【野津山幸宏×伊東健人 対談インタビュー】『ヒプマイ』新作EP発売。有栖川帝統と観音坂独歩、真逆な2人が描いたものと意外な共通点
▪️ここまで尖ったライブをやっていることが改めてすごいと思った
──ドラマトラックのシナリオを読んだ感想はいかがでしたか?
野津山:いやもう、どうなっちゃうんですか!?という感じですよ(笑)。まだまだ続きが気になる展開になっていて。
伊東:独歩は受動的で自ら事を進めるタイプではないのですが、それでも今回は新しい展開がありラップをやっていくなかで彼なりにどんどん強くなっていると思います。ハゲ課長にも盾突くようになりましたし(笑)。それってある意味ヒプノシスマイクのおかげでもあるので、それが使えなくなったら元の独歩に戻ってしまうかもしれないわけですよ。
──確かにそうですね。
伊東:せっかく言葉の力で意志も強くなってきたのに、梯子を外されて彼はどう思うんだろうか、と。でも、マイクがなくてもきっと彼は大丈夫だという安心感が新たに生まれたかもしれないです。大混乱のなかでも今まで得てきたものを柱としつつ、俺たちはブレないでやれることがあるんじゃないかと。今回は、そういった各ディビジョンメンバーの真の強さが見えるドラマトラックだなと思いました。
野津山:それぞれキャラクターの過去や物語が動き出している感じはありますよね。それらが今後どうなるのかは、我々演者も注目しているポイントですね。
──お互いが演じているキャラクターへの印象を教えてください。
野津山:個性溢れる『ヒプマイ』キャラのなかで独歩がいちばん「普通」に近いのかなと思っていたのですが、彼もちゃんと「観音坂独歩」という個性を持っているということがわかってきて。文句は言いつつも、責任を果たすところや仲間のためにマイクを持つところを見ると、男気があるなぁと思います。
伊東:帝統は、お金がないことはもはや彼のアイデンティティになっていますよね(笑)。でも、独歩も何千万円も落としたことがあるので、金の受難に遭いがちだという点では結構親和性が高いです。個人的に、のづのノリは帝統そのまんまだなと思います。
野津山:そんなことないですよ!(笑) 僕、あんなに博打しないです!
伊東:ほとんど同じだよ(笑)。ちょっと後輩キャラっぽいところとかね。いつまで経ってもかわいさがあるんですよね。
野津山:最初の頃は僕が『ヒプマイ』のキャスト陣のなかで年齢も芸歴も一番下だったので。帝統もシブヤのなかでは一番年下なので、そういう点ではリンクするかもしれないです。
──反対に、野津山さんから見て伊東さんと独歩がリンクする瞬間はありますか?
野津山:伊東さんも、普段は落ち着いた感じなんですけど意外と心の中は荒ぶっているというか、結構アツいところがあって。そういうところは独歩に似ているんじゃないですかね。やる時はやるというか。
伊東:確かに、言うときはけっこう言うかもね。
野津山:実はめちゃくちゃ情熱的なんですよ。
──今回のEPの組み合わせ以外で、楽曲を聴いてみたいキャラクターの組み合わせはありますか?
伊東:なんだろう!?
野津山:めっちゃ迷いますね!
伊東:僕は、独歩と山田一郎。このふたりってそんなに絡んだことがないですし、イケブクロとシンジュクが面と向かって立ち向かったこともなくて。全員曲でもイケブクロは最初でシンジュクは最後のほうなので、曲の中でバトンを受け渡す機会もなくて。どんな会話をするのか気になります。
野津山:確かに気になる! どんな曲になるのか想像がつかないですね。
伊東:僕個人としてはすごく楽しく歌えると思うのですが、楽曲としてはどんなテイストになるんだろうとは思いますね。個人的には、独歩が一郎に「ラップの本質を教えてくれ」と教えを請う感じになるのかな、と。もしくは、独歩はサラリーマンで一郎は自営業という真逆の仕事をしているので「仕事論」がテーマになっても面白いですよね。
野津山:それは面白そうです。僕は。(碧棺)左馬刻と(山田)三郎。
伊東:そのふたりも新鮮だね。
野津山:左馬刻様って上下関係厳しいイメージがあるんですよ。「様をつけろ!」みたいな。でも三郎って年下なのに生意気なところがあるじゃないですか。だからふたりがラップしたらどうなるんだろうって(笑)。
伊東:左馬刻様ブチギレそう(笑)。
野津山:怒りそうだなと思いつつ聴いてみたいなと。ヨコハマを案内する左馬刻と案内される三郎とか面白そうですよね。でも、今考えながら思ったのですが「これは無理だな」っていう組み合わせはないかもしれないです。誰が誰と組んでもいい。そういうところも『ヒプマイ』の魅力だなと改めて気付かされました。
──『ヒプノシスマイク』では今までたくさんのライブを経験されてきたかと思いますが、特に印象に残っているものはありますか?
