【ライブレポート】TENSONG、47都道府県ツアーファイナルにして初ワンマンに歴史と飛躍「俺たちのありのままを観てほしい」
TENSONGが8月19日、KT Zepp Yokohamaにて自身初となるワンマンライブ<アーティストミマン>を開催した。新曲「A HAPPY RAINY DAY 」初披露に加え、11月23日に大阪・梅田シャングリラでFC限定ライブが開催されることも明らかとなった同公演のライブレポートをお届けしたい。
◆TENSONG 画像
コロナ禍のなかで結成してからSNSを通じてリスナーを増やし、2022年秋に<MINAMI WHEEL 2022>にて人生で初めて観客を前にライブを行ったTENSONG。彼らにとって人生2本目のライブは、2023年2月からスタートした47都道府県ツアー<~JUST FOR FUN 2023~>の初日だった。ほぼ未経験のなかでストイックに全国を回り、その47公演目が、ここKT Zepp Yokohama。ツアーファイナルであり、彼らにとって初のワンマンライブである。<アーティストミマン>と名付けられた同公演は、結成からこれまでの歴史と、これからの飛躍への熱意を感じさせる2時間だった。
ステージの高台に配備されたDJセットにアルフィ(DJ)が登場すると、レーザーとCO2ジェットマシーンといったゴージャスな演出にも負けぬ爆音でプレイ。そこに拓まん(G)のギターが加わりサウンドを厚くし、「東京イリュージョン」のイントロが流れたと同時に、1階フロアからたか坊(Vo)が登場した。歓声が湧き立つ人波を縫ってステージに向かい、「僕らもこっち(客席)側からスタートした人間なんです。今日は思いっきり盛り上がっていこうぜ!」と高らかに声を上げると、予期せぬオープニングに観客もクラップとジャンプで前のめりに興じる。最後のサビでは銀テープが噴射し、序盤からいきなりクライマックスのような絶景を見せた。
ギターのイントロから間髪入れずに「Bye Myself」へ移ると、たか坊は一言一句に炎を宿すように情熱的に歌い上げる。拓まんはじっくりと丁寧に音を奏で、アルフィは会場を大きく包み込むようにドラマチックなムードを高めるなど、3人それぞれが自分の役割と真摯に向き合ったステージを展開。このツアーでそれぞれがお互いのやるべきことを認識したからこそ、個々のプレイが生きているのだろう。
初ワンマンに少し緊張しつつもこの日を迎えられた喜びを語るたか坊が、「今ここに立てているのはあなた一人ひとりのおかげです。この曲で感謝の思いを俺たちなりに伝えます」と告げると「有難う」へ。感謝の気持ちを丁寧に綴った歌詞に加え、曲中ではメンバーそれぞれが改めて観客に感謝を伝え、会場にはハッピーな空間と強い結束が生まれていた。
ここまで6曲を届けると、たか坊はこれまでの自分たちが歩んできた道を話し始め、次に歌う曲は現在タッグを組んでいるプロデューサーのWEST GROUNDがSNSのDMでTENSONGに「この曲を一緒に作りませんか」とコンタクトを取ったことで制作に至ったことを明かす。同曲を通して、本気で音楽をやっている人間と接し、感化されたことでアーティストを目指したとのことだ。そしてたか坊が「たいして綺麗でもない僕らの世界」をアカペラで歌唱。中盤から拓まんとアルフィも演奏に参加し、3人が没頭する様子に目を見張った。ここからラブソングのセクションに入り、「存在」や「纏」などを立て続けに披露する。鮮やかな歌と演奏は観客一人ひとりの恋の記憶を呼び覚ますようだった。
すると、たか坊と拓まんがアコースティックギター、アルフィがカホンというアコースティックセットにチェンジ。3人が出会った大学の近くにあった展望台で、初めてオリジナル曲を作った背景を上機嫌で話す。「みんなには俺たちのありのままを観てほしいし、俺たちはそうやって音楽をしてきた。こんな3人がいてもいいんだ。俺らを観て、自分らしくいられるきっかけになればいいなと思います」というたか坊の言葉の後に演奏された「恋季」は、3人がアイコンタクトを取りながら音を重ねる空気感から大学時代の展望台での景色が立ちのぼるようだった。
