【インタビュー】INKYMAP、10周年を経て新境地へ「何事も始まったら終わる。でも、俺達はそれを繰り返す」
■今回は何か特別な感じはしてます
■ライブがあって完成するってところはある
──今回は曲作りにおいても、以前よりもメンバー4人のインプットが加えられているんですね。
Jun:そうですね。
Kazuma:僕が曲を作る時って、世界観と言うか、Kazumaワールドみたいなものを大事にしているんですけど、昔はすごく抽象的に「この曲は雨っぽいフレーズを弾いてよ」みたいに言ってたんです。僕の中にはしっかりとしたイメージがあるんですけど、それを伝えるのが難しくて。それが今回は1曲1曲、「この曲はこういう曲で。こういうふうにしたくて」というのがメンバーと共有できたという手応えもあるんですよ。
──4人全員で曲作りから取り組んだという手応えから今回、セルフタイトルに?
Kazuma:それもあるし、今回は、何か特別な感じはしてますね。それが何なのかって言われると難しいんですけど(笑)。
──今回、結成10周年という節目を経て、自分達の原点を見つめ直した上で、新たなスタートを切るというテーマがあるようにも感じられましたが。
Jun:そうですね。それもあるし、コロナ禍を抜けたことで、ライブハウスがフルキャパに戻ることも含め、フロアの雰囲気も変わるじゃないですか。それもあって、どんなライブをしたいのか、みんなとどういう感じでライブをやりたいのかっていうのをけっこう考えていて。
Kazuma:ライブをかなり意識しながら曲を作りました。やっぱりライブありきと言うか、ライブがあって完成するってところはあるんで。『INKYMAP』というアルバムは作品としても、絶対いいものですけど、僕らはライブでそれをさらに超えたところで表現できる自信もあるんですよ。
──歌詞も目の前にいるお客さんに歌っているようなものが多いという印象でした。
Kazuma:歌詞もわかりやすくしようと心掛けたんですよ。
──なるほど。「星月夜」「Morning Glory」のような詩情あふれる曲がある一方で、メッセージやステートメントを歌った曲もあって。歌詞をわかりやすくするという試みは、そういう曲に生かされていうわけですね。
Kazuma:自分が普段使うくらい簡単な言葉を使いたかったんです。
──言葉の繋がりと言うんでしょうか。同じ言葉が複数の曲に使われていて、それが一連の思考の流れの中で今回のアルバムの曲を作っていたことを想像させるところがいいなと思いました。意識的に同じ言葉を使っているんでしょうか?
Kazuma:いや、その時そう思ったから、その言葉を使っただけです(笑)。実は、そんなに普段から伝えたいことがいっぱいあるという人間じゃないんですよ。伝えたいと言うよりは、自分が思っていることを曲にしているという感じなんで、自分の言葉でってなると、同じ言葉や似た言葉も出てきますね。でも、あんまり気にしてないです。違う言い方もできるかもしれないけど、でも、それは俺じゃない。どれだけ自分らしくいられるかってところでやっているので。
──“月”という言葉もけっこう出てきますよね。
Kazuma:空とか宇宙とか大好きなんですよね。
──そのへんがKazumaさんワールドなんですね?
Kazuma:そうですね。昔から“空” “月” “星”、そういう言葉はたくさん出てきますね。メンバーからは「大丈夫か!?」とか「スピってんな」と言われることもありますけどね(笑)。
Jun:ははは。たまにスピってるんですよね(笑)。
──あぁ、スピリチュアルの。
Kazuma:でも、そういうところから僕は表現したい。作りたいというのがあるんですよ。
──ところで、7曲目の「バカテン」は、今度のツアータイトルにもなっていますが、ハードコアっぽいところもある1分のショートチューンは制作の、どのタイミングでできたんですか?
Kazuma:最後の最後ですね。けっこうテンションで作ったみたいなところはあります。アルバムに1個足りない気がしたんですよ。それで出てきたのがこの曲だったんです。
Jun:かっちゃんがオケから作って、LINEにポンと貼ったんですよ。それを聴いてみたら、ぶっ飛び方がめっちゃ最高じゃんってなって。
Kazuma:ぶっ飛び足りねえ! やべえ! 作らねえと!って(笑)。
Jun:これは絶対入れようと思って、すぐフレーズを作りました。
──「バカテン」というタイトルの由来になっている“馬鹿になって天才のあいつらに追いつけ”という歌詞はどんなところから出てきたものなんですか?
Kazuma:友達とかバンド仲間とかに天才だって思う奴がけっこういるんですけど、たまにこいつは本当に天才なのか? 実は、ただとんでもなくバカなだけなんじゃないか?って思うこともあって(笑)。紙一重って言うじゃないですか。とは言え、天才っていると思うんですよ。本当の。そういう才能の塊みたいな奴に勝つには、頭のネジをぶっ飛ばしてやらないと張り合えないと思ったんです。つまり、俺らはバカのほうですね(笑)。
──Junさん、そうなんですか(笑)?
Kazuma:Junのほうがバカかもしれないですね。
Jun:それはどうかな(笑)。でも、ほんと、振りきってやることがいいことだと思います。ライブもそうですけど、やっぱりスカッとしますよね。
──「バカテン」というのは今後、INKYMAPの活動の方針のひとつになっていく、と?
Kazuma:大事なことだと思います。やっぱり畏まってたら前に進めないから、壁をぶち壊して進んでいかないといけないと自分は思うんですよ。今後の人生もそうですし、そういうふうに歌っているのをみんなが見て、うわー、おもしろいと思ってくれたらいいですね。
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