野津山:僕は<ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- 8th LIVE ≪CONNECT THE LINE≫>ですね。初のディビジョンごとに分かれたライブだったので、会場のリングライトが自分たちのチームカラー一色になった景色は圧巻でした。今までは極力全チーム揃ってやってきましたが、チームごとのライブは新しい形で楽しかったですね。
伊東:ディビジョンごとにやるからこそ、いつもと違うやりとりがあったりね。
野津山:他のディビジョンとみんなで出演するときは(山田一郎役の)木村昴さんがMCをやってくださるので、ライブのMCを自分たちだけでやるというのも初めてで印象に残っていますね。
伊東:ちなみに、三人でどういう会話をしたの?
野津山:全員自由すぎたことしか覚えてないです(笑)。つま先が全然同じ方向を向いてないっていう(笑)。でも、それが逆にシブヤらしいなとも思って。だって、あんなに自由に歌っていたのに、MCで急に改まって「ありがとうございました!」と言ってもシブヤらしくないじゃないですか(笑)。その意味で、キャラクターと役者の距離が近づいているのも面白いですよね。
伊東:確かに、キャラと役者の距離が近づいているのは感じるよね。
野津山:『ヒプマイ』自体が6周年で、ライブも9回やっていますしね。これだけずっとキャラクターと一緒にいると愛着も湧いてくるし、分かり合う部分も増えてきて。
伊東:ディビジョンメンバーの関係性って変わってる?
野津山:仲良くはなっているけれど、距離感は昔とあまり変わらないというか。仲良くなったからすごく会うようになったとかはないんですよ。不思議な感じですよね。そういったところも、シブヤっぽいなと思っています。3人とも共通の趣味がないので、テレビが一台の家に3人で住んだらダメですね(笑)。白井(悠介)さんはずっとサッカー観てると思うので(笑)。
──伊東さんは、特に印象に残っているライブはありますか?
伊東:たくさんあるので選ぶのが難しいのですが、ひとつ選ぶとしたら声出しが解禁された<ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- 9th LIVE ≪ZERO OUT≫>ですね。ステージを真ん中に据えて客席に360度囲まれていたのですが、360度見られているなかでどう動くべきか、パフォーマンスをいろいろ考えました。
野津山:声出し解禁は大きかったですよね。
伊東:久々にファンの皆さんの歓声を聴いて、やっぱりいいものだなと思いましたね。あとは、ここまで尖ったライブをキャラクターコンテンツでやれていることを改めてすごいなと思いました。普段2次元カルチャーとはあまり縁のないゲストの方々が来てくださるおかげで、こんな化学反応があるんだ、面白いなと新しい発見があって。
野津山:確かに、毎回ゲストは豪華ですよね。
伊東:制作陣からも攻めた姿勢が伝わってきて、それが非常にロックで好きです。ヒップホップに優等生を求めるのもおかしな話なので、このまま尖り続けてほしいなと思いますし、これからも新しいものを見せ続けてくれることを感じられたライブでした。
──毎回こちらの予想をはるかに超えてくるのが『ヒプマイ』のすごさ、面白さだとも感じます。プレッシャーを感じることはありますか?
野津山:僕は特にプレッシャーはないですね。ライブのハコが大きくなったり演出が変わったりするのが毎回楽しいですし、曲を作ってくださるアーティストの方も毎回違うので、「あぁ、次はこんな楽曲が歌えるんだな」とワクワクした気持ちで臨むことができています。
伊東:僕もプレッシャーはそんなに感じるタイプではないのですが、スタッフからもお客さんからも求められるハードルがガンガン上がっているのは感じています。でも、それに対しては「上等ですね」と思いながらやることができていて。
野津山:確かに、ハードルはどんどん上がっていますよね。
伊東:もちろん、ライブパフォーマンスに満足がいかずめちゃくちゃ悔しい思いをしたこともあるのですが、上手くやるとか間違いをしないとかではなく、まずは自分が楽しむことをいちばん大事にしていて。結局、ラップに対する向き合い方は変わらないので、ハードルは自然と上がっていきますし、自分自身でも意識して上げています。「チグリジア」とか今だったらもっとできるなと思いますし、だからこそライブではもっとガンガンやっていきたいと思っています。
──そのハードルを常に越していく『ヒプマイ』キャストさんの方々も、毎回本当にすごいなと思って拝見しています。
伊東:みんながきっとその思いを持っているから、止まれないですよね。おいて行かれちゃうから。
──その意味で、他のディビジョンの曲を聴いたりパフォーマンスを観たりするなかで「そうきたか!」と驚かされることはありますか?
