【俺の楽器・私の愛機】1428「新天地と散財」
【Fender Made In Japan Hybrid jazz bass】(東京都 ボブ・マックス 19歳)
進学に伴った引っ越し先での暮らしにも慣れてきた初夏の日曜、持て余した暇を潰そうとふらっと御茶ノ水へ赴きました。
立ち並ぶ楽器店、楽器店、楽器店。やはり何度訪れても飽きない景色です。美術館でも見て回るようにゆっくりと様々なモデルを鑑賞し、店内に響く試奏の音をBGMに優雅な時間を過ごしていました。
ベースプラネットにそいつはいました。主張が強すぎず、それでいて気品に満ちた緑、"ジャスパーオリーブメタリック"なる希少なカスタムカラーだと、いつの間にやら私の隣に立っていた副店長さんが教えてくれました。さらにこのベースは世界12本限定生産で、店に入荷した2本のうち最後の1本だという爆弾情報まで。希少価値という概念に弱い私は既に首ったけでした。「音、聞いてみます?」という副店長さんの悪魔の囁きにまんまとノックアウト。気付けばアンプの前。
フロントPUに親指を置いて4弦に人差し指を掛け、手始めに4弦解放のEをぶっ放すと、恐竜に踏まれるような、頬をそよ風に吹かれるような、猛獣の咆哮のような、愛に満ちた抱擁のような衝撃が身体中を走りました。
こいつはやべえぞ、と頭を上げると目の前にあったアンプはいつのまにかコンビニのATMに変わっており、高校時代のバイト代を「今じゃねえの?」と言わんばかりに吐き出したのです。そうだよな。あのわけわからんクレームを真摯に聞き続けた時間は今この瞬間のためだったに違いない。さてこうなればもう迷いなどありません。
そんなこんなあってなんだかんだ新たな相棒を迎えたわけですが、せっかくなら好きな仕様を詰め込んでやろうと思い立ち、まずペグをパドルペグに、ピックガードを鼈甲に、サドルをスパイラルタイプに、そしてコントロールをスタックノブに換装。いわば自分のシグネイチャーモデルの完成でございます。
色々と都合が付かずまだこいつのスタジオデビューが叶っていないので、でかいアンプでぶっ放すのが楽しみでなりません。
楽しみでなりません。
楽しみでならねえなおい。
◆ ◆ ◆
羨ましくてならねえなおい。その興奮と出会いを19歳で経験するのはでかい。後年「今思えばあのときの出会いが俺の人生を決めたんだ」と思えるような強烈なパッションを感じます。ジャスパーオリーブメタリック、いいですよね。インカシルバーとかミスティックアイスブルー、アイスブルーメタリックあたりの一歩引いたメタリックカラーってかっこいいよなあ。ベースを弾くことがどれだけ楽しいかは、そのベースがどれだけ可愛いかも大事なポイント。大きな壁をひとつ乗り越えたんだと思います。タイトルには「散財」とありますけど、これは散財じゃなくて自分への投資ですからね。将来は明るい。楽しみでならねえなおい。(JMN統括編集長 烏丸)
★皆さんの楽器を紹介させてください
(1)投稿タイトル
(例)必死にバイトしてやっと買った憧れのジャガー
(例)絵を書いたら世界一かわいくなったカリンバ
(2)楽器名(ブランド・モデル名)
(例)トラヴィス・ビーン TB-1000
(例)自作タンバリン 手作り3号
(3)お名前 所在 年齢
(例)練習嫌いさん 静岡県 21歳
(例)山田太郎さん 北区赤羽市 X歳
(4)説明・自慢トーク
※文章量問いません。エピソード/こだわり/自慢ポイントなど、何でも構いません。パッションあふれる投稿をお待ちしております。
(5)写真
※最大5枚まで
●応募フォーム:https://forms.gle/KaYtg18TbwtqysmR7
「楽器人の投稿がmusic UP'sに掲載されます」
※毎月の掲載数は2~4件ほどの予定です。選出はBARKS編集部で行ないます。
※掲載の選出対象は【俺の楽器・私の愛機】コーナーにて2022年5月30日以降に掲載された投稿が対象となります。
引き続き【俺の楽器・私の愛機】をお楽しみください。今後ともBARKS楽器人をよろしくお願いいたします。
◆【俺の楽器・私の愛機】まとめページ
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