【インタビュー】TENSONG、新曲「A HAPPY RAINY DAY」に最初の志「アーティストになるということ」
TENSONGが9月1日、新曲「A HAPPY RAINY DAY」をデジタルリリースする。先ごろKT Zepp Yokohamaにて開催された47都道府県ツアーのファイナル兼初ワンマン<アーティストミマン>のアンコールで披露された同曲は、優しさと一抹の切なさを感じさせるギターのアルペジオが基盤となるセクションと、爆発力のある3拍子のサビのコントラストが大きなインパクトを残した。
◆TENSONG 動画 / 画像
この楽曲を作った2年前、たか坊(Vo)は“アーティストにならなきゃいけない”というプレッシャーを抱えていたという。47都道府県ツアーと初ワンマンを経てひと回りもふた回りも成長した彼らは、現在どのような景色を見て、どのようにアーティストという言葉と向き合っているのだろうか。KT Zepp Yokohamaワンマンの翌々日、メンバー3人に訊いた。
◆ ◆ ◆
■ステージに立って客席を見たときに
■これが47都道府県を回った結果なんやなって
──<全国47都道府県対バンツアー「~JUST FOR FUN 2023~」>を回り終えて、心境はいかがでしょうか?
アルフィ:47都道府県すべてでライブができて、ファイナル<アーティストミマン>を迎えられたことが、まず本当に嬉しくて。
たか坊:体調を崩すことなく47都道府県すべて回れてほっとしています。いろんな街に行っていろんな人と会えたし、場数も踏めたから経験値も上がって、自分たちの音楽観もすごく広がった。何より全国の方に感謝を伝えられたことが嬉しいですね。
拓まん:スケジュールや体力的にきつかった部分もあったけど、終わってみると“楽しかった”という感情だけが残ってますね。自分たちにとって100%プラスになりました。
たか坊:初ツアーが全国47都道府県で良かったです。これを乗り越えたなら、これからもやっていけるし、どこでも頑張れる気がする。もしいつかまた47都道府県ツアーを回れるときがきたら、次は全公演ワンマンでやれたらいいな。
▲たか坊(Vo)
──いい目標ですね。ワンマンと言えば全国47都道府県ツアーのファイナル<アーティストミマン>をKT Zepp Yokohamaで開催。これはTENSONG初のワンマンとなりました。これまでの歴史と、今の3人ができる最大限の力が発揮されたライブになったのではないでしょうか。
たか坊:ワンマンは今までの会場とは全然違う空気感だったし、人生で圧倒的にいちばん緊張した瞬間でした(笑)。本番3日前から寝れんかったですね。ずっとお腹が痛かった。でも取り繕うよりも、今できることを精一杯やって、ありのままのTENSONGを見せるのがいちばんだなと思いました。そんな自分たちの姿を観て、みんなも頑張ってくれたらなと思うし、皆さんの背中をちょっとは押せたかなと思います。お客さんの熱気にプレッシャーを感じつつも、“絶対、その期待に応えてやろう!”という自分のやる気につながりました。
拓まん:俺も夜中の3時半にやっと寝られたのに、朝の5時半に目が覚めて。そこから眠られないままKT Zepp Yokohamaに行きました。でもステージに立って客席を見たときに“これが47都道府県を回った結果なんやな”と思って、それで緊張が解けたんです。そのときの情景を今も鮮明に覚えていますね。そこからずっと楽し過ぎました。
アルフィ:僕も前日は“どうしようどうしよう”って頭の中がいっぱいになって、睡眠が全然取れなくて。
──そうですよね。ワンマンの幕開けはアルフィさんのDJソロでしたから。
アルフィ:あれが人生初のDJソロだったんです。炭酸ガスとレーザーが演出に入ると聞いていたので、“レーザーに合う音ってどんな感じかな?”と想像しながらトラック制作に入って、長い時間を掛けて作っては修正して、作っては修正してを繰り返して。実際にステージで披露してみて答え合わせもできましたし、新しい発見もありました。当日はDJセットが高い位置にあったので、たか坊と拓まんの動きがひとつひとつ細かく見えたし、客席の奥までちゃんと見えて、最初はすごくドキドキしましたけど。
