういう楽しい曲を作りたくなったのかなとか思ったりもします。

ねたろ：確かに、潜在的にあるのかも。

豊田：バンドを始めて2年経ちますけど、曲を作る時にお客さんの顔が浮かぶというか、“ここでクラップほしいよな”とか、ライブの目線で作ってるかなって確かに思いますね。

フカツ：ライブでお客さんが何かやれるギミックは、どの曲にも一回ずつは入ってる気がする。ねたろが作った「Love is over」も、“イェイ！”“フー！”とか言ってますし。

豊田：みんなで歌いたいですね。

フカツ：「Love is over」は、実は一番昔からある曲じゃない？ ライブで披露してはいなかったんですけど、原案はずっとあって、温めていて。

豊田：とうとう入れられたね。そういう感じで、まだ出せてない曲もあったりするので、今後も楽しみです。



──「Love is over」って、タイトルのイメージからバラードかな？と思いきや、ハツラツとしたポップチューンで、アルバムのラストを軽快に締めくくってくれます。この曲はどんなふうに？

ねたろ：“好きすぎて困っちゃう”というか、ちょっと病んじゃってる感じです。その時、友達から恋愛相談を受けていて、人によりけりだけど、“そんなに好きすぎるのって素敵だな”と俺は思っちゃって、それを歌にしてみました。

──アルバムの後半は「こころなし」「月に恋する」とか、エモい曲が続くのもいい感じ。「月に恋する」については？

フカツ：この曲を豊田が出してきた時、ナオキが「今まで聴いてきた曲の中で一番いい」って言ってました。「この曲は俺が神ギターを弾く」と言って、本当に神ギターを弾いてくださいました。

ナオキ：「月に恋する」って、夏目漱石だっけ？

──夏目漱石が“I LOVE YOU”を“月がきれいですね”と訳したというエピソードですね。

豊田：そう。「月がきれいですね」っていう言葉を知っていたので。それをもじって、「月に恋する」というワードはめっちゃ強いなと思って、最初にタイトルを決めて恋愛の曲を作ってみました。物語を思い浮かべながら作ったので、楽しかったですね。

──古典的で、和風な感じもして、とてもいい曲。あらためて全体を見て、今回の『描く未来に祝福を』はどんなアルバムになったと思いますか。

ねたろ：最初に「BERRY」と「中華で満腹」から入って、“ポップな曲なんだ？”と思わせてから「一生をかけて愛してあげてほしい」というツービートの曲が出てきて。後半には「こころなし」「月に恋して」とかで落としにきて、最後は「Love is over」ではじけるという、並び的にもポップのバリエーションがあるんじゃないかなと思います。いろんなジャンルのポップが入っていて、“ポップで満腹になっちゃうぞ”って感じです。

ナオキ：先日、全曲トレーラー映像を公開して、ファンの方がコメントをつけてくれたんですけど、好きな曲がバラバラなんですよね。パンク系が好きな人には「一生をかけて愛してあげてほしい」が人気だし。いろんなポップが詰まっていて、聴く人によって好きな曲がバラける、いいアルバムだと思います。


──ちなみに、ナオキくんのマイベストギタープレイはどの曲？

ナオキ：さっきちょっと考えたんですけど、「花束」に“アイロニーだってハーモニー”という歌詞があって、それに合わせてギターもハモってるんですね。歌詞とサウンドで一体感を出せたなって、いいものができたなって今新しく思いました。

豊田：今なのか（笑）。

ナオキ：でも、マイベストギターはやっぱり「BERRY」のギターソロ。ねたろからも「めちゃくちゃ疾走感があって、いい」ってほめられて、嬉しかったんで。速い曲は好きなので、自分のスキルを落とし込めたギターソロになっているんじゃないかなと思います。

フカツ： 1枚目の『君に会えるならどこへだって』は僕らの名刺というか、初期衝動強めな、まだ粗削りなハッピーとポップの詰め合わせだったかなと思っていて。前作のEP『愛で溢れる日々でありますように』は、僕らなりのハッピーやポップを荒々しくぶつけにいって、“これが俺らのハッピーだぜ”という感じでいったんですけど、今回のアルバムに関してはちゃんと寄り添いながら、聴いてくださる人とハッピーを共有できるアルバムになっているのかなと思っていて。

──はい。なるほど。

フカツ：優しい気持ちが強いアルバムなのかなって勝手に思ってるんですけど。“お客さんと一緒に”という意識が強いアルバムだと思います。という気持ちで、ドラムもいろいろ考えて叩きました。

豊田：パーカーズは“ハッピー”と“ポップ”を大事にしているバンドなんですけど、ハッピーの見せ方もポップの見せ方も、いろんな表情が出せたと思うので。みんな好きな曲がバラけるだろうけど、でもそれで良くて、自慢のハッピーでポップな大事な1枚ができたかなと思います。


──豊田くんが特に大事に思っている曲というと？

豊田：「花束」が一番自分の中でよく書けたなと思ってます。もともと友達二人について書いた曲なんですけど、書いていくうちに感情移入しちゃって…この曲の中で一番伝えたいところが、“時は過ぎるものじゃなくて過ごすもの”という歌詞があるんですけど、それって二人についてもそうだけど、誰に対しても当てはまる大事なことかなと思っていて。せっかく生まれて、それぞれの人生があって、それをただ過ぎていくものにするのはもったいないというか、“過ぎる”のではなく“過ごす”ことで生きられたら、自分のことも好きになれるだろうし、どの事柄もちゃんと愛情を持って生きていけるかなと思っていて。この一文にはその気持ちが詰まっているので、アルバムの中で一番伝えたい部分です。ここは本当に“書けた！”と思いました。

──早くライブで聴きたいです。このアルバムの曲は、もうライブでやってますか。

フカツ：まだ3曲ですけどね。「BERRY」「花束」「ハッピーをちょうだい」はやってます。ここからツアーもあるので、やれるのが楽しみです。

◆インタビュー【３】へ
◆インタビュー【１】へ戻る