アコースティックセットの後は、再びアルフィのDJタイムへ。オープニング同様に高揚感のあるステージで再度場内のテンションを上げると、「嫌われる勇気」ではたか坊のクールかつエモーショナルに自身の哲学を歌い上げる姿が熱い視線を集め、「とりま」では会場にいる一人ひとりが、自分が主役と言わんばかりの盛り上がりを見せる。TENSONGはライブ活動を始めて間もないため、リスナーは個人で彼らの音楽を自分なりの楽しみ方で味わい、楽曲の理解度を高め、愛情を育んできたのだろう。その一人ひとりの感情がライブ会場という現実空間に表れると、これだけの爆発力を生むことを目の当たりにした。観客の昂りがメンバー3人のテンションを触発し、この日いちばんの一体感と盛り上がりを作っていた。
「コイビトミマン」「はじまりのおわり」とたか坊の恋愛と家族愛が綴られたミドルナンバーを届けると、3人それぞれが思いを言葉にした。
アルフィはこの3人でZeppの舞台に立てていることへの感慨深さと、それが実現できていることはファンのおかげである旨を語り、拓まんはファンやスタッフ、プロデューサーへはもちろん、自身の家族にも丁寧に謝辞を述べると「これからも真剣に音楽をやっていく」と意気込む。最後にたか坊が「TENSONGファミリーを、全員家族だと思っています。お互いをサポートし合う関係でいたい。だからいつでも安心して僕らの元に帰ってきてほしいです」と晴れやかな表情で語ると、本編ラストは47都道府県ツアーに向けて制作したミドルナンバー「らいぶ」。たか坊の呼びかけで観客同士は肩を組み、3人もあらためて感謝を伝えるようにぬくもりを届けた。
アンコールではたか坊が「この日のために歌いたい1曲がある」と告げる。同曲が約2年前、アーティストにならなければいけないという葛藤のなかで制作した、衝動的な楽曲であることを明かすと、「47都道府県を回って、初ワンマンで今の持ち曲全部歌い切って、この日のためにこの曲を作ったんだと思った」と続け、9月1日にリリースする「A HAPPY RAINY DAY」を披露する。ギターのリフレインと絡み合うドラマチックな描写と、感情を吐き出すようなサビのコントラストが、観客を圧倒した。
たか坊が「これからの僕たちを見ていてください」と穏やかな口調で呼びかけると、3人は深々と頭を下げ、ステージを後にした。47都道府県ツアーを初ワンマンで締めくくった彼らは、達成感と同時に次なるステップに闘志を燃やしているように見えた。自らを“アーティストミマン”と語る彼らの目指す場所はどんな景色なのだろうか。TENSONGの挑戦は続く。
取材・文◎沖さやこ
撮影◎Azusa Takada
■初ワンマン<アーティストミマン>2023年8月19日(土)@KT Zepp Yokohama セットリスト
02. Bye Myself
03. JUST FOR FUN
04. 有難う
05. 昇進者
06. カタルシス
07. たいして綺麗でもない僕らの世界
08. 存在
09. 月が綺麗
10. 纏
11. 恋季
12. ShiKi
13. 嫌われる勇気
14. とりま
15. コイビトミマン
16. はじまりのおわり
17. らいぶ
encore
18. A HAPPY RAINY DAY
■配信楽曲「A HAPPY RAINY DAY」
作詞:たか坊 / 作曲:たか坊
■FC限定ライブ<TENSONG FAMILY Vol.1>
・1st:open13:30 / start14:00
・2nd:open17:00 / start17:30
▼チケット
受付席種:オールスタンディング
枚数制限:1名様につき各公演1枚申し込み可能
支払方法:クレジットカード/コンビニ/ペイジー/ネットバンキングより選択
受取方法:スマチケ/コンビニより選択
入場制限 : 3歳以上
【TENSONG FC会員先行(抽選)】
・VIP会員ページ申込期間:8月20日(日) 0:00〜8月31日(木)23:59
https://fanicon.net/ticket/3021
・一般会員ページ申込期間:9月4日(月) 10:00〜10月1日(日)23:59
https://fanicon.net/ticket/3022
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