【インタビュー】KIRA、アルバム『Birthday』は「ポップに振り切りました」
ヒップホップ、R&B、レゲエなど多彩なテイストを取り入れた音楽性、リアルな感情を反映したリリック、そして、個性的なハスキーボイスと豊かな表現力が響き合う歌。
◆KIRA 動画 / 画像
マカオのカジノでショーに出演していたという異色の経歴を持つ女性アーティスト、KIRAにインタビューした。地元・大阪のクラブから始まったこれまでのキャリア。自身の誕生日である3月23日にリリースされた“KIRA史上もっともポップな”最新アルバム『Birthday』などについて語ってもらった。
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■『Birthday』ではそんな遠慮はせず
■ポップに振り切りました
——最新アルバム『Birthday』、素晴らしいですね!ヒップホップ、R&B、レゲエからハウスミュージックまで、サウンドがすごく多彩で。KIRAさんのボーカルが映えるアルバムだなと思います。
KIRA:ありがとうございます。今回のアルバムは私もすごく手ごたえがあるんですけど、「自分はポップアーティストだ」という作品になっていて。ハウスミュージックの曲も以前はやってたんですけど、ここ数年、ちょっと遠慮してたんですよ。「おしゃれ過ぎると、引かれちゃうかな」と思ったり(笑)。『Birthday』ではそんな遠慮はせず、ポップに振り切りました。
——なるほど。まずはこれまでのキャリアをお伺いしたんですが、生まれも育ちも大阪ですか?
KIRA:生まれたのは名古屋で、育ったのは大阪の天満ですね。日本一長い商店街(天神橋筋商店街)の近く。マスコミの方が、大阪らしいおばちゃんにインタビューしたいときに来るところですね(笑)。
——(笑)音楽に興味を持ったきっかけは?
KIRA:兄貴の影響で小学生の頃からヒップホップを聴いていました。ロックやJ-POPと同じような感覚でエミネムとかを聴いてて。あとはローリン・ヒルとかフージーズ、ドクター・ドレー、スヌープ・ドッグ、2パックなども聴いてましたね。クラスの子たちが知らない音楽を知りたい!みたいな感じもありました(笑)。一人だけヒップホップ好きな友達がいたので、その子とはいろいろ話してましたね。
——日本のヒップホップは?
KIRA:キングギドラとか、KREVAさんは聴いてましたね。私、SUGARSOULも大好きで。ボーカルのaicoさんに憧れてましたね。
——ルーツは90年代後半から00年代前半あたり?
KIRA:そうかもしれないですね。去年(2022年の)スーパーボールのハーフタイムショー(エミネム、ドクター・ドレー、スヌープ・ドッグ、メアリー・J・ブライジ、ケンドリック・ラマーなどが出演)は「好きな人が全員出てる!」みたいな感じでした(笑)。いろんな音楽を聴くんですけど、結局はそこに戻るというか。いまだに2002年とか2003年のプレイリストを聴いたりしてますね。
——歌いはじめたきっかけは?
KIRA:物心ついた頃から、家でずっとデッカイ声で歌ってたんですよ。家族に「うるさい」とか言われながら(笑)。ステージで歌うようになったきっかけは、やっぱり兄ですね。兄はDJをやってて、仲間と一緒にクラブでイベントとかもやっていて。みんな知り合いだし、「おまえ、歌えや」みたいなノリで、それこそSUGASOULの曲をカバーしたり。最初は遊びというか、人前で歌うのも好きやし、「カラオケで歌うか、クラブで歌うか」みたいな感じだったんですけどね。普通にクラブで遊んでて、「あ、出番やから歌ってくるわ」みたいな(笑)。そのうちに「レギュラーで出てよ」とか、「俺らのイベントでも歌って」という感じでどんどんつながって。たぶん女性のシンガーの需要があったんじゃないですかね。
——当時から「将来、アーティストとしてやっていこう」という気持ちはあったんですか?
KIRA:最初は全然なかったです。この道でやっていこうと思ったのは、マカオのカジノのショーに出てからですね。アメ村(大阪・心斎橋地区のアメリカ村)で歌ってたら、「マカオのカジノで歌ってみない?」って声をかけられて。
——そんなことあります?(笑)
KIRA:ですよね(笑)。「マカオってどこですか?」という状態だったんですけど、ちょうどそのとき「変わりたい」と思ってたんですよね。クラブのイベントは楽しいけど「ずっとこれやんの?」という感じだったし、彼氏とも上手くいってなくて。いいチャンスやなと思って、マカオで歌ってみることにしたんです。20〜30分のショーを1日に4〜6回くらいやるんですけど、休みは週に1、2日で、ほぼ毎日ステージに立って。テレサ・テンさんの曲を中国語で歌うのが条件だったので、5〜6曲くらい覚えたんですよ。慣れてくると勝手にビートルズを歌ってみたり、自分の曲を放り込んだりしてましたけど(笑)。
——それまでとはまったく違う環境でライブを行うことで、得られたものも多かったのでは?
KIRA:そうですね。クラブで歌っているときは仲間が聴いてくれて、盛り上げてくれて。すごく狭い世界だったんですよね。マカオは外国人ばっかりやし、誰も私の歌を聴いてない、見られてない前提というか。「こっちを見てもらうにはどうしたらいいやろう?」って考えたし、派手な衣装を着たり、パフォーマンスも変わってきて。毎日歌ってたから、喉のケアも必要だったし、一つ一つ乗り越えながらやってたんですよ。そこでだいぶ意識が変わりました。マカオで歌ってたのは短い期間でしたけど、「今度は自分の曲でやりたい」「この仕事でごはんを食べれるようにがんばろう」と思いましたね。
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