野津山:楽曲で言うとシンジュクですよね。「Shinjuku Style~笑わすな~」では「全員消滅」と言っていたのに次の「パピヨン」では「ららら~」って(笑)。
伊東:(笑)。でも、全ディビジョンみんな違って本当にみんないい。イケブクロの曲をライブで聴くとやっぱり座長はこの3人なんだなと思いますし、ヨコハマはやっぱり怖いなと思うし(笑)。
野津山:(笑)。
伊東:最初に聴いたとき「悪っ!」と思って。でも、今は初期より更にダークな雰囲気になっているじゃないですか。シブヤはシブヤで、ストーリーが進むことで楽曲がどんどんバラエティ豊かになってきて。
野津山:そういう、ディビジョンごとの進化が垣間見える瞬間がどのディビジョンにもあって。それにグッときますし面白いですよね。
──ありがとうございました。最後に、今回のEPを楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
伊東:僕はまだ完成版を聴けていなくて、発売と同時に聴くと思うので楽しみな気持ちはファンの皆さんと一緒です。間違いなく今までとは趣向が違ったEPになると思います。『ヒプマイ』は長いこと続いていますが、まだラップには触れづらいなという方たちにはもちろん聴いてほしいしですし、今までの楽曲を聴いてくれていた方には「こんな曲もやるんだ」と思っていただきたいです。とにかく、全ての方に楽しんでほしいですね。
野津山:今回は初の2タイトル同時発売ということで、もちろん両方聴いてほしいのですが、どちらから聴けばいいのか分からないという方は、ぜひ「HOMIEs」のM1から聴いてください(笑)。それくらい『Rivals!』はいい曲になっています! もしかしたら楽曲提供してくださったアーティストさんのファンの方が聴いてくださるかもしれないので、そういった方にもこれを機に『ヒプマイ』の世界に来ていただきたいです。今後も『ヒプマイ』はどんどん展開しますので、皆さん楽しみにしていてください。
取材・文◎鈴木 幸
写真◎野村雄治
関連リンク
◆「HOMIEs」トレーラー一覧
◆「HOODs」トレーラー一覧
リリース情報
『The Block Party -HOMIEs-』
『The Block Party -HOODs-』
価格:各定価¥3,850円 (税抜価格 3,500円)
※初回製造分のみスペシャルスリーブ仕様
購入:https://hpmi.lnk.to/ohm
【収録内容】
『The Block Party -HOMIEs-』
▲初回仕様 ジャケット
▲通常仕様 ジャケット
DISC1(全7曲収録):
M1:「Rivals!」有栖川 帝統(CV:野津山 幸宏)&観音坂 独歩(CV:伊東 健人)
作詞・作曲・編曲:ビッケブランカ
M2:「毎度!生きたろかい!~OSAKA Big Up~」白膠木 簓(CV: 岩崎 諒太)& 躑躅森 盧笙(CV:河西 健吾)
作詞:大西ユカリ・銀シャリ 作曲:新宮虎児 編曲:Kozzy Iwakawa
M3:「Get busy」波羅夷 空却 (CV:葉山 翔太)& 山田 二郎(CV:石谷 春貴)
作詞・作曲:KENTA (WANIMA) 編曲:WANIMA
M4:「夢の彼方」夢野 幻太郎(CV:斉藤 壮馬)
作詞・作曲:Eve 編曲:Numa
M5:「Move Your Body Till You Die!」毒島 メイソン 理鶯(CV: 神尾 晋一郎)with HOMIEs
作詞:前山田健一・DJ KOO 作曲・編曲:前山田健一
M6: 「HIPHOPPIA」山田 一郎(CV:木村 昴)
作詞:好良瓶太郎 作曲:MURO・SUI 編曲:SUI
M7: 「おままごと」邪答院 仄仄(CV: ファイルーズあい)
作詞・作曲:薔薇園アヴ 編曲:塚田耕司
DISC2:Drama Track 「The Block Party -前半-」
『The Block Party -HOODs-』
▲初回仕様 ジャケット
▲通常仕様 ジャケット
DISC1(全7曲収録予定):
M1:「白と黒」天谷奴 零(CV:黒田 崇矢) & 入間 銃兎(CV:駒田 航)
作詞・作曲:志磨遼平 編曲:ドレスコーズ
M2:悪魔の華」アルゴξ楽団(CV:榊原優希)
作詞・作曲:HAKUEI 編曲:tatsuo
