【速レポ】＜SATANIC CARNIVAL＞マキシマム ザ ホルモン、「今の人生、さらに最高にしませんか？」

「私はたぶん、バンドをやってなかったらそこ(客席)にいるはずなんです。だから、気持ちは一緒。あの3人に、PIZZA OF DEATHに、音楽に、ライヴに人生を変えられて、私は今、ここに立っています」──ナヲ

◆ライブ写真

そうナヲが語ったことからもわかるように、この日のマキシマム ザ ホルモンはとにかく漲っていた。ホルモンのライブが凄いなんてことは聞き飽きたかもしれないが、そうであったとしても、地面も柵も、身も心も、何から何まで揺らしまくった35分間はやはり凄かったと表現したい。





ダイスケはんの「俺たちにかかってこい！」という絶叫から投下した「「F」」の、その重みと切れ味が別格すぎる。全身から発せられるようなダイスケはんのシャウトに髪を振り乱して強烈なフレーズを刻むマキシマムザ亮君、上ちゃんとナヲが生み出すリズムも最強。フロアはオートマティックで暴動気味な様相となっていく。

「サタニック、帰ってきたー！ 気持ちとか希望とか夢とか思い出とか、いっぱいこもっていて。今日のこのみんなの声、光景、本当にありがとうございます！」と、自由な場所として開催された今年の＜SATANIC CARNIVAL＞に対してナヲが喜びを表した後、続けたのが冒頭の言葉だった。キッズとしてHi-STANDARDのライヴへ通い詰めていたことを振り返り、その真摯な想いに耳を傾けていると、「今の人生、さらに最高にしませんか？」と呼びかけてくれるのだから、否が応にもテンションはアガるし、何だか目頭も熱くなってしまった。


グッと拳を握りしめたところへ「鳴らせるモノ、全部鳴らしてみろー！」とダイスケはんが大声を上げ、クラップとストッピングが鳴り響く中、「ハングリー・プライド」へなだれ込み、異次元のグルーヴ感ですべてを飲み込んでいく。

そこから続いた「便所サンダルダンス」はまさにロックに求めるモノ全部入り。キャッチーでヘヴィで、スリリングでユニークで、これで騒げなきゃウソだろ、という1曲だ。ワールドワイドに活躍するバンドだけあって、LEDビジョンの使い方、計算しつくされたライティングも素晴らしいのだが、それをも凌駕するステージ上の4人の存在感もあって、常軌を逸脱するレベルでフロアも沸き立っていく。


ここでダイスケはんが＜SATANIC CARNIVAL＞のI.S.Oプロデューサーに感謝を述べていると、LEDビジョンに映し出されるのはHUSKING BEEの磯部正文という彼ららしい戯れもありつつ、WBCの大谷翔平の発言から引用して「憧れは捨てよう。互いに存在感をぶつけようぜ！」と声を上げ「ロッキンポ殺し」へ。ヘッドバンギングとクラップで熱気が撹拌され、フロアも普段なら不快指数マックス状態。だが、最高に楽しい。これ以上ない歓喜の光景が広がっていく。

どこがてっぺんなのかわからないぐらい「ROLLING1000tOON」でまだまだと突き進み、どんどん大きくなる高速サークルピットが生まれた「メス豚のケツにビンタ(キックも)」を放ち、“恋のおまじない”を一発でガッツリと決めて、締めくくりには「恋のスペルマ」。このセレクトもまたよかった。“アナタ物語はただ一人読め！”という至高のフレーズが響き渡る。すべての人にとって何かが変わる、背中を押される素晴らしい時間だった。

取材・文◎ヤコウリュウジ
撮影◎浜野カズシ