【インタビュー】鶴、バンド結成20周年で深まる絆「21年、22年にもやりたいことはまだまだあります」

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2023年にバンド結成20周年を迎えた鶴。メンバー・チェンジなし、活動休止なしで激動の世の中を駆け抜け、日本中にたくさんの笑顔を届けてきた。その鶴が、7月23日に東京・日比谷公園大音楽堂で<結成20周年記念 鶴の野恩返し 〜みんなにワイワイお祝いしてもらう会〜>を開催する。

◆鶴 動画 / 画像

「1曲目から感動で泣いちゃって、演奏できなくなるかもしれない」と語ったメンバーの胸中はいかばかりか。最新EP『4-4』の制作秘話とあわせて、秋野温(Vo, G)、神田雄一朗(B)、笠井“どん”快樹(Dr)の3人から話を聞いた。

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■ステージ上ではどんどん自由になっている
■好き放題やらせてもらってきた20年間ですね


──2023年は、鶴にとってバンド結成20周年です。突き進んできたこの20年間を、現在、どんな思いで受け止めていますか?

秋野:20年というと重みがあるなと思うんですけど、意外とあっという間だなという気持ちのほうが大きくて。というのも、毎年のようにやりたいこと、やるべきことなど、目標があったので、それをクリアするために1年1年過ごしていたら、20年経っちゃったという感覚ですね。

神田:僕も、あっという間という感覚に近いです。好きなことを、1日1日、ずっとやってきただけなので。まっ、大変なこともないわけではなかったんですけど、基本的に全部、楽しいなと思ってやってきたんです。この20年間の鶴の活動はすごい恵まれていたんだなってことを、20周年の今年、すごく思っていますね。鶴は、人にすごい恵まれているバンドで、いろいろなポイントとなるタイミングで、ポイントとなる人に出会ってきたんです。出会いの運がいいってことで続けてこれたのかな。あとメンバーの仲がいいってのも良かったのかな、と20周年を迎えて改めて思っています。

笠井:振り返ってみれば、ものすごく自由にやらせてもらってきたなって感じがしますね。最初はインディーズで好き放題やっていたら、いつの間にかメジャー・デビューすることができて。デビューにあたって、無理やり、なにかやらされたってこともなくて。僕らがちょっと波についていけないまま、過ぎ去った感もありますけど(苦笑)。いろんな岐路もあったんですけど、僕らがやりたいことを自由に選ばせてもらって、応援してくれる人たちもたくさんいてくれて。今もステージ上ではどんどん自由になっているし、ホント、好き放題やらせてもらってきた20年間ですね。

▲L to R:神田雄一朗(B)、秋野温(Vo, G)、笠井“どん”快樹(Dr)

──鶴といえば、デビュー時に3人ともアフロ&眼鏡で、ド派手な柄シャツに身を包んでいて、ものすごいインパクトと自由奔放さを世間にアピールしてましたから(笑)。

笠井:確かに(笑)。

秋野:そりゃ、間違いないですね(笑)。

──仲の良さは知られていますが、これまで音楽的な面で意見がぶつかり合うことなどもなかったんですか?鶴は見た目だけじゃなく、音楽的に実はものすごく変化を遂げてきたバンドでもあると思うんです。

秋野:もともと音楽的な好みは、みんな、ちょっとずつ違うんですよ。でも鶴としてひとつ塊になるときは、目指すところが近くなる気がしてはきました。曲を作る僕やどん君(笠井)が、それぞれ自分の好みを出すがゆえに、理解ができないからどうしようみたいなことは過去にいくらでもあったんですよ。その都度、お互いの落としどころを見つけてきたのかなと思います。20年経てば、だいたい相手のやりたいことや考えていることも見えてきますから。対応するための自分のキャパも、若いときより全然広がっているので。昔はダメだなと思ったことが、今ではなんの問題もなく受け入れられるというか(笑)。そんな感覚もありますね。

──昔はダメだと思ったこと、というと?

秋野:どん君の書く曲の世界観が、僕のキャラクターにないものじゃないかと思ったようなときもあったんです。歌いづらいと感じたときもありました。でも、今となれば、という感じですよね。どん君も、そういったいざこざした歴史を経て(笑)、自分の我を出しながらも“鶴の秋野が歌う曲”への理解の幅が広がって。お互いが歩み寄れる場所を作ってきたのが、今の鶴の3人の状態かなと思います。

──この20年間の音楽的な変化やぶつかり合いを、冷静に捉えてきたのは、実は神田さんじゃないかと思うんですが?

神田:なるほど、僕はほとんど曲を書かないんでね。確かに、二人の出す曲調や切り口、歌詞の内容も変わってきたと思うんです。でもバンドというのは、基本的に変わっていくものだと思うんです。人間として成長したり年齢を重ねたりするにつれ。変化が起こるのは自然なことだと思うんです。僕らはもともと超絶技巧派プレイヤー・バンドということでもないので、若いころは背伸びして、なんちゃってでいろんなジャンルの雰囲気を醸し出そうと、演奏をしていたんですよ。それはそれで鶴のエッセンスにもなっているんですけど、40歳を迎えると、自分にできることはこれだな、という割り切り方をしているような気がして(笑)。そうすると、変に無理しなくなる。自分のやりたい表現の仕方に素直になっていってるなと。あと歳取ると、音数とかフレーズをいっぱい詰め込むのも面倒になってくるんで(笑)。それは人間の変化ともリンクしている気がします。秋野君とか、昔は気を遣うタイプだったり気にするタイプだったのが、どんどん図太い性格になってきたと思うんで。そのへんが曲の表現にも出てるのかなと。

秋野:バンド内では気を遣うのもバカらしくなってきちゃったよね(笑)。

神田:確かにね、だんだんとね。

──バンド結成前からの3人のつながりを考えると、そこいらの夫婦より長いですから。

秋野:ほんとにそうなんですよ。家族に近い関係性かなと思ってますね。相手がなにをやってても気にならないし(笑)。いい意味で家族みたいな気の使わなさ。

神田:そうだね。一番、大事だけど、一番、どうでもいいって感じだよね(笑)。

──そういう間柄だから、自分のことをさらけ出せるわけですか。音楽するにしても、付き合うにしても、健康的な感じですね。

笠井:そうですね、間違いなく。



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