たか坊:拓まんと俺もライブ中にアルフィのDJセットに登ってみて、実際あの高さの場所に立って景色を見て、アルフィの感じたプレッシャーがなんとなくわかりましたね。あの高さでひとりでパフォーマンスするのって、かなり勇気の要ることだと思うんです。
──すべてが初めて尽くしのなか、堂々としたステージだったと思います。あとは「東京イリュージョン」や「とりま」といった盛り上がる楽曲で本編を締めくくるのではなく、バラードやミドルナンバーで締めくくったことにも、TENSONGのスタイルが表れていました。
拓まん:47都道府県ツアーの対バンのときは8〜9曲ぐらいのセットリストを組んで、それこそ最初に盛り上げて最後にバラードを持ってきたり、最初にバラードを持ってきてラストを全力で盛り上げたりとか、いろんなパターンを試したんです。その経験を踏まえてみんなで話し合った結果、これが今の僕らのベストだろうと、最終的にああいうかたちになりました。あと、僕らは“アーティストミマン”なので、アンコールをもらえない可能性もあったし。
──いやいや(笑)、そんなことは。
拓まん:いや、こればっかりはわからないので。もしアンコールがもらえなかったときのことを考えると、今までにリリースした曲は全部本編に入れるしかないなと思って。だからあのとき、お客さんからアンコールをもらえたから、新曲を披露することができたんです。
──そのアンコールで披露されたのが、9月1日リリースの「A HAPPY RAINY DAY」でした。こちらは2021年、活動1年目に制作された曲で、“アーティストにならなきゃ”と葛藤するなかで生まれた曲だとのことですが。
拓まん:今、一緒にやっているプロデューサーのWEST GROUNDとやり始めた頃でしたね。たか坊が、アルフィと僕に「もっと真剣にやれよ!」って注意してたくらいの時期。たぶんたか坊も悩んだりしてたと思うんですけど。
たか坊:コロナ禍でなんとなく音楽を始めて。なんとなく投稿した楽曲が、たくさんの人に聴いてもらえることになって、プロデューサーから声が掛かって、大学の同級生が僕らをサポートする会社を作ってくれたんです。プロデューサーとも正式にタッグを組むことになって……そんなとき、“本当にこの3人で音楽をやっていくのか?”とすごく考えたんです。
──瞬く間に進んだからこそ、引き返すならそこが最終地点だったという。
たか坊:俺はこの3人でやることが絶対条件だったんです。でも当時の俺らは、ギターも歌も趣味くらいのレベルで、DJの知識もあるわけでもなかったから。この3人で本当にこれからプロとしてやっていけるのかという不安もあったし、未来を描けなくて、すごく悩んで。それで拓まんとアルフィに強く当たってた時期ですね。そんなときにできた曲が「A HAPPY RAINY DAY」なんです。
拓まん:たか坊と僕で、大学のでかい広場があるところの階段に座って。たまたま僕がギターを持っていたんです。コロナ禍だから学生もほとんどいなくて、だだっ広い場所にたか坊と僕の2人っきりで。超晴天の下で、なんとなくそんな雰囲気に釣られて気持ちよくギターを弾き始めた……それが「A HAPPY RAINY DAY」のギターフレーズなんです。それを聴いたたか坊が、“そのギターの音、雨っぽいな”と言ったんですよ(笑)。“なんだこいつは。晴天だぞ。どういうこと?”と思いながらも、その場で頭の1〜2行の歌詞とメロディができて。そこからたか坊がデモに仕上げていったんですよ。
たか坊:僕は我が強いというか負けん気が強い……と言うといいふうに聞こえるかもしれないけど。何を言われても歯向かいたくなっちゃうんですよ。たぶん俺らに対して、“もっと歌うまくなれよ”とか思う人もいると思うんです。でも俺は自信がないからこそ歯向かいたいというか。自分の中に矛盾みたいな葛藤みたいなものがあるんですよね。その感覚をうまく曲に落とし込めたらなと思ってデモを固めていきました。
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