【コラム】SixTONES、グループの素養と楽曲の本質が結びついた「こっから」ムーブメント
SixTONESの最新曲「こっから」が、大きな反響を呼んでいる。オリコン週間ランキングで1位を獲得したという快挙は、彼らのファンの絶対数を考えるとある程度は想定内とも言えるが、今回注目したいのはYouTubeにアップされたMVがグループ史上最速で3,000万回再生超えを果たしたことだ。
今やYouTubeというプラットホームは、少し気になったことを調べるのにお誂え向きのツールであり、様々な物事の入口になっている。音楽に関しても同様のことが言える。普段の生活のなかでふと耳に残った音楽や、SNSやメディアなどでよく名前を見かけるアーティストを知ろうとして、まず最初にYouTubeでその音楽やアーティストを検索したという経験をお持ちの方は多いのではないだろうか。YouTubeでこれだけ「こっから」が再生数を伸ばしているということは、SixTONESの支持者が増えたことだけでなく、「こっから」に興味を持った人が非常に多いという事実にもつながるだろう。
実際、5月12日に公開された同曲のYouTubeバージョンのMVも、コメント欄を覗いてみると“(SixTONESの)FCに入っているわけではない”、“しばらくアイドルから離れていた”、“最近知ったのでメンバーの違いはわからない”など、自分はディープなファンではないという前置きをしたうえで「こっから」を評価したコメントが多いのが特徴的だ。それだけ“外”にいた人々に楽曲が届いていることが窺える。
だがSixTONESは今までも多数のタイアップソングに恵まれてきている。リリースも、TVなどのメディア露出も多い。不特定多数の人々に届くきっかけは、これまでとさほど差異はないはずだ。だがなぜ「こっから」がこれだけ、ファン以外の人々の心に響いているのだろうか。その背景には様々な要因があると考えられる。
▲シングル「こっから」通常盤
まずは同曲がTVドラマ『だが、情熱はある』の主題歌であること。オードリーの若林正恭と南海キャンディーズの山里亮太の半生が描れており、King & Princeの髙橋海人が若林役を、SixTONESメンバーの森本慎太郎が山里役を好演している。主演ふたりの憑依とも言うべきリアリティに富んだ演技が光る同ドラマを盛り上げているのが、主題歌の「こっから」だ。“どれだけうまくいかなくても、天才じゃなくても、こっから始めよう”という強い決意と情熱溢れる応援歌は、ドラマとシンクロしてより強固なメッセージソングに育っている。
だが楽曲の歌詞とドラマに親和性があるだけでは、ここまで人の心を掴むことはできない。そこで大きく作用してくるのがSixTONESのパフォーマンスである。6人のマイクリレーはユーモラスでありながらも非常にスリリングで、さらに6人ともラップのリズムやフロウに一切の迷いがない。そんなマイクパフォーマンスは、しのぎを削り合いながら高め合うSixTONESの6人を体現していると言っていい。
さらにSixTONESには、同時デビューをしたSnow Manを筆頭に10代の頃から切磋琢磨してきたグループも多く、音楽界を見渡せば国内外に様々なダンス&ヴォーカルグループが存在する。ボーイズグループバブルとも言うべき時代で、抱えてきた苦悩や困難、さらなる飛躍を胸に決める言葉たちを堂々と勇敢に歌い切るのは、“自分たちならではの道を貫いていく”というSixTONES自身の意思表示としても響いてくる。その説得力の高さが、多くの人を振り向かせているのではないだろうか。
そしてSixTONESが「こっから」関連でYouTubeに公開している動画には、ひとつ共通点がある。それはどの動画もロケーションが“日常的な場所”ということだ。MVは喫茶店やホテルのロビー、線路沿い、歩道橋の上など街のいたるところで撮影され、メイキング&リリックビデオは私服でのレコーディング風景で構成。YouTube限定パフォーマンスシリーズの“PLAYLIST”の生配信映像「こっから~FIREWORKS」と、失恋の寂しさを癒すチルナンバー「Tu-tu-lu」は彼らの所属レーベルであるソニー社屋で撮影されている。どんな場所や楽曲であっても、自分たちのテリトリーとしてパフォーマンスできてしまう6人の度量の深さと大胆さは、グループが長きにわたり培ってきた体力の象徴とも言えるだろう。どんな場所でも6人が揃えば、ヴォーカルでも立ち回りでも抜群のパフォーマンスを見せてくれる。今のSixTONESは、視聴者のそんな高揚感を煽るたくましさを我が物にしているのだ。全員の長年に渡るただならぬ努力があるからこそ成し得ることだろう。
「こっから」が注目を集めているのは、グループの素養と楽曲の本質が強固に結びついたからこそ起こったムーブメントと言っていい。これまでも高い音楽性に加え“次はどんなことをしてくれるのだろうか”と期待を煽る仕掛けをチーム一丸となって作ってきた彼らだが、今回は楽曲と6人の生き様が合致しただけでなく、その掛け算が2倍も3倍も膨れ上がったからこそ起きた現象だ。凡人の自分も、ここから少し何かを変えられるかもしれない。そんなふうに思わせてくれる「こっから」はSixTONESの、そして今の時代を生きる人々の人生賛歌だ。
文◎沖さやこ
◆ ◆ ◆
シングル「こっから」
<初回盤A>(CD+DVD)
SECJ-69〜70
¥1,760(税込)
スリーブケース仕様
【CD】
01.こっから
02.雨
【DVD】
こっから -Music Video-
こっから -Music Video Making-
こっから -Music Video Solo Movie-
<初回盤B>(CD+DVD)
SECJ-71〜72
¥1,760(税込)
スリーブケース仕様
【CD】
01.こっから
02.Medley from「慣声の法則」at 横浜アリーナ (S.I.X ~ Special Order ~ フィギュア ~ RAM-PAM-PAM ~ WHIP THAT ~ Outrageous)
【DVD】
Medley from「慣声の法則」at 横浜アリーナ (S.I.X ~ Special Order ~ フィギュア ~ RAM-PAM-PAM ~ WHIP THAT ~ Outrageous)
<通常盤>(CD+DVD)
SECJ-73
¥1,100(税込)
初回仕様:スリーブケース仕様+フォトブック20P
【CD】
01.こっから
02.FIREWORKS
03.Tu-tu-lu
04.ABARERO -Dark Electro Rock Remix-
05.こっから -Instrumental-
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