M3: 「Viva la liberty」飴村 乱数(CV:白井 悠介)&山田 三郎(CV:天﨑 滉平)
作詞:TOPHAMHAT-KYO (FAKE TYPE.) 作曲:TeddyLoid・TOPHAMHAT-KYO (FAKE TYPE.) 編曲:TeddyLoid
M4:「Closer」神宮寺 寂雷(CV:速水 奨)&天国 獄(CV:竹内 栄治)
作詞・作曲:小出祐介(from Base Ball Bear) 編曲:春野
M5: 「ポジティブ my life」伊弉冉 一二三(CV:木島 隆一)with HOODs
作詞:宮田俊哉 作曲・編曲:月蝕會議
M6:「燐火」碧棺 左馬刻(CV: 浅沼 晋太郎)
作詞・作曲:石崎ひゅーい 編曲:トオミヨウ
M7:「Bounce Back!」帳 残星(CV:大塚明夫)&帳 残閻(CV:中尾隆聖)
作詞・作曲・編曲:m.c.A・T
【2枚同時ご予約・ご購入特典】
法人別オリジナル特典
Amazon.co.jp :A4クリアファイル(-HOMIEs- ver.)
TSUTAYA:A4クリアファイル(–HOODs- ver.)
アニメイト:A4クリアファイル(-HOMIEs-&–HOODs- ver.)
楽天ブックス:アクリルキーホルダー(-HOMIEs-&–HOODs- ver.:50mm角)
TOWER RECORDS:2L判ブロマイド(-HOMIEs- ver.)
HMV:2L判ブロマイド(–HOODs- ver.)
ゲーマーズ:ジャケットサイズステッカー2枚セット
ELR Store :布ポスター(-HOMIEs- &–HOODs- ver.)
メーカー特典:ジャケットカード2枚セット(180mm×180mm)
※同一店舗で2作品を1回のご注文でご予約・ご購入いただいた際にお付けする特典
メーカー特典の対象店舗はこちら:https://hypnosismic.com/uploads/2023/08/fix_HPMI_The-Block-Party_tenmei.pdf
<ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- 6th Anniversary Party>
会場:片柳アリーナ(〒135-0063東京都大田区西蒲田5丁目23-22)
出演:木村昴・石谷春貴・天﨑滉平・駒田航・白井悠介・野津山幸宏・速水奨・木島隆一・岩崎諒太・河西健吾・黒田崇矢・葉山翔太・榊原優希・竹内栄治/DJ U-ICHI
※本イベントでのキャストによる歌唱はございません
・ABEMA PPV ONLINE LIVE配信
https://abema.tv/live-event/9e0cab1d-560c-45c9-9d89-7d22d691af92
配信日時:2023年9月2日(土) 開演16時30分〜 (開場16時〜)
見逃し配信期間:2023年9月9日(土) 23時59分まで
販売期間:~2023年9月9日(土)21時まで
視聴料金:3,000円(税込)
※アプリ内の購入は、別途手数料として300円が生じます
この記事の関連情報
【インタビュー】ナゴヤ・ディビジョン「.Bad Ass Temple」発売。竹内栄治「十四の成長は獄を成長させてくれる糧にもなる」
【インタビュー】ナゴヤ・ディビジョン「.Bad Ass Temple」発売。榊原優希「十四くんの独り立ちの喜びと、大人になっていくことの少しの寂しさと」
【インタビュー】ナゴヤ・ディビジョン「.Bad Ass Temple」発売。葉山翔太「空却の僧侶としての格が上がり、ひとつの極地に辿り着いた」
『ヒプノシスマイク –Division Rap Battle-』初の映画化
ヒプマイ、ディビジョン別連続リリースCDよりナゴヤ・ディビジョン『.Bad Ass Temple』最新ドラマトラック公開
ヒプマイ、ディビジョン別CD7連続リリース第一弾イケブクロ・ディビジョン『.Buster Bros!!!』詳細
【ライブレポート】キングレコード主催<KING SUPER LIVE 2024>、レーベルの絆とアニソンの素晴らしさを体現
ヒプマイ、ディビジョン別CD 7作品連続リリース
ヒプマイ、初のオフィシャルDJイベント開催